R nineTから進化したビンテージレーサー&ロードスター、BMWのレガシーが光る最新モデルに注目!
BMWモトラッドが新たなヘリテイジモデル、「BMW R nineT Racer(アール・ナインティー・レーサー)」と「BMW R nineT Pure(アール・ナインティー・ピュア)」を発表。4月14日より発売を開始する。
R nineTシリーズ初のASCを標準装備
極限まで無駄を削ぎ落としたR nineT Pureは1970年から1980年代の伝説のロードスターを彷彿とさせるデザインが特徴。アルミキャストホイール、シートスチールタンク、取り外し可能なパッセンジャー用セカンダリーフレーム(フットレストを含む)を備え、精密鋳造部品の代わりに鍛造部品を採用している。
一方、初期スーパーバイク時代の「レースマシン」に重なるR nineT Racerは、ハーフフェアリングに魅力的な塗装が施されたスチールタンクを採用。低めに設定されたハンドルバー、レーシングシート、アルミキャストホイール、スポーティなフレームとサスペンション、前傾シートポジションなどを装備する。
また、R nineTシリーズでは初めて安定した走行をサポートするASC(オートマチック・スタビリィ・コントロール)を標準装備した。
以上がBMWからのリリースの要約である。
カスタムする楽しさを求めたモデルとして登場
R nineTは2013年秋のミラノショーで登場した、ボクサーエンジン搭載のネオクラシックモデルである。デビューに先駆けて、BMW 創業90周年を記念したコンセプトモデル『Concept 90』を発表。ハーレー系カスタムビルダーとして知られるローランド・サンズによるデザイン協力の元、1973年登場の『R 90 S』をモチーフとしたビキニカウル装備のカフェレーサーとして注目を集めるなど、当初からカスタムする楽しさを前面に押し出したモデルとしてアピールされた。その意味で今回の2台はR nineTにおける原点回帰的なモデルとも言えよう。
空冷ボクサーにこだわりつつ進化熟成
エンジンは、最後の空冷ボクサーツインと言われた、R1200GS系がベースとなっており、空油冷 水平対向2気筒 DOHC4バルブの1169ccで、 110ps/7,550rpmの最高出力を発生。エンジンを剛性メンバーの一部とする鋼管フレームにテレスコピック式倒立フォーク、BMW伝統の片持ち式スイングアーム&シャフトドライブからなるパラレバーを組み合わせるなど、あえて電子制御などのデバイスを極力省いた、軽量でシンプルな作りが特徴となっている。
また、脱着可能なリアフレームや200サイズのタイヤが装着可能な6インチリムも選択できるなど、カスタムマインドを刺激する仕掛けも話題を呼んだことは記憶に新しい。そして、昨年末には派生モデルとして、フロント19インチにアップタイプの片側2本出しマフラーを搭載したR nineTスクランブラ―が登場。
つい最近アジャスタブル倒立フォークを採用する他、ステアリングヘッドアングルの変更や、グリップヒーター装備などで快適性が向上した2017年モデルが発表されるなど、進化熟成が続くR nineTである。
栄光の歴史へのオマージュ
そして今回、新たにラインナップに加わったのは、BMWのフラットツイン栄光の歴史にオマージュを捧げる、「70年代ビンテージレーサー風カスタム」と、さらに削ぎ落されてシンプルかつ走りの機能に純化した、「ロードスター」といえる個性的な2台。フレームの一部と足まわりを見直しライポジを最適化、ホイールがキャストになるなど、デザインだけでなく細かい部分にいろいろと手が入っている点も見逃せない部分だ。
BMWというと、最新テクノロジーを集積したハイテクマシンというイメージが強いが、一方でR nineTのようなヘリテイジモデルもしっかり手塩にかけて育てている。そこはモーターサイクルメーカーの老舗。100年近い伝統の中で培われたレガシーを生かせるのが強みだ。まずは実車の走りが楽しみである。