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韓国メディアが日本の佐渡金山世界遺産推薦を一斉に批判! 進歩・保守紙問わず「断固阻止」の論陣!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
韓国の「強制動員被害者支援財団」がまとめた佐渡鉱山に関する報告書(同財団提供)

 岸田文雄首相が昨夜、佐渡金山の世界遺産登録を推薦する方針を発表したことを韓国のマスメディアは一斉に速報で伝えていた。

 放送媒体では韓国の3大ネットワークの「KBS」「佐渡鉱山ついに推薦決定…『軍艦島第2弾』再現」「MBC」「『強制動員』全部抜き…日本『佐渡鉱山』の申請を強行」、そして「SBS」「日本『佐渡鉱山世界遺産に推薦する』・・・豹変した理由は?」のヘッドラインの下、東京特派員のレポートを軸に伝えていた。

 「MBC」はレポーターが「軍艦島のように日帝占領期の強制動員の現場にも関わらずそうした事実を全部抜いて推薦するようだが、我が政府が強く反発しているので実際に登録されるかどうかは未知数である」と結んでいた。

 新聞各紙もほぼ取り上げていたが、例外なく日本政府の決定を横並びに 批判していた。そのことは見出しを見れば一目瞭然で、保守系大手紙「東亜日報」「岸田 『第2軍艦島』佐渡鉱山遺産推進強行…韓日歴史問題で衝突」、同じく保守系の「中央日報」「安倍の反発に押された岸田…日本 佐渡鉱山ユネスコ世界遺産推進」となっている。「中央日報」は記事の中で「韓国の反発にもかかわらず日本が佐渡鉱山の推薦を強行したことで歴代最悪の韓日関係にもう一つの葛藤事案が加わった」と書いている。

 また、政府寄りの「ソウル新聞」の見出しは「岸田『佐渡鉱山世界遺産推薦する』・・・韓日歴史戦争が繰り広げられるのか」「オーマイニュース」「極右に屈した岸田・・佐渡鉱山世界遺産申請強行」となっているが、代表的な政府系のメディアである「ハンギョレ新聞」と政府に批判的な最大部数を誇る保守紙「朝鮮日報」はこの問題を社説で取り上げていた。

 「ハンギョレ新聞」は「日本『佐渡鉱山』世界遺産推進強行・・・韓日関係悪化に責任を負うべき」との見出しを掲げて「日本政府が2015年軍艦島(端島)をユネスコ世界遺産に登録した際に表明した強制動員の歴史を知らせるとの国際社会への約束を守らない状況で佐渡鉱山の登録申請を強行するのは韓日関係をさらなる『歴史戦争』に追いやる無責任なことである」と断じ、「日本政府は佐渡鉱山登録の試みを直ちに中断し、軍艦島の強制動員の歴史をきちっと知らせるとの国際社会との約束から履行しなければならない」と、日本政府の対応を痛烈に批判していた。

 一方、「朝鮮日報」「佐渡鉱山世界遺産推薦・・・『歴史戦争をやる』と突っかかってきた日本」)は「日本政府が登録を推進する際の申請対象を1867年以前の遺跡に限定しているのは暗い歴史を覆い隠そうとするものである。これは『完全な歴史』を反映しなければならないとする世界文化遺産登録原則に反しており、韓国が反対すればユネスコ審査が通る可能性は低い。こうした現実を反映し、延期することにしていたが、安倍元総理など自民党内の強硬勢力が反対するや一朝にして方針を覆してしまった」と岸田首相の方針転換の背景に触れていた。

 常日頃「文在寅政権は反日を国内政治に利用している」と批判的な論陣を掲げていた「朝鮮日報」は今回は、「佐渡鉱山の世界遺産登録を認めてはならない。今後、ユネスコで日本の約束不履行の問題と軍艦島の世界遺産登録の再検討問題も併せて問題提起しなければならない」と政府を突き上げていた。

 両紙の他にも「京郷新聞」も社説でこの問題を取り上げていた。

 「ハンギョレ新聞」同様に政府寄りの「京郷新聞」(「厚顔無恥の日本佐渡鉱山ユネスコ世界遺産推進」)は「岸田首相が安倍など強硬派の攻勢に押され再び過去史の問題から退行するとは残念だ。首相が変わっても韓日関係の改善を期待できない現実に失望している」と、日本政府の方針転換に遺憾の意を示した上で「朝鮮日報」同様に韓国政府に以下のような注文を付けていた。

 「韓国政府がやることは明らかだ。今後、日本の攻勢に立ち向かい、あらゆる外交力を動員し、佐渡鉱山の歴史的事実を国際社会に知らしめ、世界遺産登録を阻止することだ。佐渡鉱山は朝鮮人、中国人、連合軍捕虜など被害者が多用な軍艦島とは異なり動員されたのは朝鮮人だけだ。しっかり対応しなければならない。ユネスコもまた、日本の試みを断固拒否すべきだ」

(参考資料:「佐渡島の金山」の前例となる「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産登録はどのように最終合意したのか)

(参考資料:未解決の「日韓紛争」ランキング「ワースト10」)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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