北朝鮮の12回目のミサイル発射は何の予兆? 不気味な北朝鮮の「次の手」!

「北朝鮮が飛翔体を発射」と速報で伝える韓国のTV(写真:ロイター/アフロ)

 北朝鮮が昨日(10月31日)、日本海に向け発射した飛翔体について日本は「弾道ミサイル」と断定したが、北朝鮮の国営放送「朝鮮中央放送」は今朝、「超大型放射砲(多連装ロケット)の試験射撃を成功裏に行った」と発表した。

 一方、韓国の合同参謀本部は飛翔体を今なお特定せず、「未詳の短距離発射体」と呼んでいるが、どのような形態の飛翔体にせよ、午後4時35分から38分にかけて、2発が高度90km、最大で370km飛行し、日本海に着弾している。

 発射地点は平安南道の順川からとみられているが、事実ならば、飛翔体は西から東に横断したことになる。

 北朝鮮が5月から再開した短距離発射は今回で12回目だが、内陸を横断したのはそのうち3回ある。平安北道・亀城から5月9日に発射された北朝鮮版「イスカンデル」(高度45~50km 420km)と、8月6日に黄海南道・クァイル郡から発射された同じく「イスカンデル」(高度37km 450km)、そして9月10日に平安南道・介川から発射された「新型大口径放射砲」(高度50km以上 330km)である。

 「超大型放射砲」ならば、8月25日、9月10日に続く試射ということになる。前回、試射に立ち会った金正恩委員長が「後は連発射撃試験だけだ」と語っていたことからも明らかだ。この時は発射した2発のうち、1発は日本海に届かず、内陸に着弾してしまったため「試射は完全に成功した」とは報道されていなかった。

 今回発射された地点は順川で、介川ではないが、同じ平安南道内にある。順川は一昨年(2017年)の8月と9月、中長距離弾道ミサイル「火星12号」が発射された地点でもある。

 今回、午後(16時30分台)に発射されたことで一部では「珍しい」と報道されているが、過去のデーターに基づけば、午後の時間帯での発射は決して珍しくはない。

 調べてみると、2006年に1度(7月5日)、2009年に2度(5月25日と29日)、2013年に1度(3月4日)、2014年に2度(2月27日と7月27日)、2015年に3度(2月6日、4月3日、5月)もあった。

 また、2016年にも4月30日午後7時26分に中距離弾道ミサイル「ムスダン」が発射されており、一昨年(2017年)の5月21日にも平安南道の北倉付近から弾道ミサイル1発が午後4時59分に発射され、500km飛行し、日本海に着弾している。この年に北朝鮮は初めて長距離弾道ミサイル「火星14号」の発射に成功しているが、中国に近い慈江道・舞坪里から午後11時41分に発射されていた。

 それでも今年行った11回の発射がすべて午前、早朝だったことを考えると、今回に限って午後に発射した理由は不明だが、金正恩委員長のスケジュール、都合に合わせた可能性も否定できない。

 韓国当局もメディアも金委員長は試射に立ち会ってないとみているようだが、北朝鮮は「成功的な試験射撃結果を現地で党中央委員会に直接報告した。最高指導者は報告を受け大きな満足を表明した」と伝えていた。金委員長が現地を視察していた可能性は否定できない。「党中央」とは時に金委員長を指すからだ。

 先月(10月)2日の潜水艦発射弾道ミサイル「北極星3号」の発射には金委員長は立ち会ってなかったが、これは潜水艦から発射されたのではなく、水中に沈めた発射台から発射されたためだ。しかし、今回は金委員長が指示していた超大型放射砲の連続射撃試験が「成功した」だけに参観していた可能性は否定できない。トランプ大統領を刺激しないため立ち会っていたことを報道しなかっただけかもしれない。金委員長は2016年3月から始まった新型大口径放射砲の射撃試験にはすべて立ち会っていた。今年も7月31日、8月2日、8月25日、9月10日と立て続けに現地を視察し、現場で指揮していた。

(参考資料:矛盾する北朝鮮の「SLBM発射実験」と「米朝実務交渉再開」の動き)

 北朝鮮のメディアは金委員長が先月15日、北朝鮮の革命の聖地である白頭山を白馬で登頂した際「再び世界が驚く我が革命を一歩前進させる雄大な作戦が計画されている」と伝えていたが、「計画されている雄大な作戦」が金剛山から韓国の施設を撤去させ、独自開発することを指しているのか、それとも、新たに建造された潜水艦からの「北極星3号」の発射を指すのか、あるいは大陸間弾道ミサイルとみなされている「人工衛星」の発射を試みるのか、今回の発射は何の予兆なのか?

(参考資料:「金正恩白頭山詣で」 世界が驚く北朝鮮の「雄大な作戦計画」とは!?)

 米国も韓国も国際社会も金委員長が米朝関係改善に向けての「政治決断」を期待しているが、金委員長がトランプ政権に突き付けた対話期限は年内までだ。北朝鮮の「次の手」が気になる。

(参考資料:「米朝ストックホルム交渉」決裂の3つの予兆)

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て、フリー。1982年 朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動開始。98年 ラジオ「アジアニュース」パーソナリティー 。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。著書に「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人、残念な日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙 間違いだらけの日韓関係」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など25冊

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