保育のプロに聞く、子育てのコツは肯定的な言葉かけ、子どもに選択させる、日常を遊びに変える

写真提供/ヒューマンスターチャイルド株式会社

子育てをしていると、どう対応したらいいのか分からずに悩むことがある。特に、認可保育園に子どもを通わす親は、共働きのため毎日慌ただしい状態で、時間的にも身体的にも余裕がない。そのような時に、近くで寄り添いプロフェッショナルな立場から手助けをしてくれるのは、子どもを通わす園の保育士さんだったりする。

イヤイヤ期のなだめ方、園から自宅まで真っすぐ帰ってくれない時の誘い方やトイレトレーニングのやり方など、子どもの成長に合わせた対応や声かけをいくつも教えてくれる。

この情報は子育てに悩む親にとっては、とても貴重だ。そこで、横浜・川崎・埼玉エリアに多数の認可保育園を運営するヒューマンスターチャイルド株式会社に、幼児期の子育て対応のコツを教えていただいた。

●言葉かけは肯定的に。コツは認めてあげること、褒めてあげること、感謝の気持ちを伝えること

Q:苦手な食べ物の食べさせ方、着替えや歯磨きの促し方などを教えてください。

子どもが言葉を分かるようになったら、より肯定的な言葉かけを意識してください。肯定的に伝えることで、子どもは自発的、主体的に行動します。たとえば、「牛乳を飲まないと大きくならないよ」という否定的な言い方ではなく、「牛乳を飲むと大きくなるよ」と伝えます。

「走っちゃダメ」ではなく、「歩くと格好いいな」「歩いてくれたらママは嬉しいな」と伝えます。もちろん危険な場面では園でも「危ないよ」と言ったりしますが、「ダメ」という言葉は単独で使い出すと「あれもダメ」「これもダメ」と多用してしまう傾向があるので、「〇〇だからいけないよ」と理由を説明してあげると、子どもも理解するようになってくれます。

食事や着替え、歯磨きなどの場面では、子どもに選択させることを意識してみてください。たとえば、苦手な食べ物を食べさせる際にも「人参と椎茸ならどちらを食べる?」と選択肢を与えます。どちらかを選ぶと、子どもは選んだことへの行動をしようとするので、より意欲的、自発的になります。

歯磨きの場合も「今日はイチゴ味の歯磨き粉にする?リンゴ味にする?」と聞いてみてください。スーパーで「お菓子買って~!」とダダをこねた時も効果的です。「ラムネとキャンディどちらにする?」と聞くと、自分で考えることで泣き止んでくれます。

Q:子どもが噛む・叩くなどする場合は、どのように制止すればいいですか?

子どもたちで遊んでいるとオモチャの取り合いになり、言葉で上手くコミュニケーションが取れずに、相手を噛む・叩くなどしてしまう場合があります。まず、噛む・叩くなどの行為は、健全な成長の過程だと認識してください。

「じゅんばんこだよ」「か~し~てって言った?」と譲り合いを教えますが、あまりに酷い場合は、子どもの手の届かないところに置いてもいいでしょう。この時も肯定的な伝え方で、「あなたたちには仲良くして欲しいから、このオモチャはしばらくママが預かるね」「仲良く遊べたら渡すね」などと言って、別のオモチャや別の遊びをするよう切り替えさせます。

保育園での噛み付きについては、たとえば登園後、10時頃に噛みつきが多く見られるという決まった時間帯に起こる場合がありますが、その子にとっての噛み付く原因は何かを丁寧に分析します。いつもおもちゃで遊んでいて10時頃が片付けの時間だった、ということが分かれば、「もっと遊びたいのだろう」と子どもの気持ちを理解し、その子にはもう少し遊ばせてあげたりします。

ママ友とおしゃべりしている時に、子どもが「遊んで、遊んで」と叩いてきた場合は、「待ってあとで」ではなく、少しだけ子どもを優先し、5分でも良いので時間をとってあげることで、子どもは満たされるかもしれません。

写真提供/ヒューマンスターチャイルド株式会社
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●イヤイヤ期は自我の芽生え。より多くの選択肢を与える

Q:2歳前後になると「イヤイヤ期」となり対応に困ります。どうすればいいですか?

イヤイヤ期は自我の芽生えです。なんでも自分でやりたがったり、やりたいのに身体や言葉の発達が未熟で、できないことにイライラしたりします。まずは「そうなのね。イヤなのね」と子どもの気持ちを承認して受け止め、安心させます。そして、時間に余裕がある場合は、どんなに時間をかけてもやらせてあげるのがいいです。なにをどうしたいのか、子どもの話をよく聞くと、対応方法が見えてきます。

たとえば、泣いて訳が分からなくなっている状態でも、気持ちを落ち着かせて子どもの話をよく聞くと「ママがジュースのフタを開けちゃったの。それはイヤなの。自分でやりたかったの」と答えてくれたりします。今までママがやっていた日常の行動が、イヤイヤ期になるとその子にとっては大問題になったりします。

子どもが上手く言葉で説明できない場合や、子ども自身も自分がどうしたいか分からずに感情的になっている場合には、多くの選択肢を提案するのが効果的です。「みかんのジュースがいい?りんごがいい?」「コップで飲む?ストローで飲む?」「ジュースのフタは自分で開ける?ママが手伝う?」というようにです。

着替えや歯磨きなどのルーティン作業を嫌がる場合も多いので、歯ブラシを何種類か用意するなど選択肢を増やして、新しい要素を加えてみましょう。

イヤイヤ状態からなかなか脱せないときは、「ママもイヤイヤ言ってもいい?」と子どもと同じ言葉を繰り返し、子どもの真似をしてみるのも一つです。「ママはダメ」と返答してくれたらチャンスで、「じゃあ、イヤイヤは止めようね」と諭すことができます。

同じ服しか着ないなどこだわりが強い時期(イヤイヤ期と同時期で自己主張が特徴的で、自分で決めたいという思いが非常に強くなる時期)は、これくらいなら大目に見られると思う事は、子どもの好きなようにさせてあげるのもいいでしょう。危険なことと人に迷惑をかけることを除けば、できるだけ子どもの意思を尊重してあげてください。

時間に余裕がなく、子どものやりたい欲求に付き合えないときは、やらせないのではなく、「やりたかったんだね」と気持ちを理解した上で、「後でやろう!」と約束して、余裕のあるときに叶えてあげてください。

●子どもとの日常生活を遊びに変える

Q:保育園からの帰りに、なかなか歩いてくれません。帰り道にある土手の高い所からジャンプしたり、無茶な行動をしたりもします。どう対応すればいいですか?

時間を理解できない子どもに「あと10分経ったら帰ろうね」と伝えても分かってもらえません。時間を伝える時は、時計の針を見せて「長い針が3から6になったら、帰ろうね」と視覚的に伝えて下さい。

子どもを歩かせたい時は、帰るということ自体を遊びにして、子どもが楽しんで歩き出してくれるよう誘ってみるといいでしょう。たとえば、「お家まで早歩き大会ね。どちらが勝つか競争だよ!」というようにゲームにしたりします。すると今度は子どもから「葉っぱ5枚見つけたらゴールね!」などとルールを作り出します。遊びの連続性が生まれ、それが子どもの発想にも繋がります。

雨の日はレインコートや長靴、傘といった普段は持たないアイテムに興奮して、思うように行動してくれないことがあるかもしれません。そういう場合は、晴れの日でもレインコートや長靴を身に付けて、子どもにとっての楽しみや興奮体験を味わせてあげるのもひとつです。

無茶な行動や危険な行動をしそうになったときは、「そこからジャンプしたらケガするからいけない!」となぜいけないのか理由を説明し制止しますが、そうでなければサポートしながら行動を見守るのもいいでしょう。手を繋いでジャンプさせたり、抱っこしてジャンプの真似をして降ろしてあげたり。「3回目は自分でやってみる?」と聞いて、一人でやるチャレンジもさせ、上手くできたら「すごいね。よくできたね。」と満足感を味わせて、自信をつけてあげてください。

繰り返し遊んでしまうときは、「次で最後にしようね。最後の1回はどうやって飛ぶ?」と最後をスペシャルなものにして、子どもに考えさせてください。子どもは満足感を得られて、おしまいにしてくれることが多いです。

写真提供/ヒューマンスターチャイルド株式会社
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Q:トイレトレーニングはどうすればいいですか?

子どもの膀胱の機能は大人以上に個人差があるので、子どもがやりたいタイミングを待ち、親が焦らないことです。親が焦ると子どもはストレスに感じ、余計に進まなくなってしまいます。トイレトレーニングにおすすめの季節は、薄着になる春から夏です。

時間が来たらトイレに連れて行くのを繰り返すのが基本ですが、トイレに行くこと自体を嫌がるようなら、子どもの好きなキャラクターのシールをトイレの壁に貼ったり、カバーやマットも子どもの好きなものに変えたり、トイレに興味を持つような工夫をするのも手です。好きなキャラクターのパンツを用意するのも、オムツではなく下着に関心を持たせるのに効果的です。

男の子は、立ちでも座りでもどちらでも出来るように練習しておくと便利です。

Q:子どもが「見て、見て」と歌や踊りを披露したがります。どう対応するのがいいのでしょうか?

3歳児になると自分でできることは自分でやってみたい、そんな気持ちがわいてきます。また人との関わりの中で成長する時期でもあるので、歌や踊りなどを人に「見て、見て」と披露したりするようになります。

披露してくれた時は、時間を共有し褒めてあげるのがいいですが、褒める時は具体的に褒めてあげてください。「今の踊りは、とてもリズムが取れていて格好よかったよ」といったようにです。ただ「上手、上手」と褒めただけでは、子どもはきちんと見てくれていないと感じてしまい、「見て、見て」が続きます。

子どもが「見て、見て」と求める相手は誰でもいいわけではなく、自分の好きな人、一緒に共有したい人といった選ばれた人です。子どもの自己肯定感を満たす機会でもあるので、具体的に褒めてあげることで共感や愛情を伝えてあげて下さい。

※乳幼児期の子どもの発達は心身共に個人差があります。また、保育園などの集団生活における対応方法と家庭などの一対一での対応方法とでは異なる部分があり、紹介した対応方法はすべての子ども・場面に当てはまるわけではありません。

子育てで困ったことや悩んだことがある場合には、些細なことでも保育園の先生に共有し相談してみるのがおすすめです。

【取材協力】

ヒューマンスターチャイルド株式会社

すべては、子どもたちの輝く未来のために・・・。

ヒューマンスターチャイルド株式会社では、コロナの感染拡大防止、保育士の働き方改革の一環として、この秋より保育士研修の全面オンライン化を開始した。乳幼児の基本や遊び方研修をはじめ、食育研修やアンガーマネジメント研修など、8分野250講座のビデオオンデマンド研修、全10種類のライブ配信型研修などを行い、保育士のスキルアップ機会を増加して、より質の高い保育サービスを提供している。

上記、子育てのノウハウも豊富な経験から生まれたもので、全保育士に研修を通じて共有している。