部活動 「全員顧問制度」に異議あり

中学校教員における部活動顧問担当の割合(文部科学省調査)。ほとんど全員が担当。

■「全員顧問制度」に立ち向かった先生たち

昨夜、とある現役教師のツイートが流れてきた(一部編集)。

異動初日、部活は運動部3つも割り当てがあって、「もう決まっちゃったから」と言われました。主顧問が1つ、副顧問が2です。帰ってから不安で泣きました。仕事を続けられるかどうか、不安です。

調べてみると、同様のツイートが、いくつか目につく。

やっぱり断れませんでした。バスケ部の顧問はできない、クラス運営や授業づくりを頑張りたいと訴えましたが… 胃が痛いです。

新年度を迎えたいま、上記のツイート主を含め、先生たちがそれぞれの職場で直面している問題がある。現役教師のゆうけん氏が「『顧問拒否』で全員顧問制度に立ち向かった先生たち」と訴えるように、その問題とは部活動の「全員顧問制度」である。

■全員で顧問を担当

「全員顧問制度」とは何か。

2006年度文部科学省「教員勤務実態調査」における中学校教員のデータ
2006年度文部科学省「教員勤務実態調査」における中学校教員のデータ

図は、全国の中学校教員(校長・教頭は除く)の部活動担当に関するデータである。図からわかるように、中学校では、ほとんど全員にあたる92.4%の教員が部活動の顧問を担当している(ここには養護教諭、栄養教諭、常勤講師も含まれている)。

教員のほぼ全員が、部活動の指導を担当する。これが「全員顧問制度」とよばれるものである。

■顧問を担当する義務はない。それなのに・・・

ただし、「全員顧問制度」とは言うものの、正確にはこれは「制度」ではない。ただの「慣習」である。なぜなら、部活動自体が正規の制度に位置づいていないからだ。部活動が制度ではない限り、全員顧問もまた制度ではない。このことが、全員顧問の問題を考える上で、決定的に重要な事項である。

3/27のエントリ「部活動顧問の過重負担 声をあげた先生たち」でも述べたように、部活動は正規のカリキュラムには位置づけられていない。正規の教育活動とは別のものとして、生徒が自主的に取り組むものが部活動である。教員はそれを「ボランティア」のようなかたちで、面倒をみているにすぎない。

つまり、教員は自分がやりたくなければ、部活動を指導する必要はない。誰も、それを強制することはできない。それにもかかわらず、どういうわけか「全員顧問」という強制的な顧問担当の現状がある。

■手当てを増額しても解決しない

ヤフー意識調査「土日の部活動、どうすべき?」では、投票開始日から勢いが失せることなく票数が伸び、いまや11万7千票に達している。

教員の負担感は大きい:「お正月休みも部活動? 教員の負担感」より
教員の負担感は大きい:「お正月休みも部活動? 教員の負担感」より

「土日の部活動をやめるべき/部活顧問に対する手当を増額すべき/変える必要はない/分からない・その他」の選択肢のうち、現時点でもっとも回答が多いのは、「部活顧問に対する手当を増額すべき」で、50.3%と過半数に達している。

すでにお気づきの読者もいることだろう。部活動指導の手当てをあげても、上記の問題は何も解決しない。そもそもやりたくもないのに、強制的にやらされている。しかも、その負担感は、じつに大きい(詳しくは「お正月休みも部活動? 教員の負担感」)。お金ではない。先生たちは、休みがほしいのだ。

手当てを増額しても、それはむしろ、全員顧問に対価を支払って全員顧問を正当化するようなものである。部活動を自ら進んで指導したいという教員には朗報であるが、強制的にやらされていると感じている教員にはほとんど意味がない。

■「制度」による解決に向けて

ただの「慣習」にすぎないものを、正規の「制度」と呼びたくなるのは当然だ。先生たちにとっては、まるで教員としての当たり前の義務であるかのように、部活動顧問の仕事が割り振られる。そう、冒頭にあげた例のように、「もう決まっちゃったから」と言われるのだ。

こんなに矛盾した状況で苦悩していては、授業を中心とした本務の仕事で、子どもに落ち着いて向き合うことさえままならない。

各地の学校で桜が咲くなか、先生たちが人知れず涙している。これをいかに、「制度」でもって解決していくのか。子どもの部活動が健全に運営されるためにも、まずはその指導の体制から、私たちは問うていかなければならない。

「部活動リスク研究所」ならびに「部活動リスクによろしく」には、先生たちの具体的な声や現状がまとめられている。