【バイクに若者が戻ってきた】ヤマハ「YZF-R25」から垣間見える変化の兆し
先日、ヤマハのニュースレターに興味深い記事が載っていました。
国内二輪の新車購入者の平均年齢は今や約51歳。このうち29歳以下の若者は50cc以下の原付一種を合わせてもおよそ9%しか存在せず、1980年代のバイクブーム世代が現在もまだ需要の中心となり続けていましたが、ここにきてその状況が変わりつつあるようなのです。
同社が昨年末に発売した新型250ccスポーツ「YZF-R25」の初期購入者を調べたところ、平均年齢は30代前半、その45%は29歳以下の若者で、そのうち約半数はファーストバイクとして購入した新規参入層というデータが出たそうです。
身近なところでは、定期的に開催している「Webikeみんなのスクール」に参加されるライダー層にも変化が表れています。かつては、ほとんどが40代から50代の大型バイクに乗るリターンライダーで占められていましたが、昨年あたりから30歳前後の層が明らかに増えてきました。そして、彼らの多くは250ccクラスに乗っています。
昔は限定解除という制度があったため、一足飛びに大型バイクとはいかなかったわけで、半ば強制的に250cc~400ccからスタートする場合が多かったのですが、今またエントリーモデルから徐々に段階を踏む、つまりバイクとの付き合い方の理想的な姿へと回帰しようとしているようにも思えます。これは歓迎すべきことでしょう。
ただ、かつてのバイクブームが生んだ功罪として、交通事故の増加という問題もありました。灯りかけた細やかな火を消さないためにも、バイクの楽しさと同時に安全の大切さを伝えていくことが求められています。
追記
日本自動車工業会によると、二輪車の販売台数は約5年前から回復基調にあり、平成21年に約43万3千台、23年に約44万5千台、25年は約46万台となっています。ちなみに25年の新車購入者の平均年齢は51歳で、40~50代が全体の半数近くを占めています。
ここ数年における二輪車販売の上昇機運についても、実は「リターンライダー」と呼ばれる中高年ライダーによるところが大きく、彼らが市場を下支えする形でなんとか維持しているのが実情です。
国内二輪市場の復活は各メーカーや業界団体の長年の願いであり、昨今のリターンライダーブームも歓迎すべきことではあります。ただ、そこには手放しで喜べない理由があります。何故ならリターンライダーは新規参入層ではないからです。かつて乗っていた人たちが戻ってきただけであり、51歳という平均年齢を見てもそう長くは市場を牽引し続けられるとは思えません。
経済産業省が掲げる「2020年に国内販売台数100万台・世界シェア50%超・マナー向上」というスローガンを達成し、日本におけるバイク産業が本当の意味での復活を果たすためには、若年層や女性をはじめとする新たな層の開拓が必要不可欠と思われます。
その意味で、先に紹介したヤマハの新型250ccスポーツ「YZF-R25」の初期購入者の分析は非常に期待できる結果を示していると言えるでしょう。「バイク=クールな乗り物=若者の憧れ」というような好循環が再び訪れる日が楽しみです。