韓国はコロナ禍の戦いに終わりが見えてきたのか? 韓国のワクチン接種現況

文在寅大統領(青瓦台HPから)

 文在寅大統領は10日の国民向け特別演説でパンデミックになっている新型コロナウイルスの韓国での感染状況について「コロナ禍との戦いにもようやく終わりが見えてきた」との見通しを述べたが、その根拠として「ワクチン接種が加速化し、今や集団免疫の獲得が近い」ことを挙げていた。

 ワクチンの量については「人口(5150万人)の2倍に当たる分量のワクチンを確保することができた」と胸を張り、今後は3回目接種の可能性と変異株への対応、未成年者や子どもなど接種対象の拡大、さらには来年に必要になるワクチン量まで考慮してさらなるワクチン量確保に向けて引き続き努力することを国民に誓った。そこで、韓国のワクチン接種の現状を整理してみた。

▲9900万人分のワクチンを確保

 韓国政府はファイザーと3300万人分(6600万回)のワクチン供給を受ける契約をすでに結んでいる。上半期中に計350万人分(700万回分)が韓国に搬入されることになっている。この他にアストラゼネカ1000万人分(2000万回)、モデルナ2000万人分(4000万回)、コバックスを通じたワクチン1000万人分(2000万回)、その他2300万人分(4600万回)を確保している。

▲ワクチン接種回数(5月13日現在)

 4,363,470万回 

▲1回接種した人(5月13日現在)

 3,698,657人

▲第1回目の接種終了目標

 当面、1300万人を目途に1回目の接種を6月までに終え、9月末までに対象者全員への1回目の接種を終え、11月の集団免疫獲得を目指す。

▲ワクチン接種場所

 「予防接種センター」。5月末までに全国250か所に設置される。

▲ワクチン接種予約と開始日

 オンラインとコールセンター(9時~18時まで)、医療機関で受け付ける。

 予約順は70歳~74歳(約213万人)は5月6日~6月3日、65歳~69歳(約281万人)は5月10日~6月3日、60歳~64歳(約400万人)と幼稚園教諭・保育士・小学1~2年生を受け持つ30歳以上の教員(36万4000人)は5月13日~6月3日までの間に受け付ける。

▲ワクチン接種現況

 2月26日から医療関係者、療養病院、療養施設の入所者や従事者の接種が開始。

※OECD(経済協力開発機構)加盟国37か国の中では最も遅く開始した。

 4月1日からはすでに75歳以上(約349万人)と医療機関、薬局従事者、障害者の接種も開始しており、65歳から74歳までの高齢者は5月27日から6月19日までの間に接種を受ける。60歳~64歳と幼稚園教諭・保育士・小学1~2年生を受け持つ30歳以上の教員は6月7日から19日までの間に接種を受ける。50歳~60歳と慢性疾患者(成人)、軍人、警察、消防士の接種は7月以降からとなる。なお、大学修学能力試験(日本の大学入学共通テストに相当)が11月にあるため高校3年生(満18歳)の接種を8月までに終える。

▲ワクチン接種後に異常症状が出た患者に医療費支援

 ワクチン接種後に体調に異常が出た重症患者に対しては因果関係不明でも疾患の治療費として、1人当たり最大1000万ウォン(約98万円)が5月17日から支給される。ワクチンと体調の異常に因果関係が認められる場合には支給された医療費を差し引いて被害補償が行われる。

▲「ワクチン休暇」導入の動き

 政府は4月にワクチン接種後に副反応とみられる症状が出た場合に有給休暇の取得を認める制度を導入しているが、ワクチン接種を受けた従業員全員に接種当日から3日間の有給休暇を付与することを求める声が上がっている。

▲ワクチン接種者の隔離免除

 2回のワクチン接種が完了した人は感染者と密接に接触したとしてもPCR検査で陰性判定を受け、感染が疑われる症状が出ていなければ、自宅などでの2週間の自主隔離が免除される。但し、ワクチンの接種が終わっても防疫措置は例外なく順守しなければならない。

▲現行の防疫対策「社会的距離の確保」の一部緩和

 直系家族の集まりを除く5人以上の私的な集まりの禁止と首都圏ではカフェ、飲食店など不特定多数が利用する施設の営業時間が午後10時までに制限されているが、6月末までに高リスク群、高齢者に対する1回目のワクチン接種と75歳以上の2回目の接種が終わり、全国の1日の新規感染者数が500人以下の水準が維持されるならば、5人以上の私的な集まりの禁止措置は緩和することが検討されている。

▲インド型ウイルスへの対策

 インドのコロナ変異ウイルスが韓国に流入していたことが4月17日に初めて確認されたため韓国政府は4月24日からインドなど変異ウイルスが流行している国・地域からの直航便の運航を停止し、帰国を希望する国民のため特別にチャーター便を派遣。

 搭乗者は企業の駐在員と家族、出張者、留学生ら韓国人のほか配偶者や子ども、外交や公務目的のビザを持つ人に限られている。

 インドからのチャーター便搭乗者は韓国到着後、臨時生活施設で検査を受け、陰性が確認されても7日間、同施設に隔離される。その後の7日間は自宅などで自主隔離する。検査は施設から出る前に1回、隔離解除前に1回の計3回受ける。

 これまでに540人が帰国している。内訳は第1便(5月4日)が172人、第2便(5月7日)が204人、そして第3便(5月9日)が164人。これまでに14人の感染が確認されている。

▲ワクチン接種に関する世論調査

 世論調査会社の韓国リサーチが中央事故収拾本部と文化体育観光部の依頼を受け、4月27~29日に全国の満18歳以上の1000人を対象に行ったが、ワクチンの接種を受けた人のうち「周囲に接種を勧める」と答えた人は89.5%。また、ワクチンの接種を受けていない人のうち61.4%は「接種を受ける」との回答していた。接種を受ける最大の理由は「家族の感染予防」(80.8%)で、接種をためらう主な理由は「副反応が心配」(84.1%)だった。

 また、マスクの着用については韓国人の97.3%が「実践している」とし、5人以上の私的な集まりの禁止についても96.6%が「自分はよく守っている」と回答していた。

 なお、韓国の昨日(12日)の全国の新規感染者は715人(ソウル227人)で、死亡者は7人。これまで韓国の感染者は累計で12万9633人(ソウル4万345人)、死亡者は1891人(468人)。

(参考資料:韓国も「コロナ」感染者の減少が鈍化!変異ウイルスも拡大傾向に!)

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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