韓国は尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領のNATO(北大西洋条約機構)首脳会議出席を機に外交だけでなく、経済分野でも「脱中国」政策を推し進めるようだ。

 尹大統領はNATO首脳会議での演説でNATOとの連携を表明する一方で、日米韓首脳会談、さらには日本、オーストラリア、ニュージーランドとの4カ国首脳会合に出席するなど自らの行動をもって外交面で中国と距離を置くことを示した。

 韓国はまた、対外貿易でも対中依存を減らし、中国市場からEU市場に輸出を拡大する方針を打ち出している。経済の司令塔である秋慶鎬(チュ・ギョンホ)経済副首相自らがそうした立場を鮮明にしている。

 換言すれば、尹政権は朴槿恵(パク・クネ)政権から文在寅(ムン・ジェイン)政権までの約10年にわたる対中優先政策からの大転換を図ろうとしていると言っても過言ではない。こうした路線転換が可能な背景には日々高まる国民の「反中感情」がある。

 AFP通信が昨日(29日)、伝えた世論調査機関「ピュー・リサーチ・センター」の調査結果(2~6月初にかけて世界19カ国に行った)によると、韓国人の80%が中国を敬遠している。中国に対する否定的な見方は日本(87%)、オーストリア(86%)、スウェーデン(83%)、米国(82%)に続いて5番目に多かった。

 「ピュー・リサーチ・センター」の2年前(2020年6~8月)の調査では韓国人の「反中感情」は75%だった。この2年間で5ポイントもアップしたことになる。特に「MZ世代」(1990年代半ばから2000年代初頭に生まれた世代)と称されている20代から30代では中国に対する反感が根強い。

 米国の民間研究機関「シカゴ国際問題協議会(CCGA)」が2021年4月に韓国人1千人を対象に行った世論調査では10人中8人が中国を「安保上の脅威」とみなしていた。「中国は安保上のパートナー」と答えたのは12%に過ぎなかった。また、韓国統一部の研究機関「統一研究院」が2021年12月29日に発表した「統一意識調査2021年」でも回答者の71.8%が周辺諸国の中では「中国が韓国の安全保障にとって脅威となる」と受け止めていた。

 韓国人の対中感情悪化について「ピュー・リサーチ・センター」は高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に対する2017年の中国の経済報復に起因していると分析しているが、それだけではない。毎年中国から舞う黄砂に悩まされていることに加えて新型コロナウイルスが武漢から発生したことへの反感や高句麗や白頭山の帰属問題や韓国人の伝統民族衣装・チマチョゴリからキムチなどの食文化の起源を巡る対立なども影響している。中でも中国人の韓国での土地買い占めは韓国人の対中感情悪化の大きな要因となっている。

 韓国は不動産価格急騰問題が深刻な問題となり、文在寅前政権支持率急落と保守政権への政権交代に繋がったが、不動産及び住宅価格の高騰の原因の一つに中国人の韓国の土地と住戸の買い漁りがある。

 国土交通部と統計庁が2020年11月6日に発表したデーターによると、外国人土地所有件数は2011年の7万1575件(公示時価24兆9957億ウォン)から2020年には15万7489件(公示時価31兆4962億ウォン)に増大したが、中国人の韓国国内の土地所有量は2011年から2019年までの8年の間に14倍も増え、その広さは汝矣島(2.9平方キロメートル)の6倍以上になっている。

 特定地域の住宅価格も跳ね上がり、購入規模が警戒レベルにまで達している。地域別ではここ3年間の中国人による「土地ショッピング」が著しいのは中部の忠清道である。

 文政権下で初代首相に任命された李洛淵(イ・ナギョン)元「共に民主党」代表が国会を世宗に移すと発表すると、中国人バイヤーがいち早く反応し、買い漁った済州島の土地を売りに出し、忠清道の特別自治市である世宗市周辺に押し寄せた。その結果、世宗市での中国人の土地保有量はこの3年間で1.6倍に増えている。また、忠清北道の清州では8つの産業団地が開発の予定にあるが、ここでも開発特需を狙う中国人による土地買い漁りが問題となっている。

 このため2020年11月中旬頃から大統領府に「中国人の投機を何とかすべき」との請願が寄せられ、政界でも外国人の国内不動産購入を一部制限することのできる法案を推進する動きも顕著となり、実際に国会では昨年から中国人の土地購入を制限する立法を推進する動きが活発化している。

 韓国の「反中世論」の煽りを受け、平昌(ピョンチャン)で2018年2月に冬季五輪を成功させた江原道が中国の資本投資と中国人観光客を誘致するため春川(120万平方メートルの土地)で開発を進めていた「チャイナタウン建設計画」は昨年4月に破綻に追い込まれていた。