Yahoo!ニュース

PTAが「楽しい」お父さんと「苦しい」お母さん そのギャップはなぜ生じる?

大塚玲子ライター
(写真:アフロ)

*PTAを嫌がる母親は自分勝手?

「お父さんのPTA参加」が注目されています。先日も、宮城県でPTA活動へのお父さんの参加を促す講演会が開かれたというニュースを見かけました。

そんななか、PTA経験者のお父さんから、こんな声を聞くことがあります。

僕はPTAやってみたけど、すごく楽しかったよ。なんでお母さんたちは、PTAをそんなに嫌がるの?子どもたちのための活動なのに、どうしてその意義がわからないんだろう……?」

PTA活動を経験した父親は、PTAに対して、比較的 肯定的な傾向があります。

母親も「やってみたら、想像していたよりはよかった」という人が多いですが、それにしても、父親ほど肯定的ではありません。というか、否定的な印象をもっている人のほうが多いものです。

下のグラフは、昨年春、朝日新聞が行った「PTAは必要ですか?不要ですか?」というアンケートに対する回答を、男女別に集計したものです(by @tomate さん)。

画像
画像

引用元 http://togetter.com/li/832110

「絶対必要・必要・あってもよい」は男性で48%であるのに対し、女性は31%。「なくてもよい・不要・絶対不要」が男性で47%であるのに対し、女性は60%。

比較するとやはり、男性はPTAに肯定的、女性は否定的な傾向があることがわかります。

なぜ、このような傾向が生まれるのでしょうか。

母親たちは自分勝手で、よその子どもたちのことなどどうでもいい、と思っているからでしょうか?

もちろん、そんなことはありません。

*理由1/母親にのみ、活動参加の強制力が働くから

母親がPTAを嫌う一番の理由は、「母親は、絶対にPTAをやらなければいけないとされているから」でしょう。

父親には、そんな期待や縛りはありません。お父さんにとってPTAは「やってもやらなくてもいいもの」。つまり、「自主的に、やりたい人がやるもの」なのです。

ちょっと想像してみてください。

同じことをするのでも、「必ず、やってね」と言われていてそれをやる場合と、「やってもやらなくても、好きにしていいですよ」と言われていて自主的にやる場合と、どちらのほうが楽しいでしょう?

断然、後者ではないでしょうか。

では、この母親に対する強制感はどこから生じるのでしょうか?

おそらくPTAも、家事や育児の一環として「女がやらなければならないもの」という刷り込みが、世間、そして母親自身のなかにあるのではないかと思います。

ですから、母親は公共心がないから、あるいはほかの子どものことがどうでもいいから、PTAを嫌っているのではないのです。

なにしろ、強制感・義務感が強すぎるから、楽しみづらいのです。

*理由2/男性は「長」、女性は「ヒラ」が多いから

母親が父親と比べてPTAを楽しみづらい理由は、もうひとつ考えられます。

それは、父親は「会長」「部長(委員長)」など、上に立つ「長」の仕事をやることが多いのに比べ、母親は「ヒラ」の委員をやることが多いから、ということです。

これもまた昔からの刷り込みのせいか、母親たちはいまでも上に立つことに拒否感を抱きやすく(「女は一歩下がって」という価値観)、「長」の仕事を避ける傾向があります。

でも実際は、「長」のほうが活動を楽しみやすいところがあるのです。

なぜなら、「長」は自分の意志で決められることの範囲が「ヒラ」に比べて大きく、「やらされ感」を感じにくいからです。

逆に言うと、「ヒラ」は自分で決められることが少なく、「長」の人と比べると、どうしても「やらされ感」を感じやすくなるのです。

もちろん、「長」をやるほうが時間をとられますし、責任も負いますから、いいことばかりではないのですが、時間の都合をつけられる&責任感のある人であれば、男女問わず「長」をやるほうが楽しいと思います。

冒頭に紹介したお父さんは「僕はPTAやってみたけど、すごく楽しかったよ」と言っていましたが、これもやはり、PTAの「ヒラ」ではなく「長」をやった経験からくる感想でしょう。

このように、お母さんたちに見えているPTAの景色は、お父さんのそれとは、ずいぶん異なるのです。 

*男女の役割があまりにも非対称

そもそもPTAは、男女の役割が、おそろしく非対称な世界です。

先ほども説明したとおり、お父さんはPTA会長か部長(委員長)、ということがほとんどです。

会長以外はひたすらお母さんばかりですし、まれに会長がお母さんの場合は、ひたすらみんなお母さんだったりします。※1

本部役員(会長・副会長・書記・会計等)として何人か父親の名前が入っていても、「お父さんはイベントのときだけ来ればOK」というナゾの不文律があったりして、「実際の仕事は全部、女性の役員でやっています」なんていうケースも珍しくありません。

同じひとり親でも、シングルファザーは活動を免除されますが(シングルじゃなくてもファザーはみんなそうですが)、シングルマザーは「やって当然」とされています。

この状況は、やはりちょっと、異様でしょう。お父さんたちにも、もっとPTAに参加するようになってほしい。「長」でも「ヒラ」でもいいので、楽しんでボランティア活動に参加してもらえたら、と思います。

同時にお母さん同士も、お互いに強制し合うのをやめ、やりたくなければ断固やらない、やるなら楽しくやる、という考えでやってもらえたらいいんじゃないかと思います。

そんなふうになれば、PTAは、いまよりずっと魅力的なものになるんじゃないでしょうか。

※1 地方は都市部と比べ、共稼ぎ世帯の比率がだいぶ高く、且つ学校規模も小さいところが多いため、「お父さんもお母さんも、ほぼ同率で参加しています(でないと仕事がまわらないので)」というところもあります。

ライター

主なテーマは「保護者と学校の関係(PTA等)」と「いろんな形の家族」。著書は『さよなら、理不尽PTA!』『ルポ 定形外家族』『PTAをけっこうラクにたのしくする本』『オトナ婚です、わたしたち』ほか。共著は『子どもの人権をまもるために』など。ひとり親。定形外かぞく(家族のダイバーシティ)代表。ohj@ニフティドットコム

大塚玲子の最近の記事