祖父の誕生日は欠席、命日は出席! 「健康不安」を払拭した金正恩委員長

祖父(金日成主席)の命日に参拝した金正恩委員長(労働新聞から)

 今日7月8日は金正恩委員長にとっては祖父・金日成主席の命日(1994年死去)である。金委員長は昨年同様に遺体が安置されている錦繍山太陽宮殿を早朝に「参拝」していた。

 命日の参拝は2018年に一度だけ見送ったことがあった。それ以外は皆勤だった。

 命日の参拝同様に政権発足(2012年1月)以来、一度も欠かしたことのなかった誕生日(4月15日)の「参拝」を今年初めてパスしていたことからこの日の参拝が注目されていた。

 金委員長は7月1日まで24日間も姿を現さなかったことから再び健康不安が取り沙汰されていたが、2日に政治局会議拡大会議に出席し、健在が確認されていたことから命日の参拝を欠席する理由は見当たらなかった。

 朝鮮中央テレビは3日に会議の様子を放映していたが、約6分間の映像には会議場に向かって歩く姿も映っていた。血色も良く、歩行も含め外見上は何の「異常」も見られなかった。身振り、手振り活発で、元気だった。

 政治局会議拡大会議では軍人を除く党幹部らは金委員長を含めほぼ全員が開襟シャツだった。しかし、この日の参拝は全員、正装していた。拡大会議の時と同様に誰もマスクを着用してなかった。

 政治局会議の第一の議題はコロナ対策で「防疫対策に気を緩めるな。少しでも慢心すれば、命取りになる」と最大限に警戒して、対策を講じるよう命じていた。仮に4月の欠席が「コロナ退避」だったならば、同じ理由から今回も欠席してしかるべきだった。それだけに4月の誕生日の欠席の理由が謎である。

 金委員長の参拝には国務委員、党政治局員、政治局員候補、党軍事委員らが随行していたが、名前を呼称されていたのは党政治局常務委員である崔龍海(国務委員会第一副委員長)と朴奉珠(国務委員会副委員長)の2人だけだった。

 配信された写真をみると、金委員長の後方に崔龍海、朴奉珠の両氏の両脇に序列No.4の金才龍総理と共にNo.5に出世した李炳哲(党軍委員会第一副部長兼党軍需工業部部長)が立っていた。李氏は核・ミサイル開発を担当している腹心である。

 南北共同連絡事務所の爆破で注目されている金委員長の実妹、与正第一副部長(政治局員候補)の姿も後方に見えた。しかし、国務委員である崔善姫外交部第一次官の姿は確認されなかった。

 崔第一次官は現在、訪韓中のビーガン国務副長官(北朝鮮担当特別代表)のカウンタパートナである。

 崔第一次官は4日に談話を発表し、「朝米(米朝)対話をあちらの政治的危機を抑えるための道具としか考えない米国とは向かい合って座る必要はない」と、ビーガン国務副長官と会う意思がないことを表明していた。談話どおりならば、内外で注目されている板門店での米朝接触は期待できそうにもないが、同じ国務委員である李先建外相が参拝に参席しているだけに彼女の「不在」は気になる。

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

有料ニュースの定期購読

「辺真一のマル秘レポート」サンプル記事
月額550円(初月無料)
月3、4回程度
テレビ、ラジオ、新聞、雑誌ではなかなか語ることのできない日本を取り巻く国際情勢、特に日中、日露、日韓、日朝関係を軸とするアジア情勢、さらには朝鮮半島の動向に関する知られざる情報を提供し、かつ日本の安全、平和の観点から論じます。

Facebookコメント

表示

※本コメント機能はFacebook Ireland Limitedによって提供されており、この機能によって生じた損害に対してヤフー株式会社は一切の責任を負いません。