PTA役員決めで「私も我慢してやったんだから、あなたもやりなさいよ!」をなくす方法

いやいややった人は「ほかの人も我慢してやるべきだ」と考えてしまいます(ペイレスイメージズ/アフロ)

 あとひと月で新学期です。春の恒例「PTAクラス役員決め」が近づいてきた今、保護者や教職員のみなさんにお伝えしておきたいことがいくつかあります。

 ひとつは「入るか入らないか、なるべく自分で考えて決めてほしい」ということです。繰り返しお伝えしてきた通り、PTAは任意加入の団体です。入りたい人が入り、活動したい人が活動するものですから、自分で選んでいいのです。

 学校やPTAによってはそれを周知せず、保護者も教職員も全員自動加入にしているかもしれませんが、少なくともこの記事を読んだ方は「選べる」ことを知っています。できるだけ「自分がどうするか」を決めてもらえたら、と思うのです。

 というのは、「やりたくないのにやる」のが一番危険だからです。いやいややるから、「わたしも我慢したんだから、あなたも我慢してやりなさいよ(やって当然でしょ)」といって、保護者同士(なぜか母親のみ)の泥沼合戦が始まってしまうのです。

 泥沼で足を引き合うこの醜い状況をなくすためには、「やりたくない人はやらないこと」が必要です。やりたい人だけでやっていれば、泥沼合戦は起こりません。ここは「おやじの会」を見習いましょう。

 ただし、人から聞いたPTAのイメージだけで「入らない」と決めてしまうのはもったいないとも思います。PTAは個体差が大きく、噂に聞くほど恐ろしく陰湿なPTAばかりではありません。年度によって本部役員さんも代わるので、その年によってPTAのカラーは異なり、雰囲気がきつい年もあれば、ゆるい年もあります。

 「実際にPTA活動に参加してみたら、思っていたよりよかった」と感じる人が多いのも事実で、筆者もそう感じたひとりです。なのでできれば、まずはやってみてもらえたら、というのが正直な思いです。

 ただしもちろん、「それでもやっぱり私は入りたくない」とか、「いまはとても余裕がないから、今年度は見送りたい」という人もいるでしょう。そういった場合は、無理をする必要はありません。入会届や入会同意書で、そのように意思表示を。

 もし、そういった入会届などがない、全員自動加入方式のPTAの場合には(残念ながらそのケースが多いのですが)、「入らない」という意思をPTA会長か校長先生、あるいはその両方に伝える必要があります。

 会長さんのなかには稀に、PTAが任意加入であることを知らない方や、感情的に受け入れない方もいますが、校長先生は間違いなく、よくわかっておいでです。校長先生にも伝えた方が、おそらくトラブルは避けられるはずです。

*いきなり掴みかからない

 なお「入らない」という意思や、「加入意思確認をしてほしい(入会届を配ってほしい)」といった要望を会長や校長に伝える際に、お願いしておきたいのは、「いきなりファイティングポーズで臨まない」ということです。

 最初から掴みかかるのではなく、単に「こうしたい」あるいは「こんなふうにしてほしい」と事実を伝えるのが一番近道ではないかと思います。拳を握りしめて近づけば、相手も当然身構えますから、不必要に話がこじれてしまうことがあります。(すでにPTAで嫌な思いをした方は、やむを得ないとも思うのですが……)

 会長さんや役員さん、校長先生のなかには、本当は加入意思確認の仕組みを整えたいけれど、諸般の事情(学校サイド、保護者サイド、OB・OG、等々)により実現せず、困っている人もいます。そういう場合、その人たちを責めても仕方がありません。

 またなかには、これまでの自動加入方式を当然と信じ、強制加入の何が問題か知らない、または理解しきれていない役員さん・会長さんもいるかもしれませんが、その場合もやはり、感情をぶつけると話がずれやすいので、淡々と問題を指摘するのが早道かと思います。

 法的に裏付けのないやり方に憤りを感じるのもわかりますが、しかしいまPTAがこうなっているのは、現在の役員さんたちだけのせいではありません。

 戦後まもなく、GHQの指示で日本にPTAがつくられたときから約70年、強制加入方式をそのままにしてきたすべての関係者(過去70年間の保護者・学校・教委・文科省)に責任があるので、どうかその点も頭においてもらえたらと思います。

 ときどきPTAの役員さんから、「入学前の保護者の方から、電話や手紙で、激しく怒られることがある」と聞くのですが、それも辛いことでしょう。もしかしたらその役員さんも、PTAの問題改善に向けて動いている人かもしれません。

 ただし、万一「非会員は認められない(退会できない)」と言われるなど、間違った対応を受けた場合は問題です。もし校長も事態を収拾してくれない場合には、教育委員会(文科省)に相談する必要も出てくるでしょう。

*区別なく配る、できないならやめる

 なおときどき「退会はできますが、お子さんにこんな不利益が及びます」と告げて脅してしまうPTAもあるようですが、これはあるまじきことでしょう。

 PTAが学校施設を使って活動できるのは、それが学校に通う子ども全員のためのものだからです。PTA問題に詳しい憲法学者の木村草太さんは、「会員限定サービスは学校でやる必要がなく、家でやればいいこと」と指摘しています(拙著『PTAをけっこうラクにたのしくする本』より)。

 もし「非会員家庭の子どもに受けさせると不公平だ」と思うサービスがあるなら、PTAはそのサービスから手を引いたほうがいいと思うのです。

 たとえば、子どもが胸につける卒業式のコサージュ(花飾り)や、証書ホルダーなどの記念品をPTA予算で購入している場合、「非会員の子どもにあげるのは不公平だ」という声が、よくあがるようです。

 しかし、PTAでそれを扱うのであれば、非会員の子どもにも分け隔てなく渡すのが筋ですし、もしそれを「不公平だ」と考えるなら、そもそもPTAで扱うのをやめたほうがいいでしょう。

 コサージュや記念品の配布そのものをやめるか、あるいはもし配布を継続するのであれば、公費(学校の公的予算)をつけるか、または学校徴収金(学級費、卒対費、等々)として全家庭から集めればいいのです。

  • (PTA会費は学校徴収金ではなく、PTAという団体の会費です)

 「非会員家庭からのみ、実費で徴収する」という学校も多いようですが、それは本来、堂々とやるべきことではないように思います。

 昨年の記事で、筆者はこのように書きました。

学校等の事情により、どうしてもすぐには徴収金の扱いを変えられない、ということもあるかもしれません。そういった場合は、PTA予算から祝い品の費用を出す形を継続しつつ、「PTA非会員の家庭には別途、実費を払ってもらう」というのも、ひとつのやり方でしょう。

出典:訴訟も起きている「PTAに入っていないと子どもに卒業祝い品をあげない」は許されるのか

 しかし確認したところ、それらの費用を学校徴収金に移すことは校長の一存で可能と聞きますし、また筆者が問題を指摘してからも、既に一年が経過しています。

 もし来年度もPTA予算で扱うのをやめないまま、非会員家庭からのみ実費徴収を行うのであれば、学校が不作為を詫びたうえで行うのが筋ではないでしょうか。