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【YAMAHA MT-25 動画+試乗インプレッション】R25の走りにMTシリーズの気軽さをプラス

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
YAMAHA 「MT-25」

水冷直列2気筒エンジンを搭載するMTシリーズの最新作、「MT-25」「MT-03」が登場。先日、伊豆のサイクルスポーツセンターで開催されたプレス向け試乗会から、モーターサイクルジャーナリストのケニー佐川氏がインプレッションをレポートします。

「R25の走りにMTシリーズの気軽さをプラス。最新モデルにして完成度の高さはピカイチだ」

「MT-25」「MT-03」は、エンジンや車体などの主要コンポーネンツを「YZF-R25」「YZF-R3」と共有化したスポーツネイキッドモデルである。コンセプトは「大都会のチーター」。生き生きとしたトルクと軽快なフットワークを武器に、ストリートをしなやかに駆け抜けるイメージで開発された。R25譲りのクラス最強の動力性能と軽快なハンドリングはそのままに、これにMTシリーズの共通コンセプトである市街地での扱いやすさや快適性、カウルレスでの解放感が与えられたモデルと聞けば、その素性の良さは想像に難くない。

見た目は最近のネイキッドの主流であるファイタースタイル。車体前方にマスが集中したアグレッシブなフォルムが印象的だ。車体は割と大柄で、見た目はMT-07と並んでも遜色ない存在感がある。跨ってみると250ccらしいスリムさで、スッと沈み込むしなやかな前後サスペンションのおかげもあって足着きはすこぶる良い。ハンドル位置も高すぎず低すぎず、スポーティかつリラックスできるポジションだ。

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試乗時の路面はほぼウェット。やや気勢を削がれた感もあったが、MT-25は見事にその不安を払拭してくれた。始動は一発、クラッチのつなぎも滑らかにスルスルと走り出す。R25と共通の並列2気筒エンジンは低中速トルクに厚く、回転数を上げなくてもストレスなく走り回れる余裕がある。何も考えなくても普通に走って、素直に曲がって楽しいバイクだ。そして、本領発揮の高回転。10000rpm辺りから一段と甲高く唸るサウンドとともに、レッドゾーンの始まる1万4000rpm過ぎまで息の長い加速を見せてくれる。

特に素晴らしいのはドライバビリティ。コーナー進入から立ち上がりに向けて、スロットルをオフからオンに切り替えていくときの過渡特性がとてもスムーズで、ギクシャクが一切ない。エンジンが乗り手の感覚にリニアに反応してくれるので、安心してスロットルを開けていける。路面コンディションが悪いときはことさらだ。

優れた出力特性はハンドリングにも生かされている。ヤマハらしい、しなやかな“猫足”サスペンションとも相まって常に車体姿勢が安定しているため、結果的にスロットルを開けられるし、ブレーキも強くかけられる。ABSは未装着だがブレーキタッチも穏やかで入力をコントロールしやすい。ハンドリングは軽快だが、一方でしっとりとした落ち着きもあり、見晴らしの良いアップライトなライポジとも相まって、リラックスしてライディングできる。この“乗りやすさ”が、結果的に“速さ”にもつながっていると思う。

軽量コンパクトで扱いやすいので街乗りには最適だし、ショートツーリングやスポーツ走行もこなせる動力性能とハンドリングも兼ね備えている。低速トルクが豊富でハンドル切れ角も十分あって、Uターンなどの取り回しも得意なので、ビギナーや体力に自信のないライダーにもおすすめできる。それでいて、洗練されたデザインと上質感のあるディテールの作り込みは、大人のライダーにも満足できる仕上がりだ。これだけの完成度で本体価格50万円を切るプライスも大いに魅力である。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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