二輪新車販売に晴れ間が見えた2017年。好転し続けるためには!?
小型二輪は3年ぶりにプラス
全国軽自動車協会連合会などの発表によると、2017年の小型二輪車(251cc~)新車販売台数は前年比1.7%増の6万4,003台で、これは3年ぶりのプラスということだ。
ホンダが3年ぶりに首位奪還
▲Honda CB1100 RS
メーカー別では、国産4メーカーの中でも前年比116.4%の1万3,734台と最も大きな伸びを示したホンダが3年ぶりにシェアトップを奪還するなど躍進。このクラスで盤石の強さを誇るCB400SF/SBの新型投入に加え、大型クラスではCB1100/EX/RSなどのニューモデル投入の効果も大きかったようだ。
カワサキがZ900RS効果で存在感
▲Kawasaki Z900RS
また、カワサキも12月に発売したZ900RS効果により前年同月比で241.8%の大幅な伸びを示し、単月では4年ぶりのシェアトップを獲得するなど追い込みを見せ、年間累計でも111.4%の1万300台に伸ばすなど存在感を示している。
ちなみにヤマハは同94.5%、スズキは同91.7%となり前年実績を下回った。
また、その他(輸入車など)は同96.9%の2万2,534台と若干減。参考までに大型クラスでは車種別ランキングトップ10の中に3モデルを送り込んでいるハーレーダビッドソンの強さが目立っている。
軽二輪は前年比2割増しと大当たり
また、軽二輪車(125cc~250cc)新車販売台数は前年比121.9%の5万6,581台と躍進。
これは4年ぶりのプラスで2009年以降では最多ということで、近年では大当たりと言っていいだろう。
ヤマハ首位は変わらず、ホンダ、スズキが大きく伸ばす
▲YAMAHA MT-25 (2018)
メーカー別では軽二輪ランキングで3年連続トップをゆくYZF-R25/MT-25をはじめ、セロー、マジェスティS、NMAX155、TRICITY155などの有力モデルを揃えるヤマハが前年比107.4%の2万162台で首位をキープ。CBR250RR効果などでこれを猛追したホンダが、同153.3%の1万8,758台と大きく伸ばし2位につけた。
続いて、GSX250Rやジクサーなどのニューモデル攻勢に出たスズキが同168.5%の7652台と飛躍。カワサキは同88.2%の7,118台と減少した。
▲YAMAHA TRICITY155
▲Honda CBR250RR
▲SUZUKI GSX250R
全体的に復調するも復活にはほど遠い
二輪車新聞などによると、2017年の国内出荷台数は36万5,000台で前年比1割増となり、その中で原付一種(~50cc)は前年比1割増の17万6,000台にやや戻しつつも、ここ数年好調だった原付二種(51cc~125cc)は逆に前年比1割減の8万9,000台に落ち込んだようだ。
こうして俯瞰してみると、2017年の二輪業界は全体としてはやや復調の兆しも見られ、特に250ccクラス以上の比較的趣味性の高いカテゴリーが活性化しているようにも思える。長く冬の時代が続いてきた二輪業界にとってこれは喜ばしいことだ。
ただ、これも冷静にとらえれば、昨年の話題をさらったCBR250RRやZ900RSのような一部の人気モデルによるイノベーター需要や、セローやZRX1200ダエグなどの排ガス規制による生産終了モデルへの駆け込み需要とも考えられる。つまり一過性のブームかもしれないということだ。
▲Kawasaki ZRX1200 DAEG Final Edition
さらに言うと、好転したといってもバイクが最も売れた1980年代の新車販売台数の水準に比べると軽二輪では3割弱、比較的落ち込みの少ない小型二輪でも5割にも満たないというのが事実だ。
感動とは何か、それを見つける知恵と情熱が必要
少子高齢化による人口構成の変化やライフスタイルの多様化など、時代の流れとして受け入れることも必要と思うが、一方で人々の琴線に触れるモデルを提案できれば、それは確実に売れるということも証明できた年ではなかったか。
感動とは何か、共感はどこにあるのか、心が渇望するものとは……
それを探し求めて突き詰めて、形にしていく知恵と情熱が求められている気がする。