アプリリアが「RSV4」最新版を投入 最強のリアルV4レプリカだ!
生粋のイタリアンブランド「アプリリア」から究極のスーパースポーツ「RSV4 RF」と、その性能とスタイリングイメージを投影したスーパーネイキッド「TUONO V4 1100 Factory」の2018モデルが登場。国内投入が開始された。
2ストWGPを席巻した強豪ブランド
アプリリアは知る人ぞ知るイタリアの伝統あるモーターサイクルブランドだ。
第二次大戦後にモペットなどの小排気量モデルの製造から始まり、その後モトクロッサーからオンロードスポーツまで幅広いカテゴリーに進出。
最盛期にはモト・グッツィやラベルダなどを買収するなど、一時は欧州一のモーターサイクルメーカーにまで成長した企業である。
90年代のロードレース世界選手権「WGP」において、125ccや250ccクラスで勝ちまくっていた頃を覚えている人も少なくないはずだ。中でも2ストレーシングマシン「RSV250」は通算年間タイトルを10回も獲得した傑作機として名高い。
ちなみに原田哲也や坂田和人など当時の日本人トップライダーもアプリリアのマシンでチャンピオンを獲得している。
その後、アプリリアは同じイタリアのピアッジオグループの傘下に入り、その中核を担うブランドとして今に至っている。
7つの世界タイトルを獲得したRSV4
アプリリアは常にレースに軸足を置いた開発を行いながら、そこで培った最新テクノロジーを市販モデルにダイレクトに投入するメーカーであり、こうした企業風土から生まれた「RSV4」は実にアプリリアらしいモデルである。
65度の挟角を持つ強力な水冷V4ユニットを武器に2009年の登場以来、スーパーバイク世界選手権(WSB)においてライダーとマニファクチャラーズで合わせて7度の世界タイトルを獲得するなどレース界を再び席巻。
その公道バージョンである「RSV4 RF」はアプリリア入魂のまさにリアルレーサーレプリカと言える存在だ。
電制てんこ盛りマシンの開祖的存在
2010年にはWSB参戦2年目にして年間タイトルを獲得し、翌2011年にはアプリリア独自の電子制御パッケージAPRCを導入するなどモーターサイクル界に先陣を切って電制マシンを投入。
2015年に登場した発展型の「RSV4 RF」はその当時ですでに最高出力201psに到達するなど過激に進化していた。
そして最新版の2018モデルではエンジンの熟成とAPRCのさらなる強化とともにコーナリングABSとダウンシフターを装備。
加えて最新型のオーリンズ製前後サスペンションやブレンボ製M50モノブロックラジアルマウントキャリパー、TFTフルカラーディスプレイが採用されるなど大幅なアップグレードが図られている。
さらに驚くべきは車体のディメンションを変更できることだ。GPレーサーそのものの無骨なアルミ製ツインチューブフレームは、ステアリングステム角度やスイングアームのピボット位置の変更ができるだけでなく、なんとエンジンの搭載位置まで調整できる。
まさにファクトリーレーサー並みの車体セッティングが可能という徹底ぶりだ。そして2018モデルは従来型を継承したモデルになるようだ。
排気量アップで余裕の走りのトゥオーノ
一方の「TUONO V4 1100 Factory」はRSV4をベースにハーフカウルとアップハンドルを装備し、独自のチューニングを施したストリートファイターである。
TUONO(トゥオーノ)とは雷を意味するイタリア語で、その名のとおりRSV4のお株を奪うスパルタンな走りが真骨頂だ。
前身となるTUONO 1000RはVツイン搭載モデルだったが、2011年からRSV4譲りの水冷65度V4へと全面刷新し、2015年には排気量を1,077ccまで拡大。
そして2017モデルではフルライド・バイ・ワイヤ化とともに電子制御パッケージAPRCをRSV4同様の第4世代にアップグレードしている。
最高出力そのものは175psに抑えられてはいるものの、エンジン排気量アップによってV4の強みである中速トルクが一段と持ち上げられたことで、よりダイナミックな加速を実現。
また、比較的上体が起きたライポジも含め、ストリートモデルとしての余裕のある走りが魅力となっている。
日本ではマイナーでも実力は本物
▲RSV4 RF
アプリリア独自の走りの哲学で貫かれたRSV4とTUONOは、見た目もカラーリングもよく似た兄弟車だが、その実エンジンの出力特性やミッションの減速比、サスペンションの設定など細かい部分も異なっていて、それぞれの個性が作り分けられている。
▲TUONO V4 1100 Factory
自分は両方とも試乗した経験があるのでそのキャラの違いを分かっているつもりだが、メーカーとしてそれをあまり声高に言わないところがアプリリアの潔さというか漢なところだ。
日本ではあまり見かけることがないブランドだが、かなり凄いマシンなんだということを知っておいて欲しいと思う。