デビュー30余年の定番おみやげ菓子がなぜ今、話題に?

カエルまんじゅうのアレンジバージョン「ケロトッツォ」が話題沸騰しています。7月22日に売り出すと連日あっという間に完売。かわいらしい見た目からTwitterでの写真の投稿も相次ぎ、SNSではさながら“ケロトッツォまつり”状態となっています。

カエルまんじゅうは名古屋の老舗和菓子店・青柳総本家のういろうと並ぶ銘菓。同社のロゴマークである「柳に飛びつくカエル」がモチーフで、創業110年にあたる平成元年に売り出されました。薄皮の中にこしあんがたっぷり。目、口の仕上げは職人の手作業で、ひとつひとつ微妙に表情が異なる愛らしさも、親しみやすいおいしさとマッチしています。

お土産商品としては安定した人気を誇ってきたカエルまんじゅうですが、デビューから30年以上たった今、にわかにブレイクしているのはなぜなのでしょう?

Twitterの投稿をフォロワーが後押し

「今回売り出したケロトッツォはTwitterから生まれた商品なんです」というのは同社広報担当・木下美幸さん。同社は2020年10月にTwitter公式アカウントを開設。ういろうのアレンジレシピなどを投稿する中で、特にフォロワーの反応がよかったのがカエルまんじゅう関連のツイートでした。

左はカエルまんじゅうの口にバターをはさんだカエルバター。右は試作段階のケロトッツォ。当初は口の部分にクリームを詰めていたが、本来の笑顔を活かすためにまんじゅうの下部にクリームを詰めるよう変更した
左はカエルまんじゅうの口にバターをはさんだカエルバター。右は試作段階のケロトッツォ。当初は口の部分にクリームを詰めていたが、本来の笑顔を活かすためにまんじゅうの下部にクリームを詰めるよう変更した

カエルの口の部分にバターをはさんだカエルバターや、5月に売り出した新商品「カエルのひのき風呂」に対する反響も大きく、「カエルまんじゅうは“こんなにもお客様に愛されているんだ”とあらためて気づかされました」と木下さん。そんな時に着目したのが、2020年上半期のトレンドスイーツにも選ばれたイタリアのお菓子・マリトッツォ。カエルまんじゅう版マリトッツォのケロトッツォを試作して、6月上旬に写真を投稿すると、すぐさま「食べてみたい!」「商品化して!」という声が多数寄せられました。

「SNSで盛り上がった熱が冷めないうちにと思い、あらためて製造部門に急ピッチで開発に取り組んでもらいました」と木下さん。同社の商品開発は通常半年~1年かかるところ、わずか1か月余りで商品化。そんなスピード感も功を奏し、発売前日にTwitterで告知すると、1・3万いいね!&150万インプレッションが殺到し、この反響がそのまま店頭でのスタートダッシュにもつながったのです。

KITTE名古屋店で食べられる「カエルのひのき風呂」660円。抹茶ミルクシェイクのお風呂でカエルがにっこり。温泉ののれんを描いた撮影用パネルを設置してあるのも“映え”需要を喚起。8月下旬まで販売予定
KITTE名古屋店で食べられる「カエルのひのき風呂」660円。抹茶ミルクシェイクのお風呂でカエルがにっこり。温泉ののれんを描いた撮影用パネルを設置してあるのも“映え”需要を喚起。8月下旬まで販売予定

売り切れ必至!上手な買い方、そしておいしい食べ方は?

ケロトッツォの販売は名古屋駅の青柳総本家KITTE名古屋店と守山直売店の2店舗のみ。特にKITTE名古屋店では、朝11時半の販売に合わせて行列ができ、1時間足らずで売り切れてしまうことが珍しくないほど。そこで、木下さんに上手な買い方、さらにおいしい食べ方についてアドバイスしてもらいました。

「KITTE名古屋店では11時半の売り出しの少し前にお越しいただければご購入いただけると思います。守山直営店は11時からの販売で、こちらは郊外の住宅地にある路面店なのでお客様の行列ができるようなことはありません。ただし、どちらも早い日だとお昼頃までに売り切れてしまうので、お早めに店舗へお越しくださることをお勧めします。また、水曜日は両店とも販売がないのでご注意ください。食べ方については、消費期限は3日で、日がたつごとに皮にクリームがなじんでしっとりしてきます。生菓子だからと急いで食べ切らなくても、3日間の間でも味の変化をお楽しみいただけます」

青柳総本家KITTE名古屋店ではケロトッツォが売り出される11時半を待ちかねたように行列ができる。ケロトッツォは期間限定で9月下旬まで販売予定
青柳総本家KITTE名古屋店ではケロトッツォが売り出される11時半を待ちかねたように行列ができる。ケロトッツォは期間限定で9月下旬まで販売予定

おみやげ商品から自分で食べたいスイーツに。定番商品の可能性を拡大

実食してみると、生クリームとクリームチーズをミックスしたクリームはレモン果汁が加えられていてしっとり感もあり。カエルまんじゅう本来のこしあんも入っているので、和洋折衷の魅力がつまっています。冷蔵の商品ならではのひんやりした爽やかさも甘すぎない後味につながっています。

カエルまんじゅうに欠かせないこしあんはそのまま、クリームがプラスされている。和洋ハイブリッドのスイーツだ
カエルまんじゅうに欠かせないこしあんはそのまま、クリームがプラスされている。和洋ハイブリッドのスイーツだ

そして、人気の高さもさることながら、従来とは異なる需要の掘り起こしにつながっていることに大きな手ごたえを感じていると木下さん。「これまでカエルまんじゅうはお土産需要が中心でした。対してケロトッツォの場合、購入した方がご自宅で召し上がられる自家需要が多いことが、SNSでの投稿を見ていると分かります。ケロトッツォによってカエルまんじゅうのポテンシャルが新たに広がったと感じています」

同じく名古屋発スイーツのぴよりんのブレイクでも見られるように、キャラクター性のある商品は愛着や親近感を持たれやすく、SNSと非常に相性がいいといえます。同時に、ケロトッツォのヒットは、既存の商品でもちょっとしたアイデアと発信の方法次第で新たな魅力とニーズを獲得できる、そんな可能性を示してくれるものだとも感じます。ぴよりん、ケロトッツォに続く名古屋発ヒットは、名古屋の人が当たり前だと思っているモノの中から飛び出してくるかも。意外な、でも納得の次なるブレイクにも期待しましょう。

(写真撮影/筆者。カエルまんじゅうの試作品写真は青柳総本家提供)