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【アメリカ発本格派スポーツバイク EBRに暗雲】ビューエル氏率いるEBR社が再び苦境に!

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
EBR1190RS

ハーレーダビットソンのBuellブランド撤退を機に、自ら興した新会社であるEBR(エリック・ビューエル・レーシング)でオリジナルスポーツバイクの製造を行っていたエリック・ビューエル氏が再び苦境に立たされている。

カナダのモーターサイクル専門ウェブサイト「MOTORCYCLE.COM」によると、EBR社は十分な資金提供を確保することができず活動を中止し、裁判所に債権者からの保護を申請したとのこと。事実上の破産状態と見られる。

ニュース提供元のMilwaukee Journal-Sentinalの中での声明において、EBR社創設者のエリック・ビューエルは資金提供の確保に失敗したと語ったとされる。事業が順調に進んでいると思った矢先の急転直下、資金確保に行き詰ったことは予想外だったようだ。コメントでは無念さをにじませつつも、個人的には新たなより良い始まりとしたいと結んでいる。

ビューエル氏は2009年にEBR社を設立。2013年にインド最大手のバイクメーカーであるヒーローモトコープ社の傘下に入るに当たり、自らの資金を投入してスポーツバイクの生産を継続することを熱望。2014年には欧州への輸出拠点としてヨーロッパにオフィスを開設するなど精力的に活動。プロダクトとしても2011年に1190RSレーサーを導入 。2013年には1190RXプロダクションモデル、昨年には1190SX ストリートファイターを発表するなど着実に前進しているかに見えていたが。

今回の経緯により、最新モデルとして開発が進められていたアドベンチャーツアラー1190AXや、ヒーロー社への技術協力により開発中だったとされる米国向け輸出モデルHX250Rの計画についてもこの先どうなるかはっきりしない状況だ。

アメリカ発の本格派スポーツバイクメーカーとしての成功を常に目指してきたビューエル氏に、再び暗雲が垂れ込めている。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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