「金正恩重篤説」を否定する韓国政府の5つの「根拠」

2018年に元山葛麻地区開発現場を視察した時の金正恩委員長(出所:労働新聞)

 韓国政府は日米韓の一部メディアが伝えている金正恩委員長の「重篤説」を「根拠がない」と否定し、「金委員長は健在である」と言い続けている。

  米国のCNNが韓国時間の4月21日に「重篤説」を伝えた際には青瓦台(大統領府)の報道官が「現在までに北の内部に特異な動向は確認されていない」と抽象的な返答をしていたが、2日後の23日には国家安全保障会議の鄭義溶室長が前面に出て「重篤説」や「死亡説」を打ち消していた。

(参考資料:重篤? 健在? 依然不明の「金正恩健康状態」

  昨日(26日)は、文大統領の側近の一人である文正仁・大統領補佐官(統一・外交・安全担当)が米国のフォックスニュースとのインタビューで「金委員長は生きているし、元気である。4月13日から元山に滞在している」と「証言」していた。また、2013年まで26年間情報機関・国家情報院に在職していた与党「共に民主党」の金炳基議員に至っては「様々な情報を総合すると、健康異常の可能性は0.0001%もない」と断言していた。さらに、北朝鮮問題を統括している責任者・金錬鉄・統一部長官までもが韓国メディアとのインタビューで金正恩委員長の健在を強調していた。

 韓国国会の外交委員長である尹相現議員(無所属)が重病説を唱えているほか、米国に亡命している元北朝鮮の党39号室(労働党の秘密資金調部署)の元高官である李正浩氏までもが「14日の巡航ミサイル発射を参観した際に事故にあったのでは」と推測するなど「重病説」はいろいろなところから途絶えることなく流れているが、韓国政府当局が「健在である」と主張する根拠はおよそ以下の5点である。

 

 ▲金委員長に異変があれば、厳戒態勢を敷くなど特異な動向がみられるが、軍も含めて国内に異変を暗示する兆候が見られない。

 ▲「労働新聞」や「朝鮮中央放送」など国営メディアで金委員長と各国首脳との電文交換などが紹介されている。

 ▲元山に滞在し、現地指導している証拠として金委員長が元山葛麻地区開発に従事している労働者らに感謝状を送っている。

 ▲韓国の北朝鮮専門メディアが「金委員長が平安北道の香山診療所で手術を受けた」と伝えているが、香山診療所は保健所で、手術できる施設はない。

  ▲太陽節(金日成主席の誕生日)の参拝を欠席したのが「異変」の根拠となっているが、金正日総書記も17年の在任中に4月15日の参拝はたった3回しかなかったことを考えれば、驚くべきことではない。

  結論として、韓国当局は4月17日の放送で金委員長が4月15日の参拝に姿を現してなかったことを取り上げ、健康異常の可能性を提起していたCNNが北朝鮮内部の消息筋の話として韓国の北朝鮮専門メディアが20日に伝えた「12日に平安北道の妙香山にある金一族の専用病院・香山診療所で心血管疾患の手術を受け、香山特閣に滞在している」との報道を真に受け、21日に誤報を流してしまったと分析している。

  「金正恩重病説」は韓国政府の全面否定にもかかわらず金委員長が25日の朝鮮人民革命軍創建88周年の際にも動静が伝えられなかったことから断ち消えることなく流布されているが、今日が2018年4月27日に南北首脳会談で発表された板門店宣言の2周年にあたることや数日中にも日本海に向けミサイル発射の動きがあることからここで金委員長が姿を現さなければ、「重病説」あるいは「脳死説」が現実味を帯びてくるかもしれない。

(参考資料:「金正恩危篤」は本当?

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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