最近の二輪車ユーザーの傾向について、「2015年度二輪車市場動向調査」を元にまとめてみました!
一般社団法人日本自動車工業会は、2015年度に実施した二輪車市場動向調査の結果を取りまとめ、2016年04月08日に公開した。長いレポートの中から要点をかいつまんで整理し、少々分析も加えてみたので参考にしてもらいたい。
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◆日本自動車工業会、「2015年度二輪車市場動向調査について」を公開
平均年齢は52.9歳、1台の平均使用年数は6.3年
まずは新規購入ユーザーについて。平均年齢は52.9歳で前回の13年度より1.5歳上昇。特に50cc以下スクーターの年齢上昇が顕著となっている。購入形態は「代替」が約6割を占め漸増傾向。
平均使用年数は6.3年で前回とほぼ同水準。使用用途としては「通勤・通学」が約半数を占めるが、排気量が大きくなるほど「ツーリング」が高くなる傾向にあり、751cc以上では8割を占める。
また、継続乗車意向は86%で高水準を維持しており、排気量が大きいほど継続意向も高くなっている。一方、女性比率が09年の24%をピークに、今回は20%まで下がっているのは残念なところだ。
「日常使用」と「趣味」に二極化
使用頻度では、週間使用日数の平均が4.1日となり前回より0.3ポイント減少。オンロードの751cc以上では平均使用日数1.8日・平均走行距離467kmで、ともに前回からの増加がみられる。スクーターなどのコミューター利用と、大型バイクによる趣味利用といった2極化がますます進行している。
同じ「二輪」であっても、排気量やタイプによって一括りにはできないマーケットになってきているようだ。
二輪免許を保有しているが現在二輪車を所有していない、いわゆるペーパーライダーの二輪車に対するイメージとしては、「カッコいい」「スポーティ」などが上位にランクされたのに対し、「おしゃれ」「洗練された」「知的」などのキーワードに対しては非常に評価が低いのが特徴。
どちらかというと昔ながらのバイクのイメージが先行していて、最近のスタイリッシュで高性能なモデルへの認知度が低く、また関心も薄いようだ。
また、同様に保有しない理由としては「購入予算がない」「維持費がかかる」というのは想定内としても、問題は「他の乗り物で十分だ」という回答が全体の約3割を占めてトップになったこと。たとえ免許を持っていても、他の乗り物で事足りると考える人が意外にも多いことが分かる。
第3位に「事故にあったら危険」が入っていることからも、リスクを負うぐらいなら乗らない方がいい、という消極的なペーパーライダー像が浮かぶ。バイクには他の交通機関にはないメリットや楽しさ、そして、自分次第で安全な乗り物にすることもできることを広める必要があるだろう。
「ABS」に対する意識の変化
興味深いのは、ブレーキ操作補助システム、いわゆる「ABS」装着義務付けによる価格が購入に与える影響の項目。影響を与えないが44%と半数近くを占め、影響があると回答した中でも「積極的にABS搭載車に買い替え/買い増したい」という人の割合が11%と最も高く、年齢層を問わず安全面への関心の高さがうかがえる。
「電動アシスト自転車」に関しては「自転車に比べラク」と感じる人が多い一方で、二輪車への乗り換え意向は全体の1割に満たず、スクーターでさえ3%にとどまっている。この結果からも自転車と二輪車では明確な線引きがされており、電動アシスト自転車ユーザーの取り込みは現実的ではない。
その意味で、従来の近距離用都市型コミューターの代表格であった原付一種50ccスクーターの活性化は難しいと言わざるをえないだろう。
「価格」と「安全」に対する意識が拡大
「施設やインフラに関する要望」としては、すべての属性で「任意保険」や「高速道路」の低料金化への要望が多く、「製品やサービスへの要望」については、同様に「整備・部品の低価格化」「任意保険サービスの拡充」「安全性を高めた装備の開発」が上位につけた。
また、非保有者では「安全性を高めた装備の開発」が新規購入者や中古保有者より高いことも特徴。この結果から、特にペーパーライダーに対しては安全性能の一層の向上とその認知拡大が購入へのきっかけとなる可能性もある。
また、女性ペーパーライダーは、施設やインフラ面では「運転・操作を練習する場所の提供」、製品やサービス面では「運転・操作技術向上の講座開催」が男性の2倍程度の水準であり、要望の高さがうかがえる。これら要望に対する施策を継続し、更に強化していくことが、二輪市場の裾野拡大に向けてのポイントとなる可能性があると思われる。
以上、最近のバイクを取り巻く環境とユーザー意識は徐々にではあるが変化してきている。これらの調査結果をヒントに、二輪市場のさらなる活性化につなげていけたらと思う。