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【梅雨の運転】雨天でも安全快適にライディングを楽しむためには…

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト

プラス思考で乗り切ろう

ライダーにとって憂鬱な季節、梅雨がやってきました。雨の日のライディングについては過去にも書いてきましたが、毎年のことなので確認の意味で読んでいただけると幸いです。

雨は誰にとっても嫌なものです。身体が濡れて不快になるし、ヘルメットに付いた水滴で視界も悪くなる。そして、滑りやすい路面に気を遣うので疲れます。

と、いろいろなネガがあるのですが、まずはマイナス思考のスパイラルから抜け出すことが大事。嫌々走っていると、集中力もなくなりますし、危険予知や操作スキルのパフォーマンスも低下します。

ここは気分を自分で盛り上げてプラス思考にもっていきましょう。

雨はありがたいものと考える

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自分が実践していることとして、まず雨は天からの恵み、万物の命を育む大切な「水」だと思うことにしています。だから、この時期にたくさん雨が降るのはありがたいことだと。

それと、雨だと何故だか都会の喧騒もミュートされて静かに聞こえたりします。そこに音楽などがあれば最高ですね。安全を考えるとライディングしながら携帯音楽プレーヤーなどを使うのはやや気が引けるので、私の場合は頭の中で好きな曲を再生しています(笑)。

万全な装備がライディングを楽しくする

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ウエアも大事です。最近は全天候型ジャケットとパンツが一般化してきましたし、操作性にかかわるグローブやブーツも透湿防水タイプがおすすめ。ヘルメットにもピンロックシステムなど優れた曇り止め効果を発揮してくれる装備が搭載されるなど、進化しています。デザインもスタイリッシュなものが増えましたし、装備にちょっとこだわるだけで快適さは格段にアップするものです。

昔のように合羽で着膨れして、足元はずぶ濡れ、信号停止のたびにシールドを拭わなくても、これら雨対策グッズをうまく活用することで、スマートに雨のライディングを楽しむことができます。

「急」のつく操作を避け「じんわり」と

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運転スキルについてはどうでしょう。ポイントはずばり「急」のつく操作をしないことです。雨天でなくてもこれは基本ですが、滑りやすい路面ではラフな操作は危険に直結します。

たとえば「急ブレーキ」をかけると当然ロックしやすくなり、車体が傾いた状態でフロントロックでは即転倒。リヤロックすると止まれなくなります。ABS装着車でもウェット路面では制動距離が大きく伸びてしまいがちです。また、「急アクセル」は発進時であればペイントに乗ってホイールスピンや、交差点を曲がるときなども”開けゴケ”になりかねません。

そして、コーナーに向けて「急な倒し込み」をすると、浅いバンク角でもスリップダウンしてしまうことがあります。最近では公道用タイヤのウェット性能も著しく向上していて、丁寧に荷重をかけてやれば、けっこうなバンク角でもちゃんとグリップしてくれます。

ちなみにシフトダウンでのクラッチ操作にもコツがあり、雨天では半クラを長めに使ってエンジンブレーキを逃がしてやることがポイント。特に低いギヤほどレシオが離れているので、2速から1速に落とすときなどは、ジワッとクラッチをつないでやると安定します。

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というように、雨天では加速、減速、倒し込み、のすべての操作において「じんわり」と丁寧な扱いを心掛けると良いでしょう。

早めの危険予知が最も大事

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ただ、テクニックでカバーできる範囲は少ないと知るべきです。やはり大事なのは、安全マージンを十分にとってムリをしないこと。危険を早めに予知して、回避できる余裕を持つことが最も重要です。

そのためには、昔から標語にもなっている「雨の日はスピードを控えめに!」が基本。安全マインドとスキル、きちんとした装備でこの梅雨を乗り切りましょう!

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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