次期大統領候補「韓国のトランプ」の支持率がソウルではトップ!

「韓国のトランプ」と称される李在明・城南市長

即退陣か、弾劾による失職か、それとも与野党合意による「円満辞任」か、朴槿恵大統領の決断次第によって大統領選挙の日程が決まる。

週末に行われた韓国史上最大規模(232万人=主催者発表)の国民デモに屈し、9日に予定されている国会での弾劾採決前に朴大統領が即辞任を表明すれば、大統領選挙は来年2月に行われることになる。

即退陣を拒否し、弾劾が9日に可決されれば、憲法裁判所の裁定が下るまでは大統領の職務は停止する。憲法裁判所は180日(半年)内、即ち来年の6月までに裁定すればよいが、大統領不在による政治空白の長期化を避けるためにも、また2004年に弾劾された盧武鉉元大統領の場合、3分の1の2カ月で判決を下した前例からして早ければ2月には決着がつくかもしれない。そうなれば、大統領選挙は2か月後の4月となる。

また、朴大統領が弾劾回避の策として与党提案の4月辞任を受け入れ、これに野党も同意すれば、大統領選挙は6月にずれ込むことになる。どちらにしても、来年12月に予定されていた大統領選挙が前倒しとなるのはほぼ確実だ。

(参考資料:朴槿恵大統領はなぜ、かくも強気なのか)

現在、大統領選挙で有力候補として名前が挙がっているのは、与党「セヌリ党」(128議席)からの出馬が噂されている潘基文(パンギムン)国連事務総長(72歳)、野党第一党の「共に民主党」(121議席)の文在寅(ムン・ジェイン)元代表(63歳)、第二野党「国民の党」(38議席)の安哲珠(アン・チョルス)前代表(54歳)、それに李在明(イ・ジェミョン)城南市長(52歳)の計4人である。

過去5カ月間の各種世論調査を見る限り、これまで3番手に付けていた安哲珠前代表が下降傾向にある。支持率は最高でも11.4%(10月31日)と、20%台で激しく競っている潘基文、文在寅両氏にダブルスコア―で引き離されている。直近の調査(11月30日)では6.9%と過去最低を記録していた。このまま支持率が上昇しなければ、大統領選挙を待たずに脱落する可能性が大だ。

こうしたことから「朴槿恵・崔順実スキャンダル」が表面化するまでは大統領選は潘基文氏と文在寅氏の二人に絞られ、一騎打ちになる公算が大とみられていたが、ここに来て安哲珠前代表に代わる第三の人物がダークホースとして急浮上している。文在寅氏と同じ党に所属する李在明・京畿道城南市長である。

李在明市長は「朴槿恵退陣デモ」が起きるまでの10月の時点では大統領候補としてほとんど取り沙汰されていなかった。名前が挙がったとしても、支持率は1~2%そこそこで泡沫候補扱いされていた。それが、11月30日に発表された世論調査機関「リサーチビュー」の調査(30日午前)結果、17.2%の支持を集め、驚いたことに潘基文氏(15.2%)を抜いて2位に躍り出た(1位は23.8%の文在寅氏)。

李在明市長は12月1日に発表された世論調査機関「リアルメーター」の調査(11月28-30日)でも前回の11.9%から3.2%アップの15.1%を記録し、文在寅(20.7%)、潘基文(18.2%)の両氏に迫っていた。

さらに、日本のNHKにあたる「KBS」の委託を受けた世論調査機関「メディアリサーチ」が12月2日に発表した調査(11月28-30日実施)でも1位の潘基文氏(17.3%)、2位の文在寅氏(17.1%)に肉薄する15.7%。1位から3位までは誤差範囲である。

この調査によると、20代の支持率では26.4%と、文在寅氏(20.4%)、潘基文氏(6.8%)よりも上回っている。30~40代の支持率でも文在寅氏とほとんど差はない。

地域別では首都・ソウルでは20%と、文在寅(14.9%)、潘基文(9.9%)の両氏を大きく引き離している。慶尚北道(安東)出身にもかかわらず全羅道でも善戦し、18.7%と、22.6%の文在寅氏に迫っている。

李市長の難点は文候補と同じ党に属していること、また党内に支持基盤がないことにあるが、李市長は「党の公認候補は党員ではなく、国民によって選ばれるべきだ。そうなれば、勝てる」と自信を仄めかしている。

今月で52歳となる李市長は2010年からソウル郊外にある人口100万人の城南市の市長を務めているが、破綻寸前の市の財政を立て直すなどその行政手腕は市民から高い評価を受けている。若者向けの年間5万円の商品券や中学に入学する生徒への制服の無料提供など福祉にも力を入れ、若者から絶大な支持を得ている。

家が貧しく、小学校卒業後に中学に進学せず、城南工業団地で働く。勤務中に機会に挟まれた左腕は今も曲がったままだ。その後、独学で中央大学法学学士を取得し、25歳で司法試験に合格し、人権派弁護士となった。政治の道を志すまでのプロセスは弁護士時代に社会的弱者のために活動した盧武鉉元大統領と似ている。

突進型で食いついたら離さない性格なことから「ブルドック」のあだ名が付けられている。

また、歯に衣を着せぬ言動から「韓国のトランプ」と称されている。李市長の言動は国民からすれば溜飲を下げる「サイダー」のようなものだが、幾つか発言を列挙すると;

「私は大衆の中に入って、大衆の声を聞いて行動する」

「朴槿恵を拘束して、法は万人の平等であることを示さなければならない」

「政経癒着し、労働を弾圧し、中小企業を苦しめる財閥を解体させなければならない」

「我々を侵略し、独島(竹島)への挑発を続けている事実上の敵国である日本に軍事情報を無制限に提供する協定を締結するなら朴槿恵は大統領でなく、日本のスパイだ」

「社会的企業に仕事を与えたことが従北(北のシンパ)ならば、特定人に現金を渡した朴槿恵は固定スパイである」 

腐敗体質の朴槿恵政権だけでなく、財閥との政経癒着を許してきた既得権勢力への国民の不満は極度に達していることから国民は文氏や潘氏ら旧来の政治家よりも、より新鮮で中央政治に汚れてない指導者を求めている。その意味では李在明氏は政策的にはむしろ民主党予備選でヒラリー・クリントン候補と戦ったバーニー・サンダース候補に近いと言えよう。

盧武鉉元大統領も泡沫候補からスタートしたが、若者から圧倒的な支持を受け、当選している。李在明市長もSNSを利用している。ツイッターのフォロワーは25万人以上。もしかすると、盧武鉉大統領の再現もあり得るかも。

(参考資料:知られざる韓国大統領の絶対的権限

東京生まれ。明治学院大学英文科卒、新聞記者を経て1982年朝鮮問題専門誌「コリア・レポート」創刊。86年 評論家活動。98年ラジオ「アジアニュース」キャスター。03年 沖縄大学客員教授、海上保安庁政策アドバイザー(~15年3月)を歴任。外国人特派員協会、日本ペンクラブ会員。「もしも南北統一したら」(最新著)をはじめ「表裏の朝鮮半島」「韓国人と上手につきあう法」「韓国経済ハンドブック」「北朝鮮100の新常識」「金正恩の北朝鮮と日本」「世界が一目置く日本人」「大統領を殺す国 韓国」「在日の涙」「北朝鮮と日本人」(アントニオ猪木との共著)「真赤な韓国」(武藤正敏元駐韓日本大使との共著)など著書25冊

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