北朝鮮が11日、12日に発射した新型長距離巡航ミサイルの性能について韓国の徐旭(ソ・ウク)国防部長官は昨日、国会の外交・安保分野委員会での答弁で「核弾頭搭載が可能とみている」と語っていた。

 北朝鮮が核弾頭を500kg程度に小型化、軽量化すれば、核ミサイルに転用できるようだ。金正恩総書記が1月の党大会で核爆弾を小型化、軽量化して戦術核兵器化するよう指示を出しているだけに「寧辺の原子炉と再処理施設が再稼働している」との兆候は大いに気になる。折しも13日から国際原子力機関(IAEA)の定例理事会がウイーンで始まっている。イランの核開発問題が中心だが、北朝鮮の核問題についても対応が協議されるものとみられる。

 IAEAは先月27日に発刊した年次報告書で寧辺にある5メガワット級原子炉が7月から、また「放射化学研究所」と称される使用済核燃料の再処理施設が「2月中旬から7月上旬まで稼働していた」と指摘していた。

 北朝鮮のこうした動きが米国に譲歩を引き出すための欺瞞戦術ではなく、真に核爆弾の増産にあるとすれば、韓国の国家情報院が6年前の2015年10月20日に国会情報委員会非公開の場で「北朝鮮はこのままでは2040年には世界第5位の核保有国となる」との報告も決して誇張したものと片付けるわけにはいかない。

 スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)の年鑑によると、核兵器を最も多く保有している国は2021年1月基準でロシア(6255個)、米国(5550個)、中国(350個)、フランス(290個)、英国(225個)となっている。仮に韓国情報機関の予想が的中するならば、約20年後には北朝鮮は英国を上回る数の核兵器を保有することになる。

 では、北朝鮮は現状で核爆弾を何発保有しているのだろうか?実は、正確な数は北朝鮮以外、どの国も正確には把握できていないのが実情である。米韓の情報機関を含めIAEAや国際研究機関や大学のシンクタンクなどで北朝鮮核関連の報告書を出しているが、北朝鮮の保有数についてはそれぞれ異なった推定をしている。

 例えば、米上院のダイアン・ファインスタイン情報委員会委員長は2016年2月に開かれた聴聞会で「北朝鮮は最大で20個のウラン型、プルトニウム型の核兵器を保有している」との情報を開示していた。

 それから約1年後の2017年3月20日、IAEAの天野之弥前事務総長(故人)はウォール・ストリート・ジャーナルとのインタビューで北朝鮮の核爆弾の数を「40個程度」と推定していた。これに対してストックホルム国際平和研究所は2017年7月に発刊した世界の核軍備に関する最新報告書で「北朝鮮は2017年1月現在、10~20個の核弾頭を保有している」とはじき出していた。同じく米シンクタンクの科学国際安全保障研究所(ISIS)も2017年4月に公表した報告書で「北朝鮮は13~30個を保有している」と報告していた。

 総合すると、北朝鮮の保有数は最小で10個、最多で40個となるが、翌2018年になると、一気に65個に増えていた。米国防情報局(DIA)は2018年6月の報告書で北朝鮮が保有している核爆弾の数を「65個」と推定したのである。仮に2017年3月まで北朝鮮が天野之弥前事務総長の推定どおり40個保していたとするならば、北朝鮮は1年数か月で25個も増やしたことになる。

 米科学国際安保研究所(ISIS)のデイビッド・オルブライト所長とジョエル・ウイット・ジョンズホプキンス大国際関係大学院(SAIS)研究員は2015年3月19日に北朝鮮分析サイト「38ノース」への寄稿文で「5年後の2020年までに北朝鮮は最大で100個保有する」と分析していた。この分析とおりならば、北朝鮮は現在、すでに100個は保有していることになる。オルブライト所長の100個の根拠は北朝鮮が寧辺以外の秘密の場所でウランを濃縮しているとの米情報機関の情報に基づき「2020年に北朝鮮が保有する核兵器の60%がウラン型核爆弾(高濃縮ウラン=HEU)になる」との読みだ。

 それどころか、このまま放置すれば、北朝鮮は6年後の「2027年まで最大で242個を保有する」と、米国のランド研究所(RAND)は2021年4月13日に発刊した報告書「北朝鮮の脅威、どう対応すべきか」の中で展望している。「242個」となると、英国の「222個」を抜いてまさに世界5位に浮上する。

 「242個」は北朝鮮がすでに2017年までに30~60個を保有しているとの前提に立ち、以後、毎年12~18個追加した場合の推定である。この計算とおりならば、北朝鮮は2020年の時点ですでに最多で116個の核兵器を保有していることになる。

 しかし、「100個」の推算についてハノイネンIAEA前事務局次長は2015年当時「北朝鮮が5年内に核兵器を100個持つのは技術的に不可能であるとして、年間3~4個程度しか製造できない」と反論していた。

 また、米国の北朝鮮核専門家で、2010年11月に北朝鮮の招請で寧辺のHEU施設内部を見たジークフリード・ヘッカー・スタンフォード大学名誉教授は今年4月30日、「38ノース」のインタビューで「原子炉からの使用済核燃料を再処理した5~8kgのプルトニウムと150kgの高濃縮ウランを活用し、2018年に5~7個製造可能な物質を生産した」と語っているが、それを加えても「45個程度」と推定していた。