タイで奮闘する日本人写真家、小川遼(25)~国境を超えたその活躍~

商品プロモーション写真を撮影する小川遼(25)

世界一外国人旅行者が訪れるバンコク

タイの首都バンコクは、世界で最も多い、年間約2000万人の外国人旅行者が訪れる。人気の秘密は治安の良さや温暖な気候、近隣アジア諸国へのハブとしての機能などが挙げられる。そうした快適さを求め、バンコクに移り住む日本人も多い。2016年末時点で、バンコク在住の日本人は約4万6千人(在タイ日本大使館調べ)。

その1人が写真家の小川遼だ(25)。タイに渡って5年。アジア最大のスケートボードメーカに所属し、新商品のプロモーション撮影を任されるなど、高い評価を得ている。彼はなぜ成功しているのか、なぜタイに渡ったのかーー

まずは動画をご覧いただきたい。

名古屋出身でインテリアに興味

小川は愛知県名古屋市の出身。子供の頃はサッカーやテニス、ファッションに興味があり、大学2年までインテリアを学んでいた。父親が仕事の都合でバンコクに転勤することになり、小川も英語を習得する目的で一緒に海を渡った。はじめのころ、言葉が通じずに苦労したが、スケートボードを通して仲間になったタイ人の友人たちと意気投合し、バンコクに定住した。

写真を撮るようになったのは、1人の友人がきかっけ。彼はフィルムで写真を撮っていた。「新しいフィルムカメラを買ったから、今使っているボディとレンズを売ってあげるよ」と言い、彼が楽しそうに写真をとっているのをずっと見ていた小川は二つ返事でPentax MXを購入した。デジタルと違ってやり直しがきかない点や、フィルム独特の質感、現像して上がってくるまで撮った物がわからない緊張感などが、とても新鮮に感じたという。そして撮影にどんどんのめり込んでいった。

自らスケボーに乗りながら動画撮影

その後、スケートボーダーたちの動画ビデオや板のグラフィック、ストリートカルチャーに魅了され、自身もスケボーに乗りながら相手の技やテクニックを撮影してきた。それらが作品として評価され、スケボーメーカーから写真を依頼される機会が増えた。今ではタイの国内カンパニーでアジア最大のスケボーメーカー「Preduce skateboards」に所属している。社長のサイモンさんは小川をこう評価する「彼には彼の独特の視点があるし、向上心もある。最高だね」

家賃1万5千円のマンションで一人暮らし

小川はバンコク郊外の日本人が多く住む、スクンビットエリアのマンションで一人暮らしをしている、マンションはオートロック式で、小川の部屋は約12畳。ベランダとユニットバスルームがついて家賃は約1万5千円だという。1年前までのアルバイト時代は生活費も切り詰めていたが、今は生活に僅ながら余裕が出てきたという。月の収入は10万円ほどある。物価が日本の約3分の1というタイでは、不自由しない生活を送ることができる。両親は引き続きバンコクで暮らし、小川を応援している。

バンコクにも規制の波

2017年、タイにも公共空間への規制の波がやってきた。市当局が規制に本腰を入れ、憩いの場だった屋台や露店の撤去をはじめたのだ。公共空間で集える機会が減って行く現状。彼は日本同様、居心地の悪い社会になることを危惧し、人と人の交流の大切さ、ぬくもりを感じられるような写真の制作を通じて、規制の進む社会にわずかな「抵抗」をすることを決意した。

写真展を開催

今回フォーカスを当てたのは、「切符もぎり」や「手仕事の風景」などタイの日常に溢れた光景だ。スケボー関連の仕事の合間をみつけては、写真を撮り続けた。そして2018年2月、写真展をバンコクで開催した。会場では、タイをはじめアメリカなど国際色豊かな人たちが真剣に小川の写真を見つめていた。タイ人の女性バターさんは『タイ人の私たちが気付かなかった視点を写真で提示してもらえて感謝している』と喜びを語った。

会場を見つめる小川の目には達成感と充実感に溢れていた。彼に今後の目標を聞くと

「これからも仕事と並行して消えゆく町並みを写真で記憶する作業を続けたい。自分が愛する街だから」と力強く語った。

彼は今回開催している ”YAN PHAHANA”(タイ語で乗り物の意) をシリーズとして続けて行くそうだ。

【この記事は、Yahoo!ニュース個人の動画企画支援記事です。オーサーが発案した企画について、取材費などを負担しているものです。この活動は個人の発信者をサポート・応援する目的で行っています。】