北朝鮮が2週間以内にICBMを再発射! トランプ大統領は我慢できるか?

チキンレースを続ける金正恩委員長とトランプ大統領

米CNNが今朝伝えたところでは、北朝鮮は今後2週間以内に大陸間弾道ミサイル(ICBM)もしくは中距離弾道ミサイル(IRBM)を再度発射するかもしれない。

CNNは北朝鮮事情に精通した政府関係者二人の話を基に報じているが、それによると、米国の情報衛星写真分析結果、北朝鮮がICBM又はIRBM発射のための部品及びミサイル統制システムのテストをしている気配と衛星基盤レーダー搬出の痕跡を感知したとのことだ。

米国は7月4日の北朝鮮初のICBM発射実験以後、追加発射を警戒し、北朝鮮関連データーや通信を精密に監視、傍受しているとされているが、金正恩委員長がICBM発射成功後に軍需部門責任者らを前に「今後もトランプ(大統領)を退屈させないため大小の贈り物(ミサイル)を届けろ」と発言していることからミサイルの再発射は十分に予測がつく。

まして、北朝鮮外務省が14日に「国連安保理が再び制裁決議をすれば、後続措置を取る」との談話を出していることからミサイル再発射の可能性は高いと言えよう。

北朝鮮が「火星14号」と称している7月4日のICBMについては米軍制服組NO.2のポール・セルバ統合参謀本部副議長は18日、上院軍事委員会公聴会に出席し、「米本土に到達できるミサイル飛行能力を示したが、現時点で米本土の標的に正確に命中させる能力はない」との見解を明らかにしていた。

その理由についてセルバ副議長は「専門家の話として、北朝鮮はまだそれ(米本土の精密打撃)に必要な誘導および統制能力を実証していない」と語っている。北朝鮮は「火星14号」で制御や弾頭の再突入、精密度など「技術的特性が確証された」と発表しているが、米国はまだそのレベルには達してないとみているようだ。

ICBMについては「完成」の北朝鮮と「未完成」の米国と主張が食い違っているが、「火星14号」は5月12日に発射された準長距離弾道ミサイル「火星12号」の改良型であることは衆目の一致するところである。

1段式の「火星12号」と異なり「火星14号」は2段式で、高度2,902km、飛距離は933kmあった。垂直でなく、仮に30~45度の角度で発射されれば、その飛距離は7000km~8000kmと予測され、ハワイ、アラスカが射程圏内に入る。

「火星14号」は北朝鮮が4月15日の軍事パレードでお披露目した長距離弾道ミサイル3種類のうちの一つである。残り2種類は長距離弾道ミサイル「KN-08」とその改良型の「KN-14」で、いずれも3段式である。「KN-08」は2012年4月の軍事パレードで、「KN-14」は3年後の2015年10月の軍事パレードでお披露目されている。

順番からすれば、次はこれら3段式のミサイルということになるが、仮に成功すれば、その飛距離は「火星14号」を上回るかもしれない。「2~3年かかる」との米国の予想を覆すことになるだろう。

「北朝鮮のICBMは将来米国の安全保障にとって深刻な脅威となる」とみなすセルバ副議長は「米国のあらゆるオプション」の一つである北朝鮮への先制軍事攻撃に関して「潜在的な選択肢として検討する必要がある」と証言していた。

(参考資料:後退、後退、また後退の米国の「レッドライン」

軍事オプションについては米国のニッキー・ヘイリー国連大使は9日にCBSテレビに出演し、「金正恩が我々にその口実を与えない限り、北朝鮮と戦争をする気はない」と語っていたが、北朝鮮がこれ以上米国を挑発するならば「米国を防御するためにやらなければならないときはやる」(6日)とすでに公言している。

今月12日に発表された直近の米国の世論調査(政治専門媒体のポリティコと世論調査機関「モーニングコンサルタント」の共同調査)によれば、米国民にとって一番の脅威の対象が「イスラム国」や「ロシア」ではなく、驚いたことに「北朝鮮」であった。

北朝鮮(40%)がトップで、2位の「イスラム国」(30%)、3位の「ロシア」(16%)を大きく引き離していた。それもこれも、ブルムバーグ紙(7月17日付)によれば、米国民の55%が「北朝鮮の対米核攻撃は現実性がある」とみなしていることに尽きる。

そして、前出の世論調査によれば、米国民の49%が北朝鮮への軍事力行使を支持していた(共和党支持者63%、民主党支持者40%が支持を表明)。また、米上院東アジア太平洋委員会のコーリー・カードナー委員長(共和党)も昨日、「軍事的手段を動員してでも北朝鮮の核・ミサイル開発を阻止しなければならない」とワシントンで開かれた戦略問題研究所(CSIS)のセミナーで語っていた。

米国防省は北朝鮮の核問題との関連ですでに対北軍事オプションを作成し、トランプ大統領に提出している。トランプ大統領から「誰もが取ることを望まない軍事オプションを含む多様なオプションを準備するよう」指示があったからである。

北朝鮮がICBMを再発射しても、6度目の核実験を強行しても、トランプ大統領は果たして「我慢の子」でいられるだろうか。

(参考資料:北朝鮮に対する米軍の先制攻撃はいつでも可能な状態

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て、フリー。1982年 朝鮮半島問題専門誌「コリア・レポート」創刊。1986年 テレビ、ラジオで評論活動開始。98年 ラジオ短波「アジアニュース」パーソナリティー 。2003年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会会員、日本ペンクラブ会員。著書に「在日の涙 間違いだらけの日韓関係」(飛鳥新社)「世界が一目置く日本人、残念な日本人」(三笠書房)「大統領を殺す国 韓国」(角川)「金正恩の北朝鮮と日本」(小学館)「北朝鮮100の新常識」(マサダ)「韓国人と上手につきあう法」(ジャパンミックス)など20数冊

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