匿名オンライン調査による論文というトンデモ研究に頼る反ワクチン活動

極端な反ワクチン活動家がワクチンと自閉症を結びつけようとしていることはよく知られているかと思います。そして、その証拠は存在しないこと(ワクチンは自閉症と何の関係もないこと)もここで確認しておきます。

そのうえで今回の論文は、伝聞メールで依頼した匿名オンライン自己報告に基づいた研究という、まあ言ってみれば「ヤフー知恵袋で聞いてみました」というレベルの研究でワクチンと自閉症を結びつけようとした「研究者」の話です。

問題の論文は次のよく似た2つの論文です。

Pilot comparative study on the health of vaccinated and unvaccinated 6- to 12-year-old U.S. children

Preterm birth, vaccination and neurodevelopmental disorders: a cross-sectional study of 6-to 12-year-old vaccinated and unvaccinated children

この2つの論文はいずれもJournal of Translational Scienceという雑誌に掲載れていますが、これは全く無名で(雑誌名も無意味です)オンライン雑誌に掲載されています。新しい雑誌であまり掲載された論文の数がありませんが、そのリストをみてもやはり何の雑誌なのかよくわからない雑誌です。つまり、このJournal of Translational Scienceという雑誌は現在山のようにはびこっている中身のないオンライン雑誌の一つと思われます。

この論文の調査は、著者は米国のホームスクーリング(子供を学校に通わせないで家で教育する)団体であるNational Home Education Research Institute (NHERI)に調査を依頼し、団体本部がフロリダ・ルイジアナ・ミシシッピ・オレゴンの地域リーダーたちにメールで調査を依頼、このリーダーたちが地域の団体メンバーに匿名オンライン質問表に答えるよう依頼するメールを転送して調査したとのことです。

つまりこれは、メールの伝言ゲーム+匿名オンライン調査という稀に見る信頼性のなさの組み合わせの調査なわけです。これではそのホームスクーリング団体リーダーたちがどんな人を回答者として選んだのかさっぱりわかりませんよね。それを追跡する方法すらありません。

論文の最後に書いてありますように、この研究のお金はChildren’s Medical Safety Research Institute「子供の医学安全の研究所」という団体からの助成で行われました。これは反ワクチン活動に特化した団体で、同団体はこの論文をもとにトランプに接触しようと試みたようです。(さすがのトランプも反応しなかったようですが)

この論文のどちらか(あるいは別のバージョンが)昨年11月に、Frontiersというまともな雑誌に掲載されかけたようですが、暫定的に掲載決定した段階で科学者たちから速やかに批判を浴び、査読を再度おこなったうえで掲載拒否されています

ワクチンは自閉症と何の関係もありません。この論文はこのようにお粗末な話ばかりで何の注目もする必要も全くないのですが、こうした話は科学業界の事情を知らないと騙されかねないゆえ、ここで少し解説しました。