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どうにも止まらない尹錫悦大統領の支持率の急落 早くもレームダック!?

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
韓国の尹錫悦大統領(大統領室提供)

 時の権力者や政権の支持率は上がったり、下がったりするものである。当然、上がる時もあれば、下がる時もある。シーソーのようなものだ。従って、一喜一憂する必要はないが、下がりっぱなしだと、それもあっという間の急落となると事情は異なる。

 韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の支持率が一向に上がらず、むしろ急降下していることが、直近の3社の世論調査で判明した。

 大手世論調査会社「リアルメータ」が7月4~8日にかけて行った調査によると、尹大統領の職務遂行を「評価する」の回答は37.0%(「評価しない」57.0%)。同じく大手世論調査会社「韓国ギャラップ」の調査(7月5~7日)でも「評価する」は37.0%(「評価しない」49.0%)となっていた。さらに8~9日にかけて韓国社会言論研究所(KSOI)が行った調査では「評価する」は30%台前半の34.5%にまで落ちていた。この調査では「評価しない」は60.8%に達していた。韓国国民の10人中、6人までが尹大統領を評価していないのである。

 尹大統領の支持率は大統領選(3月9日)で得た48.5%を大きく割り、与党「国民の力」の支持率40.9%(「リアルメータ」調査)よりも下回っていた。

 尹大統領の支持率はソウル、釜山の2大市長を含め全国17の市・道知事のうち12の首長を制し、圧勝した全国地方自治体選挙(6月1日)までは最高値の54.1%を記録していた。それが僅か40日の間に17%~20%も減らしてしまったのである。

 韓国の政治勢力は保守と進歩に二分されており、どちらも40%のコンクリート層に支えられている。核心的な支持層である40%を割ることは歴代大統領も経験しているが、それでも大統領就任から僅か2か月という短期間での凋落は尹大統領が初めてである。

 「リアルメータ」の6月からの調査をみると、尹大統領の支持率は6月第1週52.1%対40.3%、第2週48.0%対44.2%、第3週48.0%対45.4%と「支持」が「不支持」を上回っていたが、第4週に46.6%対47.7%と初めて逆転すると、第5週は44.4%対50.2%と差が開き、そして今回(7月第1週)、37.0%対57.0%と、その差が20ポイントも付いてしまった。

 直近の3人の歴代大統領の例をみると、40%を切った時点は17代大統領の李明博(イ・ミョンパク)氏が3か月後、第18代の朴槿恵(パク・クネ)氏が1年10か月後、そして前任の第19代の文在寅(ムン・ジェイン)氏は2年5か月後だった。

 支持率の「暴落」に当の尹大統領は「気にしていない」素振りを見せているが、韓国の一部メディアは政権浮揚のため国民受けするような思い切った手を打たなければ、このままレームダックに陥る可能性があると、尹大統領に警鐘を鳴らしている。

(参考資料:不人気な尹錫悦大統領 支持率下落により元徴用工問題で日本に譲歩ができなくなった!

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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