外出禁止令でDVが約35%上昇したフランス 家庭内で外出自粛をうまく乗り切るには?

通常でも2日に1人の割合で女性がDVで殺されるが、外出禁止令下では?(写真:アフロ)

フランスのラジオ局Europe1によれば、外出禁止令が終わった武漢では離婚するカップルの数が急上昇したらしい。

ところで外出禁止令3週間目に突入したフランスでは、1週間目ですでに、パートナー間での暴力が、32%(パリでは36%)増加している。なんといってもDVで2日に1人の女性が殺される国。これ以上外出禁止令が続けば、状況は恐ろしいことになりそうである。過去記事はこちらhttps://news.yahoo.co.jp/byline/puradonatsuki/20191206-00153814/

「19マスクをください」という暗号

26日、内務省は、被害者は薬屋に駆け込んで警察の保護を受けることができるという新しいシステムを作ったと発表した。外出禁止令下で加害者と一緒に閉じ込められていては110番することは難しいからだ。

また、加害者が薬屋まで一緒に来てしまい、自由に話すことができない場合は、店員に「19マスクをください」(COVID19の19)と言えば、警察が出動するという「暗号」までできた。(この暗号は、すでにスペインで使用されている)

被害者をサポートするプラットフォームにかかってくる電話の件数自体は、通常より少ないという。「自由に電話できるのは、暴力を振るうパートナーが買い物や散歩に出かける時だけ(外出禁止令下でも30分以内ならば散歩に外出しても良い)なのではないか? それ以外は一人でいることすらできず、だから助けを求めないのでしょう」と、リール市のDV被害者擁護の会Solfa代表は言う。

そのため、いくつかの団体は、今は、電話よりもメールでの届け出を優先するようにしている。国全体で130のアソシエーションを一括しているDV被害者擁護団体CIDFFは「電話でコンタクトできる時間帯を延ばし、新しくメールで被害届を受け取ることができるようにした」と。また「もし、暴力を振るわれた場合には、外出禁止令は無視すべき、直ちに警察に届に行くこと」というメッセージを広めている。

テレビのニュースでも「外出禁止令を家族でうまく乗り切る知恵」を報道

DVとまでは行かないまでも、狭いアパートに家族だけで閉じ込められていれば、当然、問題は起きる。情けないことだが、私自身、外出禁止令が出た時に、一番気になったのは、ウィルス感染ではなく「夫と毎日24時間一緒に暮らしたら喧嘩になるに決まってるー、どうしよう?」だったのである。

もちろん、多くの問題は家事である。

フランスではINSEEの調べでは2012年、女性は72%の家事、65%の育児、つまり1日につき男性より1時間半長く家の中の諸々の仕事を担っていた。2019年IFOPの統計では、いまだに73%の女性が「私の方が長時間家事を担っている」と答えているとか。(イタリア88%、ドイツ69%)

先日、テレビ番組で「外出禁止令下でのカップルの悩み相談室」をやっており、「妻の機嫌が悪いうえに、子どもたちはますます態度がデカくなりうんざり。」という夫が相談していた。

回答者は「妻はテレワークもしなければならない、子ども3人それぞれの宿題もさせなくてはならない、それに掃除、洗濯、料理も大部分をするというのでは機嫌が悪くなるのは当然。まず、家事の分担を明確にすることです。それから、例えば『2時から4時まで』とかそれぞれが一人で過ごすことができる時間を作ること。また、夕食を早めに済ませ(フランスでは8時、9時と遅めの夕食が多い)、その後は、それぞれが就寝までテレワークに集中できるように配慮し合うのもいいですよ」などとアドバイスしていた。

Doctissimoという医療関係のサイトでは「外出禁止令をカップルで乗り越えるため」と次のようなアドバイスをしている。

・ すべてを二人でしようとしないこと、一人で過ごす時間を作る

・ 高速道路で走る車の中に家族全員でいる時のように、口論は危険であるということを認識すること

・ 口論が始まる裏には心配事や不安があることを理解すること

・ 外出できないとしても、自分のモラルのために、またパートナーへの礼儀として毎日、身なりに気をつけること。

知人は、外出禁止令が出て一番最初にしたことは、パートナーと話し合って、家事分担をはっきり分けて、表を作り、冷蔵庫に貼ったとか。二人とも50歳代。いや、年は関係ない。これを機会にパートナーと良い関係を築くことができる人たちもいるといいのだけれど……。