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「人工衛星」の発射ならば、不意ではなく、必ず事前通告がある!

辺真一ジャーナリスト・コリア・レポート編集長
棒で刺した場所が東倉里の「衛星発射場」、その左側の茶色の建物が「総合指揮所」(写真:ロイター/アフロ)

 韓国情報機関・国家情報院が5日、北朝鮮が平安北道鉄山郡・東倉里のミサイル発射場の解体施設のうち一部を復旧しており、山陰洞のミサイル総合研究団地でも「物資運送用車両の活動が確認された」と報告したのに続き、韓国国防部も7日、ミサイル発射場と平壌郊外の山陰洞にあるミサイル総合研究団地の動きを「注視している」ことを明らかにした。

 国防部の報道官は北朝鮮の意図について問われ「把握していることはあるが、話せない」と述べていたが、米CNNは8日、ミドルベリー国際大学院モントレー校東アジア核不拡散プロジェクトトップのジェフリー・ルイス氏の分析として衛星ロケット打ち上げの準備が進んでいると伝えていた。

 人工衛星ならば、日本海に面した咸鏡北道の舞水端里基地から発射された1998年と2006年を例外として、北朝鮮から必ず事前予告があるはずだ。国際民間航空機構(ICAO)や国際海事機構(IMO)、国際電気通信連合(ITU)にも事前通告がある。

 北朝鮮は人工衛星と称している「光明星」を1998年8月31日の発射を含め過去6回打ち上げているが、2009年からの4回はいずれも発射前に事前予告していた。

 金正日政権下の2009年4月5日に発射された「光明星2号」は朝鮮宇宙空間技術委員会が2月24日に東海衛星発射場で「人工衛星打ち上げの準備を行っている」と発表し、早くも3月13日には「4月4-8日の間に人工衛星を打ち上げる」とICAOとIMOに通告していた。そして発射前日の4月4日に朝鮮宇宙空間技術委員会は「間もなく発射する」と発表して、打ち上げていた。

 外国からマスコミを招請し、鳴り物入りで宣伝しながら失敗に終わった2012年4月13日の「光明星3号」もまた、宇宙空間技術委員会が3月16日に「4月12-16日の間に発射」と予告していた。 さらに再度トライした同年12月12日の発射も12月1日に朝鮮宇宙空間技術委員会が「12月10~22日の間に発射する」と発表していた。

 直近の2016年2月7日の「光明星4号」も2月2日に「8-25日の間に発射する」とITUに通告していた。しかし、この時は、6日になって「7-14日に」に変更すると通告し、予告開始日の7日に発射していた。いずれにせよ最初の予告から5日目の発射であった。

 米国による迎撃を恐れてか、回数を重ねる度に予告から発射までの時間が短縮されているものの仮に北朝鮮が人工衛星を発射するならば必ず宇宙空間技術委員会の名による予告があるはずだ。

 本当に発射を計画しているならば、早ければ4月10日に開催される最高人民会議と15日の金日成主席の生誕日の間、あるいは4月25日の朝鮮人民革命軍創建日前あたりの可能性も考えられる。

 北朝鮮は「光明星」を2006年(7月5日)、2009年(4月5日)、2012年(4月13日と12月12日)、2016年(2月7日)とほぼ「3年スパン」で行っており、このうち2回は4月だった。

ジャーナリスト・コリア・レポート編集長

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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