膵臓がんとはどんな病気か 最低限知っておくべきこと

(写真:アフロ)

女優の八千草薫さんが膵臓がんでお亡くなりになったと報じられました。

深く哀悼の意を表します。

たたずまいや優しいお声が印象的な無二の女優さんであったと存じます。

八千草さんは膵臓がんの手術を受けられ、その後今年になって肝臓に転移が判明したと報じられていました

膵臓がんとはどのようながんなのでしょうか?

膵臓がんの基本的情報

がんになったらまず開くべきサイトであるがん情報サービスの記載によると、膵臓がんは罹患数に比べると、死亡数が目を引きます。

やや男性に多く、年齢別としては60歳頃から増え、高齢になるほど多くなります。

リスクとしては、慢性膵炎や糖尿病、血縁者の膵臓がん罹患、肥満、喫煙などが挙げられます。

膵臓がんは5年生存率が厳しいことが知られていますが、一般的には早期発見が難しく、進行が早く、転移も少なくなくステージが進んだ状況で発見されやすいことなどが関係しています。

また最近はさまざまな治療が開発されて現場で実践されるようになって来ていますが、膵臓がんに使用できる抗がん剤はある程度種類が限られます。

肺がんなどでは多数の種類が使用できる分子標的薬(がん細胞の特定の分子を標的として作用することで治療効果を発揮する薬剤)や本庶佑博士のノーベル賞受賞で有名になった免疫チェックポイント阻害薬などの適応も限られており、概して使える薬剤が乏しいという状況にあります。

これらが相まって、全体的には手ごわいがんと目されています。

膵臓がんと肝転移

一般の方にはしばしば誤解があるのですが、がんは最初に生じた部位のがんの性質を転移先でも持っているために、たとえばひとくちに肝臓がんといっても、肝臓から生じたがんと、他の部位のがんが肝臓に転移したがんとでは治療が異なります。

肝臓から生じたがんは、原発性肝がんといいますし、他から肝臓にやって来たがんは、転移性肝がんと呼びます。

そして前者は肝臓がんの治療を、後者はもともとのがんの治療を行います。たとえば、乳がんが肝臓に転移した場合は、肝臓がんの治療ではなく、乳がんの治療を行います。

膵臓がんは肝臓に転移しやすいでしょうか?

答えは「はい」です。

海外のある文献では、膵臓がんの患者の50%以上が診断時に肝転移を起こしていると記しているものもあります。

また最初は肝転移がなかったものが、その後に出現してくるような場合もあります。

膵臓がんの肝転移の場合も、基本的に膵臓がんの治療を行います。

膵臓がんと緩和ケア

膵臓がんは進行してくると痛みが出現してくる可能性があります。

その痛みには特徴があり、当初は医療用麻薬がよく効きますが、中には途中から難治化するケースがあります。

こちらでも詳しく解説していますが、膵臓の周囲の腹腔神経叢(ふくくうしんけいそう、と読む。神経叢とは神経が集まって網目状になっている部分)などに腫瘍が進展して、難治の神経の痛みを形作ることが考えられます。

他にも消化管の通過障害や、腹膜播種(ふくまくはしゅ。腹膜に腫瘍が広がること)なども問題になって来ることもあり、早めに症状緩和の専門家ともつながっておくことが良いがん種のひとつと言えるでしょう。

膵臓がんにもし自分や家族がなった場合は?

もしなった場合はどう考えたら良いのでしょうか?

まずはがん情報サービスなどのまともな情報を提供しているサイトでよく調べること、また担当医や他の医療者によく尋ねることです。

以前も触れた、がん相談支援センターや患者会、早期からの緩和ケア外来なども役立ちます。

治療法の制約や、出回っている厳しい情報などから、膵臓がんを罹患された方やご家族のストレスは少なからぬものがあります。

すべてのがんに言えることですが、治療だけではなく、心身を支えるアプローチを並行させることが必要ですし、膵臓がんの場合もそれが特に言えると考えられます。

ネット上にはさまざまな情報が飛び交っており、その中にはまともなものもあれば、信憑性がかなり薄いものまで幅があります。

正しい情報選択が、根治や長期生存に関連すると考えられ、信頼できる相談先を確保することが大切だと言えましょう。

特に膵臓がんにおける治療法の限定性などは不安となる要因ですので、相談できる場所があることが望ましいと考えられます。