前回の記事ではオミクロンの速報的情報を論じた。この1週間で新たに分かった重要な点をアップデートする(2021/12/10)。

オミクロンの英国における広がり

英国は南アフリカと関係にある国であり、オミクロンの流入が日本より早かった。英政府は数日おきにオミクロンのデータ・解析結果を公開しており、オミクロンの性質・ワクチンの効果についてのデータが少しずつ出始めている。

英国では、今年の12月半ば頃までに英国ではオミクロンの感染者数がコロナ感染者の半数を超えると予想されている。つまりオミクロンは日本と同様にワクチン接種率が高い英国においても流行を急速に広げる力を持つことが確認された。

ワクチンの感染防御に対する有効性

英国における、ワクチンの効果についての現実世界のデータの最初の分析結果が12月10日に発表された。まだ600人弱のオミクロン感染者を調べたに過ぎないため、データに限界があることに注意すべきであるが、ワクチンによる感染防御の効率につき次の点がみえてきた:

1)ワクチンの感染防御効果は(デルタに比べて)オミクロンでは大きく低下する。データはまだ少なく不確定だが、ファイザー2回接種後6ヶ月たった人の場合、オミクロンに対してワクチンの感染防御効果はおよそ30%程度しかないであろうと現時点では見積もられている。

2)ブースター接種後はオミクロンに対する感染防御効果が80%程度まで上昇すると見積もられている。

いずれも速報的数字であり、正確な数字は今後のことになる点に留意してほしい。前回の記事で述べた通り、このような現実世界のデータが蓄積することではじめてオミクロンがわれわれに与える影響を正確に見積もることができる。

ワクチンの重症化予防に対する有効性

英国でのオミクロン流行はごく最近広がったため、まだ数も少なく、現時点ではオミクロンに対するワクチンの重症化予防効果についてはデータが存在しない。英国における重症化データが出てくるのは数週間後であり、新年になる。

現時点でいえることは、過去のデータと最新の感染防御効果上昇のデータから、オミクロンについても、高齢者・コロナで重症化リスクが高くなる基礎疾患をもった人の重症化をブースター接種で予防できる期待は高いと考えられる。

オミクロンと重症化(アップデート)

これまでの南アフリカでは感染者数の増え方が著しい一方で、入院患者の増え方は比較的ゆるいようにもみえてきた。これに基づきオミクロンは重症化しにくいという説も流布しているが、これもまた早急すぎる意見である。

南アフリカにおいてもオミクロンの重症化率は未確定でありまだ数週間待つ必要性があるが、入院患者数の増加はすでに明確になっている。このため少なくとも、これまでデルタで重症化するリスクが高かった人は、オミクロンでも同様に重症化するリスクは高いものと考えるべきであろう。

上で論じたように、オミクロンは再感染をおこしやすく、ワクチン2回接種者にも高率に感染できる。このことが意味するのは、オミクロンはワクチンや自然感染のためこれまでは感染せずにすんでいた人たちのあいだで容易に流行を広げて急速に感染者数を押し上げることができることである。

免疫の性質を考えると、ワクチンや自然感染によりある程度免疫がある人たちがオミクロンに感染した場合、(全く免疫がない人に比べれば)重症化する人がある程度は少なく済むことは想定してよい。今世界中で関心が集まっているのは、この、ワクチン・自然感染それぞれでできる免疫によるオミクロン感染の重症化回避効果がどの程度であるか、である。これが日本を含めた世界の今冬を左右することとなるが、データが蓄積されて分析結果が発表されるのには新年の1月になる見込みである。