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立憲代表選、4人の候補者の推薦人判明、選挙戦は決選投票含みの展開か

大濱崎卓真選挙コンサルタント・政治アナリスト
立憲民主党の代表選が今日告示、30日投開票で始まりました(写真:Rodrigo Reyes Marin/アフロ)

 枝野前代表の代表辞任に伴う立憲民主党代表選挙は19日告示され、届出順に逢坂誠二元総理大臣補佐官、小川淳也国会対策副委員長、泉健太政務調査会長、西村智奈美元厚生労働副大臣が立候補を届出しました。各候補の推薦人と選挙戦の展望についてみていきます。

候補者の推薦人は

 まず、各候補者によって届出された推薦人は以下の通りです。推薦人は立憲民主党代表選挙規則により20名以上25名以下とされており、逢坂氏と西村氏が20名、小川氏と泉氏が25名で届け出ました。 

逢坂誠二氏

【衆議院議員】石川香織、大築紅葉、近藤昭一、堤かなめ、道下大樹、山岡達丸、柚木道義、【参議院議員】有田芳生、江崎孝、小沢雅仁、勝部賢志、岸真紀子、斎藤嘉隆、田島麻衣子、那谷屋正義、白真勲、鉢呂吉雄、水岡俊一、森屋隆、吉田忠智(以上、20名)

小川淳也氏

【衆議院議員】青柳陽一郎、伊藤俊輔、稲富修二、大串博志、奥野総一郎、落合貴之、鎌田さゆり、菊田真紀子、源馬謙太郎、近藤和也、桜井周、階猛、白石洋一、鈴木庸介、田嶋要、手塚仁雄、寺田学、中島克仁、中谷一馬、谷田川元、湯原俊二、【参議院議員】小西洋之、塩村文夏、長浜博行、野田国義(以上、25名)

泉健太氏

【衆議院議員】青山大人、荒井優、井坂信彦、神津健、後藤祐一、佐藤公治、篠原豪、下条みつ、末次精一、末松義規、徳永久志、野間健、福田昭夫、馬淵澄夫、森田俊和、山田勝彦、山井和則、吉田統彦、【参議院議員】木戸口英司、古賀之士、田名部匡代、羽田次郎、牧山弘恵、森本真治、横沢高徳(以上、25名)

西村智奈美氏

【衆議院議員】中川正春、岡本章子、阿部知子、大河原雅子、吉田晴美、小山展弘、菅直人、早稲田夕季、森山浩行、篠原孝、渡辺創、山崎誠【参議院議員】川田龍平、真山勇一、熊谷裕人、打越さく良、石垣のりこ、杉尾秀哉、石川大我、石橋通宏(以上、20名)

 立憲民主党所属国会議員は140名ですが、うち90名が推薦人に名前を連ねたことで、ある程度国会議員票の票数は見える状態になりました。その結果、地方議員票や党員・サポーター票の動向が着順を左右する状況になりそうです。

 グループ別に見てみると、逢坂氏は党内グループの「サンクチュアリ(近藤グループ)」から、小川氏は「花斉会(野田グループ)」から、泉氏は「新政権研究会(泉グループ)」から、西村氏は「国のかたち研究会(菅直人グループ)」からそれぞれ推薦人の多くを出しています。ただし、グループを超えた形での推薦人も見受けられることから、政策本位でグループを超えた形での支援の枠組みがあったこともうかがえます。

 なお、決選投票に勝ち上がるためには上位2位に入る必要があることから、(規則上最小人数の20名ではなく、最大人数となる)25名の推薦人を集めた小川氏や泉氏は、より多くの国会議員票が見込めることを地方議員や党員・サポーターにアピールする目的もあったとみられています。

立憲民主党代表選挙規則第6条 代表候補者は、代表選挙の告示日に、国会議員の20人以上25人以下の推薦状を添えて、代表選管に届け出ることを要する。ただし、代表選管委員は推薦人になることができない。

選挙戦は決選投票含みの展開か

 代表選の展望についてもみていきたいと思います。まず、下図に示したとおり、代表選は国会議員・公認候補予定者票にくわえ、地方議員票、党員・サポーター票も加わった全体の票のうち、過半数を制した候補者が当選する仕組みです。(詳細については、拙稿「立憲民主党代表選、選挙のしくみと「党内グループ」のまとめ

」も参考)

立憲民主党代表選(2021年)のしくみ、図表は筆者作成
立憲民主党代表選(2021年)のしくみ、図表は筆者作成

 このうち国会議員票は1人が2ptを持つ「加重」がなされていますので、全体におけるウェイトが大きいのが特徴です。代表選挙は秘密投票のため、届出した際の推薦人が必ずしも当該候補者に投票するとは限りませんが、仮にそうだとすれば各候補者はそれぞれ国会議員20人(40pt)〜25人(50pt)の票を持つことになります。

 過半数である287ptを抑えるためには、推薦人ではない国会議員60人(120pt)と公認候補予定者6人(6pt)、地方議員票143ptと党員・サポーター票143ptの中から237〜247ptを抑える必要があり、事実上は困難でしょう。そうなると代表選挙は、ほぼ決選投票含みの展開となると予想できます。

 地方議員票については、地方議員と連携の深い衆議院議員が推薦者にどれだけいるのかが鍵となってくるでしょう。選挙区や都道府県といった地域的な切り口のほか、旧立憲系・旧国民系といった出身母体の切り口など、多様な切り口があるために動向が注目されます。

 また、女性議員の動向も注目です。平成31年の統一地方選挙では、立憲民主党の公認候補617名(女性169名)のうち507名(女性145名)が当選し、当選者における女性比率は28.6%となっています(男女共同参画局調べ)。統一地方選挙以外の地方議員も含めて1,265名のうち、正確な女性比率まではわかりませんが一定数の女性議員がいることは間違いなく、唯一の女性候補である西村氏が集票できるかも見どころでしょう。

 更に党員・サポーター票です。逢坂氏はTwitterのフォロワーを約69,000人抱えており、ブログをはじめとする情報発信には定評があり、根強いファンがいます。泉氏は早い段階から表明していたことからテレビ出演などが多かったこと、西村氏は女性票の獲得が狙えるとみられること、小川氏は自身を特集した映画「なぜ君は総理大臣になれないのか」が話題となったことなどが、得票に繋がるポイントとなりそうです。

選挙コンサルタント・政治アナリスト

1988年生まれ。青山学院高等部卒業、青山学院大学経営学部中退。2010年に選挙コンサルティングのジャッグジャパン株式会社を設立、現在代表取締役。不偏不党の選挙コンサルタントとして衆参国政選挙や首長・地方議会議員選挙をはじめ、日本全国の選挙に政党党派問わず関わるほか、政治活動を支援するクラウド型名簿地図アプリサービスの提供や、「選挙を科学する」をテーマとした研究・講演・寄稿等を行う。『都道府県別新型コロナウイルス感染者数マップ』で2020年度地理情報システム学会賞(実践部門)受賞。2021年度経営情報学会代議員。

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