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【新型スーパーカブ 動画+試乗レビュー】手軽な50とパワフルな110、走りはより滑らかで上質に!

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
HONDA SUPER CUB 50/110 写真・動画/藤村のぞみ

まだ夜が明けぬ玄関先で鳴り響く、ブーン、ガチャン、ブーンという音。新聞配達で走り回るスーパーカブの音は、自分が物心ついたときから長年慣れ親しんだものだ。

それは誰もが知っている日本の原風景と言ってもいいだろう。それほどスーパーカブは日本人の生活の中にしみ込んでいる。いや、1億台を突破するほどだから、きっと世界中でおなじ光景に出会えるはずだ。

そう思うと、ちょっと誇らしい気持ちになる。先日、横浜みなとみらいで開催されたホンダ・新型スーパーカブ50/110の試乗会には、そんな晴れやかな気分で臨んだ。

【Webikeモトレポート】試乗インプレッションムービー

洗練された美しいS字ライン

まず目に留まったのがシルエットの美しさ。レッグシールドからリヤフェンダーにつながる、たおやかなS字ラインをはじめ、ヘッドライトやウインカー、エンジンカバーまでも丸みを帯びた曲線で構成されている。

長い首と左右に広がった白いレッグシールドは、まるで海辺で翼を休ませる水鳥のよう。カブ本来のタフさに繊細さが加わった感じだ。格調高いフロントエンブレムにも品格と誇りを感じる。

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▲スーパーカブ50

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従来型の”角型ヘッドライトに直線基調のボディライン”からは大きくイメチェンするとともに、あの懐かしい初期の頃のカブを思わせる形が嬉しい。

それでいて、LED化されたヘッドライトがさり気なく新型であることを主張するなど、今回のコンセプトである「原点回帰と進化」を見事に体現している。

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▲スーパーカブ110

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ファンバイクとしてもセンスアップ

新型スーパーカブ50と110は、共通の車体とデザインである。

違いと言えば、専用のカラーリングを除けば前後フェンダーの白いステッカーとナンバープレートの色ぐらい。50のシャイニングイエローは可愛らしく、110のブルーメタリックは清々しい。まるで若い男女のペアをイメージしたような配色だ。

ヨコハマの街をぶらりと原付デート。新型カブには、そういったファンバイク的な使われ方も似合うと思う。

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▲スーパーカブ50/110

より静かで扱いやすく燃費も健在

まずは50に乗ってみた。跨ってみて最初に感じるのは軽さと乗り降りのしやすさ。荷物をたくさん積んだときのことを考えると、シートの前から足を通せるのは便利だ。

ライポジは上体が直立してヒザが直角に曲がる自然な姿勢で、改良されたシートも厚みがたっぷりあって快適だ。

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エンジンはよりスムーズで扱いやすくなった。カブの空冷4スト単気筒エンジンは元々、低速トルクがあって粘りのある出力特性だが、ピストンやシリンダーの改良によりそのメリットは生かしつつ、エンジン回転がより滑らかになった感じ。カムチェーンまわりも再設計されてメカノイズも減り静かになった。

そして、新排ガス規制をクリアしつつもリッター100kmを超える驚異的な燃費も健在である。

また、カブの特徴的な4速ロータリー式シフト機構も、シフトドラムをニードルベアリングで支える新方式が採用されたことで、変速フィールがより軽く滑らかになった。

カブの愛すべき特徴でもあったジャラジャラ音やガチャコンというシフトノイズもだいぶ目立たなくなったことで、早朝の住宅地でも引け目を感じることなく走れそうだ。

ロータリー式は慣れが必要かも

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ただし、ロータリー式ミッションには慣れが必要。

シフトアップではN→1速→2速→3速→4速の順で前側のペダルを踏み込んでいき、シフトダウンでは逆に後ろ側のペダルを踏み込むのだが、いつものクセでついシフトダウンのつもりで踏み込んでしまいフワ~と加速してしまい…。

また、シフトの度にしっかりスロットルを戻していないとギクシャクするなど基本に忠実な操作が必要になる。まあ、知っていれば何のことはないのだが。

パワフルな走り応えの110

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一方、110は50に比べると明らかにパワフルで乗り応えがある。共通の車体に2倍以上の排気量なのだから当然といえば当然だがよく走る。

50だと加速で頻繁にシフトアップしないとすぐに回転が苦しくなってしまうところ、110だとワンギヤでけっこう引っ張れるので乗っていて余裕がある。クルマと一緒のペースで走れるし2段階右折も必要ないなどストレスフリーなところもいい。

2倍以上のトルクでぐいぐい曲がる

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▲スーパーカブ50

50の軽快さに加え110は安定感も増している。50も110も前後17インチと通常のバイクと同じホイールサイズなので走破性は高く、元々コーナリングも安定しているが、110は2倍以上のトルクがあるため、スロットルオンで後輪がしっかり路面を捉えている感じが伝わってくる。50との微妙な違いとして、110はタイヤサイズが前後とも太くなっていることも接地感につながっていると思う。

圧巻の大型リヤキャリアが嬉しい

50/110共通の前後ドラムブレーキは必要にして十分な効きで、ABSは無いがロックしにくい設定。耐荷重性重視の前後サスペンションは意外と乗り心地もいい。

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そして何といっても圧巻は充実の大型リヤキャリア。新聞配達などに使われるビジネス仕様の「プロ」ほどではないにしても、ガッチリしたスチール製の平台は大きなクーラーボックスでも楽々詰めそうだ。

また、サイドカバーを兼ねた小さな書類入れや荷掛けフックが装備されたことも付け加えておく。

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カブにはホンダの良心を感じる

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原付免許かクルマの免許さえあれば誰でも乗れる50は、その手軽さで幅広い層におすすめだし、よりパワフルな機動力を生かして行動範囲を広げられる110は街乗りからその気になればキャンプツーリングまでこなせそうだ。

デザインがお洒落になって信頼性も一段とアップして乗りやすくなった新型スーパーカブ。ホンダの良心を感じる逸品だ。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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