名古屋のシンボル、テレビ塔&久屋大通公園が大変身!栄地区復権の起爆剤となるか

約2年の改修期間を経て再生された名古屋テレビ塔とHisaya-odoriPark

再開発進む駅前から都心部へ人の流れを呼び戻す

名古屋の中心部・栄のシンボル、名古屋テレビ塔と久屋大通公園。このふたつが9月18日、それぞれリニューアルオープン(公園、商業施設は既に一部オープン)。それぞれ大変身することになりました。

名古屋の都市開発は近年、名古屋駅地区(名駅=メイエキ)が話題を独占してきました。2000年前後から駅周辺に200m級の超高層ビルが相次いで登場。さらに向こう10年以内にはリニア新幹線も開通し、開発はいっそう進む予定です。

これに後れを取っていたのが、もともと街の中心部である栄(さかえ)地区です。一昨年から昨年にかけてはかつての栄の“顔”だった丸栄百貨店、中日ビルの閉館・解体が続き、にぎわいや話題性は名駅に水を開けられるばかりになっていました。

この名駅一極集中に歯止めをかけるべく、この度、栄のランドマークであるタワーと公園が大変貌を遂げることとなったのです。

夜はライトアップされ、水盤への映り込みもより美しくなる
夜はライトアップされ、水盤への映り込みもより美しくなる

名古屋テレビ塔とその周辺の南北およそ2kmにわたって広がる久屋大通公園は、いずれも戦後名古屋の復興の象徴として建設・整備されました。東京タワーよりも4年早い1954(昭和29)年竣工の名古屋テレビ塔は、高さ180mと当時日本一の高さを誇り、100m道路・久屋大通の中央分離帯を緑地にした久屋大通公園とともに、人々のにぎわいを栄エリアに呼び込む役割を果たしてきました。

しかし、名古屋テレビ塔はテレビ放送のデジタル化によって2011年に電波塔の役割を終え、一時は存続の危機もささやかれるように。耐震性の強化も急務となっていました。久屋大通公園は往時の華やかさが徐々に薄れ、特に北側エリアは樹木がうっそうと生い茂って昼でも薄暗く、近年は人通りもまばらになってしまっていました。

栄の復権にはこのふたつのシンボルの再生が不可欠。そんな危機感も背景に、両施設の大規模な改修工事が進められました。それぞれおよそ2年におよぶ休館・休園を経て、このほどのグランドオープンとなったのです。

商業施設には話題性あるレストラン、ショップが入居

久屋大通公園は、園全体のほぼ北半分にあたる南北1kmのエリアを「Hisaya-odori Park」(ヒサヤオオドオリパーク)と名づけて装いを一新。再開発にあたっては、民間のノウハウで公園の整備・改修および運営維持管理するPark-PFI制度が用いられました。Park-PFIは2017年の都市公園法改正によって新たに設けられた制度で、Hisaya-odori Parkはこれを活用した事業として日本最大級のプロジェクトとなります。

事業者は全国に数々のショッピングパーク、アウトレットパークを手がける三井不動産。商業施設には、海外のハイファッションブランド、東京や大阪、京都の人気飲食店、そして地元の人気店の新業態などがバランスよく構成されています。アウトドアショップや卓球複合施設がタワー周りに配置され、グッズや卓球台をレンタルできるのも、公園という立地性を活かしたセレクトと空間活用です。

(ショップラインナップなどはこちら

ショップ、レストランは合わせて35店舗。名古屋初出店21店舗、新業態5店舗。ハイファッションブランドに東西の人気飲食店、地元の人気店の新業態などで構成される
ショップ、レストランは合わせて35店舗。名古屋初出店21店舗、新業態5店舗。ハイファッションブランドに東西の人気飲食店、地元の人気店の新業態などで構成される
左上から時計回りにベーカリーカフェ「ESPRESSO D WORKS」、名古屋のクラフトビール醸造所の新業態「ナゴロバ」、ミュージアムショップ「ヘラルボニー」、地元酒蔵の「糀 MARUTANI」
左上から時計回りにベーカリーカフェ「ESPRESSO D WORKS」、名古屋のクラフトビール醸造所の新業態「ナゴロバ」、ミュージアムショップ「ヘラルボニー」、地元酒蔵の「糀 MARUTANI」

名古屋のイメージを一新する広大な芝生広場

驚いたのは桜通りをはさんだ北側エリアの変貌ぶりです。特に最北部のZONE1の大型芝生広場は圧巻。以前の薄暗い印象が一新され、明るく開放感あふれる広場空間になりました。ハンモックや小型テントの貸し出しもあり、ここでのびのびとくつろぐこと自体に価値が生まれそうです。地下街が発達しているために地上をあまり歩かない、といわれてきた名古屋人を青空の下に引っ張り上げてくれることも期待できるんじゃないでしょうか

最北部のZONE1「学びの森ゾーン」。ベンチアートは北向きに座れば芝生広場を、南向きに座れば名古屋テレビ塔を望め、絶好のフォトスポットになっている
最北部のZONE1「学びの森ゾーン」。ベンチアートは北向きに座れば芝生広場を、南向きに座れば名古屋テレビ塔を望め、絶好のフォトスポットになっている
屋外で過ごすためのアクティビティも多彩。ボードゲームやハンモックは無料で貸し出し。テントは一張り500円。テレビ塔のすぐ北には卓球台も
屋外で過ごすためのアクティビティも多彩。ボードゲームやハンモックは無料で貸し出し。テントは一張り500円。テレビ塔のすぐ北には卓球台も

名古屋テレビ塔はレジャー&イルミの魅力がパワーアップ

名古屋テレビ塔もおよそ2年間の改修を経て、リニューアルオープンされました。4・5階がホテルになり、ウエディングにも対応するレストラン、カフェやショップなどが新たに入居し、レジャー・観光スポットとしての魅力が大いに高まりました。

そして最大の変化はイルミネーション機能の大幅な向上。LEDシステムの導入によって、明るさも表現力も格段にアップしました。季節の移り変わりに応じたライトアップ演出が行われるので、四季折々の夜景を楽しめることになりそうです。

(営業内容など詳細はこちら

名古屋テレビ塔は毎日日没~24時までライトアップされる。北側エリアと結ぶレインボーブリッジとのカラフルなイルミネーションの共演も美しい
名古屋テレビ塔は毎日日没~24時までライトアップされる。北側エリアと結ぶレインボーブリッジとのカラフルなイルミネーションの共演も美しい
夜景の美しさは抜群。名古屋の名所となりそう。世界初の免震構造を採用することで従来の姿形を維持し、国の登録有形文化財に指定されている価値を守った
夜景の美しさは抜群。名古屋の名所となりそう。世界初の免震構造を採用することで従来の姿形を維持し、国の登録有形文化財に指定されている価値を守った
左上から時計回りに、新設されたホテル(4・5階 ルームチャージ3万1000円~)、ランチ・ディナー営業も行うバンケット、随所に残る歴史的建造物ならではの遺構、オリジナル商品が豊富なグッズショップ
左上から時計回りに、新設されたホテル(4・5階 ルームチャージ3万1000円~)、ランチ・ディナー営業も行うバンケット、随所に残る歴史的建造物ならではの遺構、オリジナル商品が豊富なグッズショップ

市民が過ごしたくなる・行きたくなる公園に

名古屋テレビ塔と久屋大通公園の大規模な改修については、お披露目までは懐疑的な声も筆者の周辺では少なからずささやかれていました。名古屋にはこれほど大規模な都市開発を遂行できるディベロッパーが不在のため、Park-PFIの公募にも地元から手を挙げる企業はなく、開発は東京の大手に委ねられることに。工事期間中の樹木の大がかりな伐採もあって、慣れ親しんできた公園が一体どうなってしまうのか?と不安視する声もありました。

しかし、ふたを開けてみると、広く美しい芝生広場や、従来のプロポーションを守りながら観光タワーとしての魅力が分かりやすくアップした名古屋テレビ塔の姿に、いい意味で「名古屋じゃないみたい!」と驚きと喜びを表す声が数多く聞かれてきます

名古屋テレビ塔を望む広い芝生広場こそが最大の魅力
名古屋テレビ塔を望む広い芝生広場こそが最大の魅力

今回のリニューアルによって、栄の中心部が、歩いてみたくなる、くつろいでみたくなる空間になったことは確か。今時の“映える”魅力が格段にアップしたことで、観光客にも足を運んでもらえるようになることも期待できます。

筆者が最も期待する「SOCIAL TRUCK&PARKS」(上・写真は代表の加藤幹泰さん)と「天狼院書店 名古屋天狼院」(下)。両者の提案・企画が公園のにぎわい創出の鍵を握っている(!?)
筆者が最も期待する「SOCIAL TRUCK&PARKS」(上・写真は代表の加藤幹泰さん)と「天狼院書店 名古屋天狼院」(下)。両者の提案・企画が公園のにぎわい創出の鍵を握っている(!?)

そして筆者が何より期待したいのが、芝生広場のにぎわい創出です。このエリアには、改修以前にテレビ塔周辺を会場にしたイベント「SOCIAL TOWER MARKET」を2012~18年まで開催してきたメンバーによる移動販売車型店舗「SOCIAL TRUCK&PARKS」、そして名古屋初出店となる提案型書店の「天狼院書店」が出店。両者はそれぞれ市内の人気ショップの日替わり出張出店や、青空読書会といった開放的な空間を活かしたイベントを早くも開催・企画中。こうした小規模でもユニークな催しが毎週のように開催され、地元の人が足を運びたくなる公園になることが、栄エリア全体に人を呼び戻すための第一歩となるのではないでしょうか。

都心部では例がないほど広大な芝生の広場で、市民が楽し気に過ごす風景が日常的になれば、自然と観光で訪れる人の足も栄に向くことになり、名古屋の魅力を全国に発信できることになるはずです。

(写真撮影/すべて筆者)