次期大統領支持率トップの検察総長を解任できるか!懲戒委員会で裁かれる尹錫悦検察総長の「華麗なる経歴」

尹錫悦検察総長に任命状を授与する文在寅大統領(青瓦台HPから)

 本日(10日)、韓国では史上初の法務部長官(法相)による検察総長に対する懲戒委員会が開かれた。

 秋美愛(チュ・ミエ)法相は尹錫悦(ユン・ソッキョル)検察総長の解任を迫っていると伝えられているが、直近の世論調査でこれまで先行していた二人の与党系候補を追い抜き、支持率1位に躍り出た尹錫悦総長を解任できるかが最大の焦点となっている。

 尹総長の処遇を巡っては国民による大統領府(青瓦台)への請願も始まっているが、10日午前9時半現在、「解任賛成」20万6572人、「解任反対」18万9461人と「賛成」が約1万7千人多い。しかし、「賛成」の請願が先月27日から行われているのに対して「反対」は今月4日から始まったばかりでまだ1週間しか経ってないことから「反対」が「賛成」を上回るのは時間の問題とみられている。

 昨日、2社の次期大統領候補に関する世論調査結果がほぼ同時に発表されたが、大手の「リアルメータ」の調査では尹総長がトップの25.8%と、20.2%で並んでいる李在明(イ・ジェミョン)京畿道知事と李洛淵(イ・ナギョン)共に民主党代表を5.6ポイント引き離している。もう1社の「ハンギルリサーチ」の調査では1位の尹総長が28.2%と、2位の李知事(21.3%)と3位の李代表(18.0%)に大差を付けている。

 尹総長の急浮上には政権に忖度することなく、また圧力にも屈せず、「生きた権力」に果敢に立ち向かって調査を続ける姿勢への評価と既存の保守野党「国民の力」の不甲斐なさが背景にあるようだ。文在寅政権の打倒を目指す保守勢力からすれば、尹総長は文政権への抵抗勢力の象徴であるばかりか、中道層、無党派を取り込めることのできる、唯一「勝てる候補」に映っている。

 今年60歳の尹総長は対立する秋法相よりも2歳年下で、娘の不正入学を追及し、解任に追い込んだチョ・グック前法相より5つ年上だ。秋法相は慶尚北道・大邱、チョ前法相は慶尚南道・釜山と、二人とも地方出身だが、尹総長はソウル生まれである。

 朴正煕政権から全斗煥政権への過渡期の1979年に名門のソウル大学法学科に入学。在学中に光州事件(全斗煥国軍司令官が実権を握った軍部による光州市民への武力鎮圧)と関連した模擬裁判で検事役を買って出て、時の大統領である全斗煥氏に死刑を求刑したとのエピソードがある。

 大卒後、同大学院法科に進み、民主化が実現し、ソウル五輪が開催された年の1988年に卒業。司法試験には何度も落ち、大学院卒業から3年目の1991年、31歳の時に合格。ちなみに秋法相は24歳の1982年には司法試験に合格している。

 尹検察総長は1994年に司法研究員となり、この年、秋法相出身の大邱で検事としてのキャリアをスタートさせている。以後、春川、水原、ソウル、釜山を転々とし、2002年には一旦検事を止め、弁護士となったが、盧武鉉政権下の2003年に再び検察庁に戻り、2009年には最初の赴任地である大邱地方検察庁で特捜部部長となった。

 この年、ソウルに戻り、大検察庁犯罪情報担当官に任命され、翌2010年には大検察庁中央捜査部第2課長、2011年に同第1課長となり、2012年にはソウル中央地方検察庁特捜部部長に抜擢された。

 尹検察総長は朴槿恵政権下の2013年4月から2014年1月まで水原地方検察庁驪州支庁長として勤務していた頃、国家情報院の世論操作事件特別捜査チーム長として活躍。国家情報院への捜査に反対していた検察首脳部と対立し、一時冷や飯を食わされたが、2014年に大邱、2016年に大田で高等検察庁検事を務め、文在寅政権下の2017年にソウル中央地方検察庁検事長に起用され、2年後の昨年(2019年)7月に検察総長に大抜擢された。

 ソウル中央地方検察庁検事長に在職していた2017年11月に収賄容疑を受けていた田炳憲(チョン・ビョンホン)青瓦台政務首席秘書官への調査を大統領府に知らせず、行ったことから国民の支持を得た。また、チョ前法相の疑惑捜査も大統領府、法相、与党にも事前通告せず強行し、進歩派の象徴であるチョ氏を辞任に追い込み、保守層から拍手喝采を浴びた。

 ▲ユン総長の「名言」

・「私を検察主義者と批判する人がいるが、私は憲法主義者だ」

・「検事の政治的偏向は腐敗と同じだ。中立性を守り、正しいと思ったことをやればよい」

・「我々の憲法の核心価値である自由民主主義は、平等を無視して自由だけを重視するのではない。民主主義という仮面をかぶっている独裁と全体主義を排撃する本物の民主主義である」

・「不正腐敗と権力型不正にはいかなる場合も背を向けず堂々と対抗し、国民から委任された法執行権限を厳正に行使しなければいけない」

・「検察が憲法の価値と政治的中立を守って『公正かつ平等な刑事法執行』を通じて『国民の検察』になるように努力する」

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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