レゴランド開業半年。「できる?」「できない?」12の要望をブツけてみた
答えて!レゴランド。来園者の声を届ける
名古屋のレゴランド・ジャパンが、10月1日でちょうど開業半年を迎えます。日本初上陸、世界で8番目となるレゴのテーマパークとして鳴り物入りでオープンしたのが今年4月1日。9月中旬には入場者数が初年度目標の半分の100万人を突破しました。この半年は、「入場料が高い」(1日券・大人6900円 子供3~12歳5300円)という批判に応えて値引き策を次々と敢行し(早割や年間パスポート所有者と同行すれば半額あるいは無料など)、集客に努めてきました。
ネットでは、料金の高さの他にも「規模が小さい」「アクセスが悪い」など悪評も飛び交う反面、実際に来園した人の間では「子供が本当に楽しがってくれた」「年パスが割安で十分に元が取れる」といった好意的な意見も目立ちます。一方で、「ここはこうできないか?」「こんなことしてくれたらもっと面白くなるのに!」と、改善を望む声、企画の要望なども聞こえてきます。(関連記事: 「ネットの風評はウソ?ホント?レゴランドに行ってみた」)
そこで、来園体験者の声を集め、レゴランドに直接ブツけてみることにしました。答えてくれたのは広報担当、高木あゆみさんです。
【「年パス所持者以外も再入場可能にしてほしい」】
最も多く聞かれる声はこれ。隣接する商業施設・メイカーズピアなどとの行き来を自由にすることで食事や過ごし方の幅が広がり、結果的にレゴランドに対する満足度も高まり、また金城ふ頭エリア全体の魅力度アップにもつながると感じます。
レゴランド・ジャパン 高木あゆみさん(以下「レゴランド」) 「まだ開業半年で、レゴランドがどういう場所かを知っていただく地盤固めの時期。そのため、パーク内で1日過ごして世界観を体験していただくことを最優先しています。これが再入場不可としている最大の理由です。もちろん周辺施設と連携してエリア全体を盛り上げたいという思いはあり、将来的には何か一緒に取り組むことも考えられます」
回答・・・×(ただし今後、検討の余地あり)
【「平日休園ってどうなの?」】
開業間もない6月から火・水曜が休園日になることが報道されました。仕事が平日休みだから年パスを購入したのにこれではほとんど行けない、とぼやく声も・・・。
レゴランド 「繁忙期以外の平日に休園日を設けることは開業前からホームページで告知していました。海外のレゴランドでも平日休園はあり、雪の多い地域では冬季休園もあります。とはいえ、情報が十分に行き渡らず誤解を招いてしまったことはお詫びいたします。ただし、“平日休み”の報道にも誤解があり、決して常に火・水休園というわけではありません。10月は無休、12月は最終週は火・水曜も営業します。月ごとに異なるのでご確認をお願いします」
回答・・・△(1年を通して平日休園ではない。2018年1月以降の休園日は未定)
【「夕方5時閉園は早い。延長営業してほしい」】
開業時の閉園時間は夕方5時。延長営業を望む声もあり、それを受けて夏休み期間中の週末は夜7時までに延長。それでももっと遅くまでの営業を望む声もあります。
レゴランド 「時期によって閉園時間は17時、18時、19時と変更しています。コアターゲットである2~12歳のお子様の生活サイクルに配慮し、夜遅くまでの営業はパークにそぐわないと考え比較的早い閉園時間となっています。しかし、社長のトーベン・イェンセン自身が夜間営業に意欲を示していて、また施設もライトアップ可能な設備を整えています。今後、テスト的に夜間営業するなどし、限定的に採り入れていくことは考えられます」
回答・・・△(今後、試験的または限定的に夜間営業を行う可能性もあり)
【「アルコールを解禁してほしい」】
お客の中心は子供連れのファミリー。すなわち親=大人同伴ということになります。さらにテーマパーク好きの大人のお客も決して少なくはありません。レジャー施設ではやはりビールなどお酒を飲みたくなるという人も多いようですが・・・?
レゴランド 「アルコールは世界中ほぼすべてのレゴランドでNGとなっています。ただし、来年は併設してホテルが開業し、そこではアルコールのご提供も伴います。園内での販売もこの先もまったくないとは言い切れませんが、当面はお子様に満足いただくことを最優先し、アルコールのご提供を具体的に検討する段階にはありません」
回答・・・×(来年のホテル開業に伴いホテル利用者は飲酒も可能に。ただし園内での解禁は当面はなし)
【「お弁当の持ち込み可能にしてほしい」】
開業当初は園内への飲食物持ち込みはすべてNGでしたが、5月中旬から熱中症対策もあり水筒の持ち込み可能に変更されました。しかし、食べ物の持ち込みは原則的に禁止のままです。
レゴランド 「食中毒などのリスクもあり、安全確保のために食べ物の持ち込みは禁止としています。ただし一部例外もあります。遠足など学校団体に限り、特定日を除く平日は事前申し込みいただけば持ち込み可能です」
回答・・・△(原則禁止。ただし、学校団体は条件付きで可)
【「園内のレストランの料理や、テイクアウトメニューの容器が地味。インスタに上げたい!と写真を撮りたくなる料理、持ち帰りたい!と思える容器を作ってほしい」】
これは3歳の子どもがいる年パス所有のヘビーユーザーからの意見。カフェ経営者というだけあって、食事に対しては見る目が厳しく、シビアな意見が出されました。
レゴランド 「現在、園内の飲食施設でハロウィーン・メニューを出していて、これらは見た目もかわいらしくご好評いただいています。期間限定の企画商品では積極的に趣向を凝らしたものを提供していこうと考えています。容器についてはコストの問題もあるので難しさもありますが、今後の検討課題のひとつとします」
回答・・・△(通常メニューの変更は難しいが、期間限定メニューに期待!)
【「園内に日影が少ない。ベンチにパラソルを設置してほしい」】
屋外テーマパークのため園内にはあまり日影がありません。各所にベンチはありますが、パラソルがないところも。日差しを避けられるスペースがもっとあれば暑い時期でも快適に過ごせるのでは・・・?
レゴランド 「同様のご要望に応えて5月以降、パラソルは10か所以上増設しました。ただし、屋外ならではの日差しや風の爽やかさも体感していただきたく、必ずしも日影を増やすことが得策とは考えていません。お客様のご意見をお聞きしながら今後も適宜検討していきます」
回答・・・〇(一部対応済。今後も変更の可能性はあり)
【「海外へのアピールが足りないのでは?特にアジア圏へのPRを強化しては?」】
今や日本の観光に不可欠なインバウンド。人気観光地ではアジア圏からの旅行者の姿が目立ちます。集客アップにはアジアの観光客の獲得が最も効果的とも考えられます。
レゴランド 「確かに当初は海外へ向けたPRはあまりしていなかったのですが、開業直後からアジア圏の方は数多く来園してくれています。来園者の2割以上がアジアの方という日もあるほど。彼らはWebで情報をキャッチするスピードが早く、ブロガーやユーチューバーの取材も少なくありません。現在は中国、香港の旅行代理店と提携していて、これからもアジア、海外へのPRは必要だと思っています」
回答・・・〇(アピールには力を入れ効果も出ている)
【「ミニランドのフォトラリーをやってほしい」】
1000万個以上のレゴブロックを使用し、東京スカイツリー、京都・清水寺、名古屋城など日本中の名所が再現されたミニランド。これをより楽しむ企画として提案したいのがフォトラリー。ランド内の特定の建物やキャラクターを探し出して写真を撮れたらプレゼント進呈、といった企画が常時開催されていれば、ミニランドの魅力がより伝わり、かつリピート需要にもつながるのでは・・・?
レゴランド 「ミニランドは見れば見るほど発見があるので、こういう企画は面白いですね。実は子供の日に合わせてミニランドの『こいのぼりをさがせ!』という企画をやったことがあるんです。ハッシュタグをつけてSNSに投稿してもらうのもいいかもしれませんね」
回答・・・△(なかなかの好感触。採用なるかも・・・?)
【「レゴビルダーの実演やワークショップを開催してほしい」】
レゴランドの最大の魅力は、レゴブロックで作られた造形物の数々。これらを作るビルダーの実演や、体験できるワークショップを開催してほしい!
レゴランド 「ランド内の造形物を組み立てているのはレゴ社やレゴランドの社員であるマスタービルダーで、実演やワークショップも彼らがいなければ行えません。当園にはマスタービルダーがいないので現時点では不可能ですが、海外ではランド内ホテルにマスタービルダーが滞在し、実演するケースもあります。当園でも来年ホテルが開業しますから、是非検討したいと思います。また、東京・お台場と大阪・天保山のレゴランド・ディスカバリーセンターにはマスタービルダーがおり、名古屋でも将来的には入る可能性はあります。そうなれば実演やワークショップの実現性も高まると思います」
回答・・・△(現時点では不可。でも将来的には大いに可能性も!)
【「大学のレゴ部による作品展示会や大学対抗選手権ってできない?」】
東大レゴ部をはじめ全国各地の大学にレゴサークルがあり、地元の名古屋大学にもレゴ部があります。作品の展示会、対抗選手権、ワークショップなど、大学生ビルダーを起用した企画があると面白いのでは・・・?
レゴランド 「大学のレゴ部はレゴ社公認ではなく、公式の場で作品を作ったり展示できるのは、先のマスタービルダーと世界に13人だけ存在するプロのレゴビルダーだけなんです。もちろんレゴを愛する学生さんたちが熱心にサークル活動しているのはうれしいことですが、レゴランドでマスターおよびプロビルダーの作品以外を扱う企画は現状では難しいんです」
回答・・・×(大学レゴ部はレゴ社非公認のため不可)
【「レゴ・ザ・ムービーの上映会や連動企画をやってほしい」】
映画ツウの間でも評価が高い『レゴ・ザ・ムービー』。その上映会や、映画と連動した企画をやってほしい、という10回以上来園している年パスユーザーからの提案です。
レゴランド 「レゴ・ザ・ムービーの版権はレゴ社にあるのでレゴランドの独断では決められないのですが、親戚関係のようなものですから協力体制は今後いっそう強化していきたい。映画とのコラボ企画はこの先あるかもしれません」
回答・・・△(可能性は大いにありそう?)
“カイゼン”の積み重ねでより魅力あるテーマパークに
以上、12の要望や提案に回答してもらいました。日頃からユーザーからの要望は数多く寄せられているはずで、今回の要望・提案に即改善・採用を約束できるものではないのは当然。△の回答が多くなったのは当然の結果と言えます。
それでも、将来的な実現の可能性を示唆する回答も多くありました。レゴランドが個々の課題をどうとらえているかが分かると同時に、ユーザーの声を受け止めて対応していこうという姿勢を示してくれたことは収穫でした。ちなみにフォトラリー、ビルダーのワークショップは筆者のプランなので、是非採用してもらいたいと個人的に思っています。
まだ開業半年のレゴランド。名古屋らしく“カイゼン”を重ねて、より魅力あるテーマパークに進化していくことを期待したいと思います。