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マスク対策でも1世帯に2枚の日本 1人に週3枚の韓国

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
1世帯に2枚配布されるマスク(写真:つのだよしお/アフロ)

 新型コロナウイルス感染拡大防止のためのPCR検査や軽症患者を隔離する施設の確保などで日本は立ち遅れてしまったが、マスク対策でも日本の対応がお粗末すぎることはあちらこちらで指摘されている。

 マスク不足が深刻になるや日本政府は国内メーカーに増産を働きかけ、輸入量も増やすことで3月は6億枚以上の供給確保を目指すと約束していた。また、店頭に並ぶまでにはなお一定程度の時間を要すると国民に理解と忍耐を求めていた。しかし、4月下旬になってもマスク不足は依然として解消されてない。薬局店には開店前から行列が絶えない日々が続いている。

 苦肉の策として日本政府は4月1日から全国で約5000万世帯すべてを対象に布マスク2枚配布することにしたが、これまた焼け石に水で評判が悪い。「共同通信」が4月10~13日まで全国有権者を対象に行った世論調査ではマスク2枚の配給についても76.2%の国民が評価していなかった。

 安倍政権は評判が悪かろうが、一部不良品が混じっていようが、回収して、新しいのに替えてでも全世帯に布マスクを配る方針のようだ。今後、1枚増やして3枚配ることも検討している。2枚でも、3枚でもあれば助かるので国民の4人に一人は歓迎しているのであろう。それでも、1世帯2枚では話にならない。洗って使えば済むというという話ではない。世界第3位の経済大国としては物足りない。もちろん、金があってもマスクが調達できなければどうしょうもない。そのことはわからないわけではない。しかし、もう少し工夫があっても良さそうなものだ。危機意識が欠如しているのかわからないが、日本の施策にはいま一つ緊張感が感じられない。

 一方、感染拡大で日本同様にマスク不足に陥っていた韓国では文在寅大統領が早くも3月6日には京畿度・平澤にあるマスク生産工場に乗り込み、従業員らに檄を飛ばし、マスク増産の号令を掛ける一方で、3日後の3月9日には早くも国がコントロールして直接国民にマスクを供給する措置を取った。

 韓国政府は買占めや混乱を避けるため生年月日の末尾が1と6の人は月曜日、2と7の人は火曜日、3と8の人は水曜日、4と9の人は木曜日、5と0の人は金曜日に購入できる措置を講じた。住民登録証など公的身元を証明できるものを持参すれば、ドラッグストア、郵便局、そして農協が運営するスーパーマーケットで購入できるようにした。80歳以上の老人や18歳以下の未成年、妊婦、入院患者の場合、代理購入も認めている。

 明日(4月27日)からは在庫量が増加したことや感染者が減少し、マスクを不要とする人も増えたことで受給が安定したとして枚数は3枚に増える。また、代理購入も容易にした。例えば、子供の購入日が月曜日で、親が金曜日の場合は、親が月曜日でも金曜日でも2人分購入できるようにした。また、韓国もゴールデンウィークに入ることから祝日は出生年度に関係なく、誰でもマスクを買えることができるようにした。

 簡単な話、日本は1人であろうが、2人であろうが、4人家族であろうが、人数に関係なく、1世帯に2枚マスクが支給されるが、韓国は週に一人3枚なので、1か月で12枚手に入る。お金があってもマスクを買えない状況下にあっては、韓国式を導入するのも一つ手だが、PCR検査のドライブスルー方式同様に安倍政権は頑なに導入しようとはしない。

 韓国は余裕があるのか、朝鮮戦争に参戦してくれた国々(22か国)のほか、米国や日本へのマスク支援を災難対策本部長の丁世均総理が表明したが、日本から支援要請がなかったため日本への支援は取りやめてしまった。

 マスクだけでなく、検査キット、防護服、人工呼吸器など余裕があることから韓国には欧米諸国やイランなど多くの国からSOSが発信されており、韓国はそれに応えて支援をしている。

 人の命に関わる問題、それも一刻の猶予も許されないだけにゴミ袋とか、雨合羽などで代替せず、防護服などは韓国に支援を要請したらどうだろうか?

 今から6年前の2014年4月に韓国の旅客船「セウォル号」が沈没した際、韓国政府の初動のミスと水産海洋部の杜撰な、誤った対応のため修学旅行中の高校生を含め約300人の尊い命が奪われたが、この時に仮に能力もあり、救助の術を知っている日本の海上保安庁に救助要請をしていたならば、全員は無理としても多くの若い命が救えたことだろう。

 当時、海上保安庁も韓国からの救難援助要請を待っていたが、結局、時の朴槿恵政権は慰安婦問題や竹島問題で日本と対立していたことから意地を張って、日本に救援を要請しなかったため取返しのつかない惨事を招いてしまった。

 韓国も日本も二度と同じ過ちを繰り返すべきではない。今こそ、本来あるべき姿である隣人としての助け合い精神を発揮し、協力し合ってもらいたい。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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