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125cc免許取得の負担軽減に向けて動きあり!? グローバル化に向けて具体的なアクションを

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト

最近再び125ccの免許の負担軽減についての話題がバイク業界で駆け巡っている。

警察庁が「排気量125ccまでのバイクを運転できる、小型限定普通二輪免許の取得負担軽減に向けた調査研究を実施する」とのこと。

対象となるのは、普通自動車免許保持者がAT限定で教習を受ける場合で、現行法では、教習が終了するまでに最短で3日必要だが、これを次世代型シミュレーターの導入などにより2日間で終了可能とすることを目指すようだ。

検討が始まるということで実際に見直しが行われるかどうかは現段階では不明だが、いずれにしても、長年にわたる二輪業界の悲願であった、125cc免許の規制緩和に向けて一歩でも前進することは喜ばしいことである。

昨年掲載したコラム、【「クルマの免許で125ccバイクまで」の是非を問う】でも言及したとおり、近年「原付2種」と呼ばれる125ccバイクの免許取得の簡便化に関する議論が活発に行われている。

ガラパゴス化した50ccの衰退

その裏には50ccモデルの衰退という現状もある。50ccは「原付1種」という日本独自の排気量区分による免許制度によって発展してきたクラスである。

4輪の付帯免許として、クルマの運転免許を持っている人なら誰でも乗れる便利なコミューターとして、長らく日本人の日々の生活を支えてきた。

ただ、それ故にガラパゴス化している面も否めず、日本でしか流通していないモデルも多い。

50ccは、今なお二輪の年間新車販売台数の約半数を占めているが、二輪市場全体がシュリンクする中で50ccの販売台数もまた大きく減少している。

加えて2016年から実施された新排ガス規制により、欧州のユーロ4と同等の厳しい基準をクリアする必要がある。そうなると大幅な開発投資が必要となり、現実的にはそのコストを原付の価格で吸収することは不可能だ。

先日も、ホンダの歴史的名車である「モンキー」が、50周年という節目に生産終了を発表したが、この例に留まらず近年は50ccの販売減少に伴い新規モデルが出ることも少なくなり、販売終了が相次いでいるという実態があるのだ。

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▲モンキー・50周年アニバーサリー

世界的には混合交通に適した125ccが庶民の足に

そうなると、便利な国民の足としての原付がなくなってしまう。そこで注目されるのが125cc。いわゆる「原付2種」というモデルだ。

原付1種(50cc)は、速度制限が時速30km/h以下であったり、交差点での二段階右折義務があったりと規制も多く、現実的な交通の中では不便なことも多い。

これに対し原付2種(125cc)は、速度制限や交差点の曲がり方についても、基本的にはクルマと同じで2人乗りも可能など、法的にも利便性は高い。125ccはクルマの流れに乗れるだけの加速性能も備えているため、混合交通の中での親和性も高い。

また、125ccは欧州やアジアなどの多くの国がクルマの付帯免許としている例が多く、メーカーもグローバルモデルとして展開しているため、開発コストも十分かけて上記の排ガス規制をクリアしている機種がほとんどだ。

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つまり、世界的に見ても交通環境やエコロジーの面でも、コミューターとしての現代の主流は125ccなのだ。

こうした現状を踏まえて再燃した125cc免許の簡便化問題。

運転技術が未熟なライダーによる事故増加を防ぐための安全面の担保など解決すべき課題は多いが、ぜひ実現に向けて積極的なアクションを期待したい。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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