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金正恩総書記に後継ぎとなる子供は何人?

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
金正恩総書記と約1年ぶりに姿を現した李雪主夫人(労働新聞から)

 故金正日総書記の誕生日(光明星節)だった今月16日、金正恩総書記の夫人、李雪主が平壌の万寿台芸術劇場に現れ、夫と共に公演を観覧した。李夫人が公の場に姿を見せたのは昨年1月25日の旧正月を祝う記念公演観覧以来である。

 李夫人が1年以上も姿を見せなかったことから韓国のメディアは「コロナ避難説」から「妊娠・出産説」さらには「不仲→離婚説」などを流していた。

 韓国の情報機関・国家情報院(国情院)は李夫人が現れる直前まで李夫人に関して「特異な動向はなく、子供たちとよく遊んでいる」と伝え、「新型コロナウイルス対策などのため姿を見せていないのではないか」と説明していた。

 ところが、国情院のシンクタンク、国家安保戦略研究院(戦略研)は2日後の18日に姿を見せなかったのは「出産のため」との資料を記者らに配布していた。戦略研は後に配布した資料は「脱北した研究者らが作成したもの」で、「出産説」は戦略研の公式な立場ではないと補足説明していたが、どちらにしても離婚はしてなかったことだけははっきりした。金夫妻が寄り添って公演を鑑賞している写真を見る限り仲が悪くないことは一目瞭然である。

 「コロナ」を避けていたのか、それとも産休していたのか、なんとも言えないが、後者の可能性が高いように思われてならない。

 銀河水管弦楽団の専属歌手だった李夫人は1989年9月28日生まれで、今年32歳。1984年1月8日生まれの夫よりも5歳年下である。

 二人が結婚したのは金正恩総書記が後継者としてデビューした2009年で、北朝鮮がファーストレディーとしてお披露目したのが2012年7月25日。この日、北朝鮮の国営メディアは陵羅人民遊園地の竣工式に金総書記と共に出席した女性を「夫人」と初めて紹介した。

 二人の間に子供が何人いるのか、正確なことは何一つわかっていない。金正恩ロイヤルファミリーについての証言者は唯一、NBAの元スターであるデニス・ロッドマン氏だけである。

 ロッドマン氏はバスケットボール好きの金総書記の招待を受け、2013年9月に訪朝し、その際に招待所で金委員長から次女を紹介されている。名前は「キム・ジュエ」とのことだ。

 ロッドマン氏の証言が正しければ、李夫人は2013年まで2人の女の子を産んだことになる。韓国の国情院によると、上の子は結婚した翌年の2010年に生まれている。

 李夫人については4年後の2017年初頭に「妊娠説」が飛び交ったことがあった。国情院はこの年の8月に国会の情報委員会で「李雪主が2月に3人目を産んだ」と報告していた。

 李夫人の公式活動をチェックすると、この年元旦の宮殿参拝を最後に3月2日の万景台革命学院で植樹するまで動静は不明だった。この間に3人目を産んだことになる。

 3人目の性別は不明だが、一部では男の子ではないかと言われている。仮に、今回夫人が出産していたならば、金総書記は4人の子供の父親ということになる。

 昨年4月に金総書記の「危篤説」が流れた際に、万一の場合は妹の金与正党副部長が「後継者に指名されるのでは」と囁かれたことがあったが、兄よりも3歳年下の与正氏にも2人の子供がいる。これまた性別不明だが、上の子は2015年生まれで、今年6歳になる。

 北朝鮮の後継者は世襲である。2代目の金正日総書記は20歳の頃に後継者教育を受け、30歳になった1972年に後継者に指名され、父・金日成主席が死去した1994年、52歳で正式に権力を継承している。

 3代目の金正恩総書記も20歳になる前にすでに後継者として育成され、25歳の2009年に後継者としてお披露目され、父親が亡くなった2011年(12月)、28歳になる直前に政権の座に就いている。

 仮に2017年2月に生まれた3人目が男子ならば、まだ4歳である。妹の与正氏の上の子は6歳である。2人とも成人するまでは14~15年待たなければならない。ましては権力を継承させるにはさらに約10年要しなけれならない。

 金総書記が息子に権力を継がすならば、本人自ら「革命をやろうとするな、体も健康でなければならない」と言っているように健康に留意し、長生きしなければならない。

 全国で禁煙キャンペーンが行われているのに金総書記は公演観覧中にいつものようにタバコを吸っていた。父・故金正日総書記は「喫煙は心臓を打ち抜く銃と同じだ」と「遺訓」しているが、10代から続いている喫煙が命取りにならなければよいのだが

(参考資料:北朝鮮で全国禁煙キャンペーン! ヘビースモーカーの金委員長は?)

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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