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日本も東京も、韓国、ソウルのように感染者が減らないだろうか

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
小池百合子東京都知事(写真:つのだよしお/アフロ)

 韓国中央疾病対策本部が午前10時に発表した韓国の感染状況によると、韓国の昨日(23日)の国内感染者は前日(8人)よりも2人減って、6人となった。今月に入って感染者数は著しく減少しているが、一桁は18日(8人)、20日(9人)、22日(8人)と、4度目である。また、昨日は一人も死者は出なかった。死者ゼロは3月16日以来、39日ぶりのことである。羨ましい限りだ。

 新規感染者8人の内訳は、韓国全感染者の64%(6482人)を占める大邱市で2人、全国で2番目に感染者の多い慶尚北道(1539人)で1人、3番目に多い京畿道(660人)で1人、第2の都市・釜山(136人)で1人。残り1人は空港の検疫で感染が確認されたケースである。

 韓国の17の市・道で感染者ゼロは首都・ソウルを含め13地域に上るが、ソウルは3日連続で感染者が確認されていない。死亡者も2人のままである。一時は最多の741人(2月29日)の感染者を確認した大邱市もこの10日間、9人、0人、2人、3人、4人、3人、1人、1人、4人、1人と推移している。

 日本はどうか?

 昨日(23日)は426人の新規感染者が確認された。4月1日から三桁が続いている。気が付けば、国内の感染者は1万2472人に達し、韓国(1万708人)を上回ってしまった。死亡者も前日比29人増え、328人と、これまた韓国(240人)を追い抜いてしまった。'''

 中でも東京は深刻だ。感染者の数は3572人と全国で一番多い。この14日から23日までの10日間連続で三桁が続いている。今日(24日)も161人の新規感染者が確認された。東京の感染者はソウル(628人)の5.6倍となった。死亡者も毎日出ており、累計で87人に達した。ソウルは2人なので、約43倍だ。

 日本と韓国は1月15日、20日とほぼ同じ頃に感染者が確認されていた。東京とソウルも最初の感染者が確認されたのは2月24日、23日とほぼ同じだった。少なくとも2月17日の時点では累積感染者は日本84人、韓国82人とほぼ同数だった。それが、今ではこの差である。

 日本(1億2596万人)は韓国(5100万)よりも人口が2倍以上も多いことから、感染者数も、死亡者数も人口比からすると、日本のほうが少なく、ましだとの声が聞こえるが、こうした楽観論は何の慰めにもならない。なぜか?

 PCR検査を増やせば、その分、感染者は増える。およそ1か月前の3月22日の時点では韓国の8691人に対して日本の感染者は1089人と、約8分の1に過ぎなかった。それが僅か1か月で約11倍も増え、韓国よりも1764人も上回ってしまった。PCR検査を増やした結果だ。

 PCR検査は韓国の58万9520件に対して日本は13万5983件と、4分の1以下である。仮に日本がPCR検査を4倍増やせば、感染者も4倍増え、単純計算で感染者は5万人近くとなる。

 また、東京とソウルの場合は、東京(1395万人)がソウル(972万人)よりも人口が423万人も多い。ソウルの感染者は東京の5分の1以下である。東京は3905人に1人で、ソウルは1万5477人に1人の割合だ。日本と東京の状況が韓国、ソウルと比べるといかに深刻が見て取れるだろう。

 差が付いてしまった理由は初期の段階でPCR検査を徹底しなかったことのツケもあるが、それを今さら蒸し返しても、何の意味もないし、感染拡大防止にも役立たない。

 日本が、東京が一日も早く、韓国のように収束に向かうには遅まきながら始めたPCRの検査を増やし、感染者を早期に発見し、隔離することと、感染しないよう外出の自粛など国民、都民の自制心と協力が何よりも望まれる。

 国内全感染者の3分の1強を占めている東京は4月4日に三桁の116人の感染者を確認してから20日間の間に6日(83人)と、7日(79人)と、13日(91人)を除いて5日143人、8日144人、9日178人、10日187人、11日197人、12日166人、14日161人、15日126人、16日148人、17日201人、18日181人、19日107人、20日102人、21日123人、22日132人、24日134人とすべて三桁の感染者を確認している。4月4日の116人を含めると、この20日間は累計で2683人になる。

 一方、韓国の全感染者の63.9%(6842人)を占めている韓国の第3の都市・大邱市は2月23日に三桁の148人の感染者が確認されると、24日141人、26日178人、27日340人、28日297人、29日741人、3月1日514人、2日512人、3日520人、4日405人、5日321人、6日367人、7日390人、8日297人、9日=190人、11日131人と、2月25日(56人)、3月10日(92人)、3月12日(73人)、13日(61人)以外はすべて三桁で、20日間の累計は5774人で、東京の2倍強もあった。東京は大邱市の当時の状況に比べればまだましである。

 大邱市は三桁が出てから1か月後の3月23日には24人に減り、4月9日からは一桁にまで減少し、4月10日には感染者が一時的にせよゼロとなった。東京も大邱のように三桁の感染者が確認されてから1か月目となる5月4日には大幅に減少し、一桁、さらにはゼロに向かってもらいたい。是非、そうあって欲しいし、そうならなければならない。そのためには緊急事態宣言に従い、誰もがソーシャルディスタンスを守ることが大事だ。

(参考資料:韓国の国内感染者が遂に一桁(8人)!それでも5月5日まで規制を緩めず!

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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