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ヤマハから新型3気筒スポーツモデル「MT-09」が登場!

佐川健太郎モーターサイクルジャーナリスト
YAMAHA「MT-09」

ヤマハが"クロスプレーン・コンセプト"に基づいて開発した水冷4スト直列3気筒846cccエンジンを搭載した新型スポーツモデル、「MT-09」及び「MT-09A」(ABS装備)を4月10日より発売する。

「MT-09」は日常の速度域で乗り手の意思とシンクロする「意のままに操れる悦び」が開発コンセプト。リニアな特性を備える3気筒エンジン、徹底した軽量化による188kgの車重、ネイキッドとスーパーモタードの異種交配造形による個性的デザインなどが特徴だ。発表が早かった分だいぶじらされた感はあるが、話題のニューモデルがいよいよデビューとなる。

開発の狙いは、近年の大型バイク市場で高まっている「身の丈にあったスポーツ性能」や「扱い易さの中での走りの楽しさ」を求める声に応えること。性能第一のスーパースポーツとは一線を画し、デイリーユース(日常使い)での「意のままに操れる悦び」を強調している意図はまさにそこにあると言っていいだろう。

主なスペックとしては、エンジンは水冷4スト直列3気筒DOHC4バルブ846ccにダウンドラフト吸気FIを搭載し、バルブ挟み角を狭く設定とすることで燃焼室をコンパクト化。YCC-T(ヤマハ電子制御スロットル)及びライダーの好みや走行状況に応じて制御マップを3種から選択できるD-MODEを採用。軽量アルミ鍛造ピストン、振動低減を図るバランサー、トルク特性に貢献する不等長吸気ファンネルなどの先進技術も盛り込まれている。

デザイン的には、スリムなライポジに貢献する燃料タンク形状や、マス集中に貢献する3into1タイプの一体型マフラーを採用。剛性バランスに優れる新設計軽量アルミダイキャスト製フレームに外側締結リアアームを組み合わせて足着き性を向上させるなど、軽くコンパクトに扱いやすくする方向で車体がまとめられている。加えて、ネイキッドとスーパーモタードを掛け合わせたようなハイブリッド感あふれる造形、塊感を打ち出したマスフォワードシルエットはそのまま「自由に操れる軽快感」の演出にもなっているのだ。

細かい部分でも、新設計の新軽量鋳造ホイールにラジアルマウント式フロントブレーキキャリパー、アルミ鍛造ブレーキ&シフトペダル、フットレスト、新設計小型軽量スイッチハンドル、LEDテールライトなどを採用するなどディテールにもヤマハらしい「美」へのこだわりが感じられる仕上がりとなっている。

やはり注目は新たに投入されたエンジンだ。開発コンセプトとなった「クロスプレーン」とは元々はMotoGPマシン「YZR-M1」に採用されたクランクシャフトの技術で、「高回転型エンジンで鮮明感のあるトルク特性を引き出せる」のが特徴だ。例えば、通常の直4エンジンでは、外側2気筒と内側2気筒が同じ動きをするので、回転速度の変動量が大きくトルク感を掴みづらいと言われる。クロスプレーン型では隣り合うピストン配置を90度ずつずらして配置することでクランク変動を相殺し、高回転型エンジンにおける鮮明感あるトルク特性を引き出せるとのこと。市販車では現行のYZF-R1が代表例で、直4でありながらVツインエンジンのような鼓動感とトラクションが得られることがメリットである。

今回、「MT-09」にはその3気筒版が組み込まれているわけだ。海外勢ではトライアンフやMVアグスタでお馴染みだが、国産モデルとしては久々のトリプル復活となる。トルク型の2気筒と高回転型の4気筒の"いいとこ取り"とも言われ、元々中速に厚いフラットトルクが持ち味の3気筒だけに、今までとはひと味違う新鮮な楽しさが期待できそうだ。

出典:Webikeバイクニュース

モーターサイクルジャーナリスト

63年東京生まれ。早稲田大学教育学部卒業後、RECRUITグループ、販促コンサルタント会社を経て独立。趣味が高じてモータージャーナルの世界へ。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。㈱モト・マニアックス代表。「Webikeバイクニュース」編集長。日本交通心理学会員 交通心理士。MFJ認定インストラクター。

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