文大統領の「南北経済協力で日本に勝つ!」の「隠し玉」は北朝鮮の地下資源か!?

輸出品であるマグネサイトを生産しているリョンヤン工場(北朝鮮の経済誌から)

 日本から「経済戦」を仕掛けられたとして日本に挑戦状を叩きつけた文在寅大統領は「我々は日本に勝てる。北朝鮮との経済協力が実現すれば、日本に一気に追いつくことができる」と国民向け談話(2日)で口にしていたが、「日本に勝てる」との文大統領の「隠し玉」はどうやら北朝鮮の地下資源(鉱物資源)にあるようだ。

(参考資料:韓国経済は5年後に日本に追いつけるか)

 一体、北朝鮮にはどれだけのレアメタルがあるのだろうか?

 韓国の統計では、北朝鮮には200種類の鉱物資源が埋蔵されている。開発価値のある資源としては金、銀、銅、鉄、亜鉛、マグネサイト、石炭、石灰石、黒鉛、チタン、ニッケル、タングステン、モリブデン、コバルト、マンガン、クローム、ウランなどがある。このうち、世界10位に入る鉱物だけで7種類もある。

 耐火煉瓦や建材など多種多様な用途に使われるマグネサイトの埋蔵量は世界1位の65億トン。世界の埋蔵量の半分に当たり、韓国の2,520年分の需要に相当する。米国のミネラル・テクノロジー社がかつて北朝鮮との間で100万トンの契約を交わしたことがあるが、これは米国が海外から輸入している量の4分の1に当たる。

 車のブレーキパットや電池の負極材、あるいは自動車や航空機、家電製品のオイルシールとして使用される黒鉛は世界3位、自動車ステンレスの添加剤として使用されるモリブデンは世界4位の埋蔵量である。また、鉄鉱石の埋蔵量は30~50億トンと見積もられているが、仮に50億トンならば、韓国の32年分の需要に相当する。

 石炭埋蔵量も東アジア貿易研究会の報告書(1998年3月)によると、130億トンと推定されている。セメントの原料となる石灰石の埋蔵量も豊富で1千億トンと見積もられている。

 自動車部品などの工作機械に使用されるタングステンも60万トン埋蔵されていると見積もられており、生産量は1999年の段階で中国(24,00トン)、ロシア(3,500トン)、オーストリア(1,610トン)、に続き700トンと4位に付けていた。

 原子力発電所の燃料であるウランは黄海南道・白川や平安北道・朔州など全国10箇所に埋蔵されている。埋蔵量については「400万トン」と過剰推定されているようだが、仮にその半分としても、現在、世界で経済的に採掘可能のウラン資源は200万トンとみられているだけに相当な埋蔵量だ。

 金鉱については「ワールドゴールドカウンシル」が12年3月に発表したデーターに基づけば、埋蔵量は2千トンで、世界10位。銀鉱も3千~5千トンあり、銀の産出量はアジア産銀国の中で5位にランクされている。

 ちなみに、金塊との関連では米国が2006年にマカオの銀行にある北朝鮮の複数の口座(日本円で総額29億円)を凍結したことがあったが、北朝鮮はこの年、1,300kgの金塊をタイへ輸出し、日本円で33億円の外貨を手にしていた事実はあまり知られていない。

 北朝鮮の地下資源の潜在的価値について韓国統計庁は2010年12月の時点で約6,983兆ウォン(当時日本円で600兆円相当)に上ると推定していたが、昨今注目されているのが北朝鮮のレアアースである。「世界1位の中国に次ぐ埋蔵量があるかもしれない」と囁かれ始めているからだ。というのも、中国の証券時報網が2013年12月に「北朝鮮で大規模なレアアース鉱床発見か…潜在価値は数兆ドル」との見出しの記事が載って、関係者を驚かせたからだ。

 レアアースの全世界の埋蔵量は1億5千万トンと言われ、このうち中国が9、100万トンを占め、続いてロシア(2、100万トン)、米国(1、400万トン)の順になっているが、中国の証券時報網によれば、平安北道定州などに推定で2億トン(数兆ドルの価値)埋蔵されているとのことだ。俄かに信じ難いが、事実ならば、レアアースの世界地図を大きく塗り替えることになる。

 さらに、一般には知られてないが、北朝鮮には原油も埋蔵されている。その埋蔵量は世界8位と、一昨年、英国の石油企業(アミネックス精油会社)の探査責任者であるマイコ・レコ氏が明らかにしていた。

 平安南道・粛川や安州、日本海の元山沖、及び黄海に近い南浦沖に埋蔵されていると伝えられているが、南浦沖だけで430億バレル(約60億トン)規模の原油が埋蔵されているとも伝えられている。

 北朝鮮は1990年代にイラン、オーストラリア、スウェーデン、カナダ、フランス、シンガポールの石油メジャーと油田開発専門会社を招き、探査を依頼したが、いずれも不発に終わっている。2000年に入ってからはノルウェーのGGS社が進出したが、資金不足で2004年5月に撤退。その後、英国の石油企業のアミネックス精油会社が後を継いだが、これまた資金難から撤退してしまった。北朝鮮に対する米国や国連安保理の制裁などが障害となっており、制裁が解除されない限り、外国企業による開発、投資など北朝鮮での経済事業は事実上、不可能であるためだ。

 そのことを理解している文大統領も南北経済協力について「非核化と朝鮮半島の平和を土台」に基づくビジョンであると断っているが、文大統領はおそらく、世界の3大投資家の一人として知られている米国のジム・ロジャーズ(現ロジャーズ・ホテルディングス会長)氏が昨年10月に訪韓した際、韓国のラジオ番組に出演し、語った南北経済協力関係に関する以下の予言が支えになっているようだ。

 「統一コリアと日本を比較した場合、日本は相手にならないだろう。韓国の知識と資本、ノウハウなどを使って北朝鮮の豊富な人力資源と天然資源を活用すれば統一コリアは大変貌するだろう。北朝鮮で起きている肯定的な変化は結局、北朝鮮のみならず韓国も含め朝鮮半島全体が投資に最も適した場所となるだろう。文在寅大統領の対北政策が成功し、朝鮮半島に真の平和と繁栄が訪れれば、南北は莫大な金を節約でき、戦争脅威の中で不安に脅えながら暮らさずに住むことになる」

 確かに、土地の価格が高騰している韓国とは違い、北朝鮮には手つかずの広い国土があり、加えて教育レベルが高く、言葉も通じ、労働争議の心配もない、アジアで最も安い労働力があることから韓国の資金と設備と技術を投入して、北朝鮮の地下資源を開発、生産、加工、輸出すれば、韓国に多大な経済的恩恵をもたらすことになる。

 北朝鮮がミサイルを乱射し、朝鮮半島有事を想定した米韓合同軍事演習が行われている状況下では文大統領の発言は空想、あるいは「絵に描いた餅」かもしれないが、北朝鮮の核問題で米朝妥協が成立し、北朝鮮への制裁が解かれれば、妄想、ホラと片づけるわけにはいかないようだ。

(参考資料:経済では韓国は日本に太刀打ちできない!)

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て、フリー。1982年 朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動開始。98年 ラジオ「アジアニュース」パーソナリティー 。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。著書に「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人、残念な日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙 間違いだらけの日韓関係」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など25冊

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