「ドアラ×老舗」。お茶に漬物、せんべい、日本酒。意外なコラボの理由とは?

お茶、せんべい、日本酒、漬物など「ドアラ×老舗」のコラボ商品の数々

2018年以降「ドアラ×老舗」のコラボ商品が次々発売

中日ドラゴンズのマスコット、ドアラ。12球団のマスコットの中でも屈指の人気者で、Tシャツや雑貨などグッズも豊富。球場では「ドアラの耳」をつけたり、イラスト入りのメガホンなどを手に応援するファンの姿も目立ちます。

そして近年増えているのが地元の老舗メーカーとのコラボ商品です。しかも、お茶、漬物、日本酒、せんべいなど、伝統的な食品との意外な組み合わせが目立つのです。

「ドアラ×老舗」商品の第1号は2018年11月に発売した「どあら茶」。大正5年創業のお茶専門店、妙香園とのコラボです。以後、桂新堂「ドアラのえびせんべい」(2019年4月)、東春酒造「どあら酒」(2019年10月)、中埜酒造「ドアラチューハイ」(2020年8月)、杉本食肉産業「ドアラの愛情ウインナー」(2021年4月)、澤田酒造「白老×ドラゴンズ 特別純米酒」(同)、大和屋守口漬総本家「どあらの守口漬」「どあらの生ふりかけ」(同)など、名古屋および愛知県内の様々な老舗とのコラボ商品が売り出されています。

妙香園の「どあら茶」はコラボ商品屈指のヒット作。左から煎茶(ティーパック10袋入り)、玄米茶(同14袋入り)、ほうじ茶(12袋入り)で各540円。直営店やドラゴンズショップ、ネットショップなどで販売
妙香園の「どあら茶」はコラボ商品屈指のヒット作。左から煎茶(ティーパック10袋入り)、玄米茶(同14袋入り)、ほうじ茶(12袋入り)で各540円。直営店やドラゴンズショップ、ネットショップなどで販売

ドアラ効果で老舗の敷居を下げ若い世代らに客層を拡大

なぜドアラは老舗の銘品とバッテリーを組むのか? そして老舗メーカーはドアラにどんな効果を期待しているのでしょうか?

各メーカーがドアラに期待するのは、従来のターゲットとは異なる層への訴求です。「若者のお茶離れが進み、敷居が高いと思われているのが長年の悩みでした。どあら茶を売り出したことで、これまでは店の前を素通りしていた若いお客さんが足を止めて、店に入って来てくれるようになりました」(妙香園代表取締役・田中良知さん)、「当社のえびせんべいはもともと百貨店でのギフト需要が中心なのですが、近年はショッピングモールやキヨスクなどでの販売にも力を入れている。ドアラはちょうどその中心客層であるファミリーや若い世代のファンが多く、その層に響くはずだと考えました」(桂新堂企画・広報・長谷川博基さん)、「守口漬を食べたことのなかった若い人たちから評価を得ています。ドアラは全国区の知名度があり、ドアラを通じて守口漬を知ってもらいたいと考えています」(大和屋守口漬総本家仕入れ企画部・伊藤慎一さん)

桂新堂の「ドアラのえびせんべい」5袋入り648円、9袋入り1080円。名古屋地区のイオンやネットショップなどで販売。桂新堂は150年以上の歴史を誇り、ギフト向けのえびせんべいを中心に製造販売している
桂新堂の「ドアラのえびせんべい」5袋入り648円、9袋入り1080円。名古屋地区のイオンやネットショップなどで販売。桂新堂は150年以上の歴史を誇り、ギフト向けのえびせんべいを中心に製造販売している

“自由すぎる”と称されるドアラのキャラクターが背中を押してくれるのか、コラボが伝統あるメーカーの殻を破るきっかけにもなり、それが社内のモチベーションアップや商品のヒットにもつながっているようです。

大和屋守口漬総本家の「どあらの守口漬」「どあらの生ふりかけ」は各1080円で同社直営店やネットショップで販売。“フェイスどあら”がSNSでバズる、かも(?)
大和屋守口漬総本家の「どあらの守口漬」「どあらの生ふりかけ」は各1080円で同社直営店やネットショップで販売。“フェイスどあら”がSNSでバズる、かも(?)

せっかくコラボするのですからパッケージは思い切りドアラに振り切りました。シンプルにドアラが目立つパッケージほど売れています」(妙香園・田中さん)、「パッケージはアイキャッチを重視し、陳列した時に“ドアラの視線を感じる”ように顔を大きくしました。“顔にあててドームで応援してくれたらいいよね”と盛り上がり、“フェイスどあらで応援!”をSNSでバズらせられればと期待しています」(大和屋守口漬総本家・伊藤さん)、「『ドアラのえびせんべい』以降、カレーうどんの若鯱家とコラボしたえびせんべい、産学共同開発のサステナブルえびせんべい、さらにチーズやアーモンド、ショコラを使ったえびせんべいなど、これまでになかった商品の積極的な開発につながっています」(桂新堂・長谷川さん)、「地元のドラゴンズ、しかも人気のドアラとのコラボでお酒がつくれるなんて夢のようと大変うれしく、社内のモチベーションアップにもつながっています」(澤田酒造代表取締役・澤田薫さん)。

澤田酒造(愛知県常滑市)の「白老×ドラゴンズ 特別純米酒」720ml1650円。昨冬火災に遭った同蔵を応援するために名古屋の酒卸業・秋田屋が企画した。名古屋市内のイオン、百貨店、酒販店などで販売
澤田酒造(愛知県常滑市)の「白老×ドラゴンズ 特別純米酒」720ml1650円。昨冬火災に遭った同蔵を応援するために名古屋の酒卸業・秋田屋が企画した。名古屋市内のイオン、百貨店、酒販店などで販売

仕掛け人は新設のグッズ開発チーム。きっかけは話題沸騰した自虐広告

次々と生まれている「ドアラ×老舗」のコラボ商品。実はこの一連の動きには仕掛け人が存在します。中日新聞社広告局のドラゴンズグッズ開発チームです。

「発足は3年前の2018年2月。チームといっても3人だけなんですが」と笑うのは同社広告局ビジネス開発部の丹羽宏行さん。先に紹介したコラボ商品のほとんどは、丹羽さんらから各老舗に提案して生まれているのだそうです

「球団グッズはもともと(株)中日ドラゴンズがつくっているので、それと同じものをつくるわけにはいきません。球団が手がけるのはユニフォームやTシャツ、各種応援グッズなど、主に球場に足を運んでくれるコアなファン向け。そこで我々はライトなファンに向けて、ドアラを前面に打ち出した商品をつくろうと考えたんです」

ドアラの活躍の幅を広げて新たなビジネスチャンスを見出そうとした丹羽さんら開発チーム。そもそも発足のきっかけも、ドアラの前例のない起用法だったといいます。

2017年の開幕に合わせて中日新聞と中日スポーツに『ドアラのカタキをうって』シリーズの広告を掲載しました。第1弾の鯉(カープ)に食べられているドアラをはじめ、トラやツバメなどにドアラがやられてしまう自虐的な広告を出したところ大反響があり、Tシャツやステッカーなどに商品化すると大ヒットしました。これを機にグッズ開発専任チームがつくれられることになったんです」(丹羽さん)

2017年の新聞広告「ドアラのカタキをうって」シリーズ。「ドラゴンズは前年は最下位で4年連続Bクラス。『目指せ!優勝』というのは気が引けて、あえて自虐的にしたんです」と丹羽さん
2017年の新聞広告「ドアラのカタキをうって」シリーズ。「ドラゴンズは前年は最下位で4年連続Bクラス。『目指せ!優勝』というのは気が引けて、あえて自虐的にしたんです」と丹羽さん

コラボに秘められた地元新聞社ならではの思い

ドアラには新しい客層を取り込め、HPへの流入やSNSのフォロワーを増やせるなど、活用する企業にとって様々なメリットがあるという丹羽さん。そんなドアラのコラボ先として、特に地元の老舗に狙いを定めているのは、新聞社らしい地域貢献の意識もあるといいます。

「名古屋にはお茶の文化があり、市内には日本酒の酒蔵もある。地域に根付いたいいモノがたくさんあるのですが意外と知られておらず、それをドアラを通してより広く知ってもらいたいんです。東海には伝統あるモノづくり産業も多いので、今後は食品以外の老舗ともコラボしていきたいと思っています!」(丹羽さん)

「ドアラ×老舗」の多彩なコラボ商品が誕生している背景には、意外なきっかけや地域への思い入れがあったのです。ドアラグッズはライトなファンにもウケるため、チームの成績に大きく左右されにくいという利点もありますが、もちろんドラゴンズが強いのに越したことはありません。ドラゴンズが連勝街道をばく進すれば、ユニークかつ魅力的なコラボ商品が生まれる可能性もさらに広がっていくはず。地元の老舗を盛り立てるためにも、頑張れドラゴンズ!(もっと打て!!)

(写真撮影/筆者 ※大和屋守口漬総本家の写真は同社提供)