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開始37分遅れ。133キロのバッツにゴール"破壊"の真相を聞く

大島和人スポーツライター

3月17日に行われたBリーグの大一番「川崎ブレイブサンダース×シーホース三河」は、ゴールの故障により試合開始が予定より37分も遅れる珍事に見舞われた。

最初のアクシデントが起こったのは試合開始15分前。ウォームアップ中だった三河の選手がダンクシュートを叩き込んだところ、ゴールのリムが曲がってしまった。運営スタッフは体育館の倉庫から予備のゴール出して対応したが、予備のゴールも再びリムが曲がってしまった。試合前にゴールが二度も壊れる異例の事態だった。

ゴールを破壊した”犯人”はアイザック・バッツ選手。208センチ・133キロというB1で最も体重の重い選手だ。「ちょっと触ったら相手がよろけたりして、それがファウルに見えてしまう」と本人も嘆くほどで、持ち味はゴール下のパワフルなプレー。ただ今日の試合前は、そんな強みが裏目に出てしまった。

「ちょっとしたダンクでああなってしまいました。2回目はちょっと触っただけですけれど、分からない…」とバツが悪そうだったバッツ選手。巨体を丸めて「ごめん」と日本語で呟いていた。

大学時代にもゴールを「バキッとやったことが一回ある」というバッツ選手。そのときは周りも大盛り上がりでいい雰囲気になったとのことだが、今日は3千人近くが入ったプロの試合である。異例のハプニングを振り返って「壊してちょっと(雰囲気が)落ちて、上がったのにまた壊して落ちて……」と苦笑いしていた。

とはいえこの試合のバッツは同僚のギャビン・エドワーズと共に守備で身体を張り、B1の得点王争いを独走するニック・ファジーカス選手を17得点に抑えた。試合後になって振り返ってみれば、ゴール破壊は勝利の吉兆だったのかもしれない。

スポーツライター

Kazuto Oshima 1976年11月生まれ。出身地は神奈川、三重、和歌山、埼玉と諸説あり。大学在学中はテレビ局のリサーチャーとして世界中のスポーツを観察。早稲田大学を卒業後は外資系損保、調査会社などの勤務を経て、2010年からライター活動を始めた。サッカー、バスケット、野球、ラグビーなどの現場にも半ば中毒的に足を運んでいる。未知の選手との遭遇、新たな才能の発見を無上の喜びとし、育成年代の試合は大好物。日本をアメリカ、スペイン、ブラジルのような“球技大国”にすることを一生の夢にしている。21年1月14日には『B.LEAGUE誕生 日本スポーツビジネス秘史』を上梓。

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