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ストリートファイターリーグの前半戦を総括! ネモオーロラが首位で折り返し

岡安学eスポーツジャーナリスト
トッププロ選手がチーム戦で戦う(Capcom Fighters JPより)

首位はネモオーロラ。しかし4位までは混戦状態

今年で3シーズン目を迎えるストリートファイターリーグ。9月25日の東京ゲームショウ、eSports-Xでの開幕戦を皮切りに先日の10月23日で第5節が終了し、ちょうど折り返しとなりました。

今回は、その折り返しまでの振り返りをしていきます。

第5節終了しての順位表。1位はネモオーロラ(Capcom Fighters JPより)
第5節終了しての順位表。1位はネモオーロラ(Capcom Fighters JPより)

今シーズンは、1チーム4選手で構成された6チームリーグ戦を行い、それぞれのチームと2回対戦する第10節で戦います。チーム構成は、ウメハラ選手率いるウメハラゴールド(ウメハラ選手、まちゃぼー選手、カワノ選手、ナウマン選手)、ときど選手率いるトキドフレイム(ときど選手、板橋ザンギエフ選手、りゅうせい選手、ストーム久保選手)、ももち選手率いるモモチスプラッシュ(ももち選手、藤村選手、ハイタニ選手、ジョニー選手)、ネモ選手率いるネモオーロラ(ネモ選手、sako選手、ガチくん選手、キチパ選手)、ふ~ど選手率いるフードガイア(ふ~ど選手、どぐら選手、ぷげら選手、Shuto選手)、マゴ選手率いるマゴスカーレット(マゴ選手、もけ選手、水派選手、MOV選手)となっています。

どのチームも選手が大幅に入れ替わっており、昨年王者のマゴスカーレットもディフェンディングチャンピオンとしての優位性は感じられないほどです。

レギュレーションは3対3の星取戦で、先鋒、中堅で勝利したチームに1ポイント、大将戦で勝利したチームに2ポイント入ります。対戦前にチームメンバー4人から3人を選出し、お互いのメンバーを確認したのち、どれか1キャラを相手チームに使わせないようにするBANシステムを発動します。BANシステムは昨年からあるものですが、昨年はマルチキャラを扱う選手が少なく、1キャラに特化した選手を狙いやすいという側面からうまく機能していなかったのですが、今年は選手4人から選別できるうえ、サブキャラの練度を上げている選手が多く、BANシステムの行方やチーム編成が勝敗に大きく関わってきます。

BANは同じチームで対戦するとき、同じキャラクターを指定できないと言うルールも補足されたので、苦手なキャラクターを1回目と2回目のどちらでBANするかの駆け引きもでてきます。また、4人の選手全員が1度は前半戦、後半戦で出場しなくてはならないので、選手のオーダーにも駆け引きが出てきます。

後半戦も優位に戦えそうなネモオーロラ

前半戦、トップで折り返したのは、ネモオーロラ。5試合で15ポイントを稼いでいます。ネモオーロラの強さは、チーム編成の妙とサブキャラでの勝率です。ネモオーロラ所属のザンギエフ使いのキチパ選手とラシード使いのガチくん選手の2名は、どちらも使用キャラクターの練度は世界トップクラス。ただ昨年までは、その分サブキャラクターをほとんど使用しておらず、BANの対象になりやすい状態でした。今年は、2選手ともサブキャラクターの練度をかなり上げており、予想通りBANされても、それをものともせず、サブキャラクターで勝利を重ねています。また、このBAN候補はふたり居ることも大きく、前半戦でBANされたキャラクターは後半戦ではBANされないルールから、後半戦はメインキャラで戦える優位性が出てきます。その点を考えると前半戦の好成績以上に、後半戦は優位に戦える可能性があるわけです。

BANされ続ける男キチパ選手。サブキャラでもしっかり勝ちを重ねチームに貢献(Capcom Fighters JPより)
BANされ続ける男キチパ選手。サブキャラでもしっかり勝ちを重ねチームに貢献(Capcom Fighters JPより)

また、ネモオーロラの強みは、リーダーを出場選手から外すフレキシブルさがあるところです。第3節のマゴスカーレット戦では、リーダーネモ選手を外し、キチパ選手、ガチくん選手、sako選手の布陣で挑んだ結果、4-0のストレート勝ちをもぎ取りました。大将戦での圧倒的な強さを誇るネモ選手を出すよりも、sako選手に大将を任せた方が勝てる確率が高くなると判断しての結果です。

混戦状態の2~4位はどこが抜け出すのか

2~4位はダンゴ状態で、トキドフレイムとフードガイアが10ポイントで並び、ウメハラゴールドが1ポイント差の9ポイントで追いかけます。ウメハラゴールドはリーダーのウメハラ選手が第1~4節までガイルをBANされ続け苦戦する中、チーム全体で盛り立てています。トキドフレイムは開幕以来、1~2位をキープ。負け越しが1回と安定感は抜群です。

ときど選手と板橋ザンギエフ選手のダブルリーダーがうまく機能し、チーム力を高めています。また、若手のりゅうせい選手はそのダブルリーダーを差し置いて大将を務めることもあり、チームから高い信頼を得ています。

リーダーのウメハラ選手とときど選手のメインキャラがBANされたことで、大将を任されたりゅうせい選手(Capcom Fighters JPより)
リーダーのウメハラ選手とときど選手のメインキャラがBANされたことで、大将を任されたりゅうせい選手(Capcom Fighters JPより)

フードガイアはマゴスカーレット、モモチスプラッシュと調子を上げ切れていない2チームと序盤で対戦し、獲得した貯金を中盤でキープ。逆に観ればフードガイアが、マゴスカーレットとモモチスプラッシュの出鼻をくじいたことによる結果とも言えます。ふ~ど選手とぷげら選手の持ちキャラであるポイズンがBANされやすくなっていますが、ふ~ど選手のR・ミカとぷげら選手のセスがうまく機能しており、五分の戦いができています。ある意味、どぐら選手のベガをBANされないようにぷげら選手がサブキャラにポイズンを入れて居るようにすら見えるほどです。ただ、後半戦になるとベガが狙われる可能性があるので、どぐら選手がいかにセスで勝つか、もしくはどぐら選手の代わりにShuto選手を出場させ、Shuto選手で勝つしかなくなります。その場合はShuto選手もメインキャラをBANされやすくなるので、サブキャラの練度が鍵になるのではないでしょうか。

モモチスプラッシュの躍進の鍵は藤村選手

モモチスプラッシュとマゴスカーレットはかなり苦しい状態。モモチスプラッシュは第1・2節でまさかの無勝利。第3節で2ポイント、第4節で3ポイント稼ぎ、調子が上向きになると思われました。特に第4節はトキドフレイム唯一の負け越しとなる試合で、モモチスプラッシュの強さの片鱗が垣間見られました。しかし、第5節では最下位のマゴスカーレットに3-1で負け越し、波に乗り切れていません。後半戦、巻き返しの鍵となるのは、藤村選手。実績を考えると、勝ち頭のエースとして活躍を見込まれていたはずですが、前半戦は1勝しかできていません。メインキャラの春麗を5試合中3試合BANされている不利さはありますが、BANされなかった2試合で勝てていないのが辛いところです。特に相性があるとは言え、ぷげら選手との対戦ではBANされていないのにもかかわらずサブキャラクターの豪鬼を出して敗北。また、第3節では1セット取られたあと、以前のメインキャラであるいぶきを出すも精彩を欠き負け、使用キャラクターの不安定さが目立ちます。リーダーももち選手と同等の安定感を誇ったダブルエースが復活することに期待したいところです。

藤村選手の活躍がモモチスプラッシュの躍進の鍵(Capcom Fighters JPより)
藤村選手の活躍がモモチスプラッシュの躍進の鍵(Capcom Fighters JPより)

マゴスカーレットは第1節に1ポイント稼いだあとは、第2~4節までポイントなしが続き、圧倒的最下位に。第5節でモモチスプラッシュにようやく勝ち越し3ポイントを奪取。マゴ選手がポイントを獲得したことで、今後、波に乗れるかが見どころです。BANされた選手同士の対戦で負け続け、メインキャラでも勝ち星が取れていない状況をどうやって打破するかが今後のマゴスカーレットの課題と言えるでしょう。BANされたキャラクターを使う相手選手にメインキャラクターを使える選手を当ててでも1ポイントでもとりにいく姿勢が必要かもしれません。

10月30日からは後半戦が始まります。グランドファイナル出場3チーム内に入るチャンスはどのチームにもまだ残っているので、今後の展開に注目です。

eスポーツジャーナリスト

eスポーツを精力的に取材するフリーライター。ゲーム情報誌編集部を経て、フリーランスに。様々なゲーム誌に寄稿しながら、攻略本の執筆も行い、関わった書籍数は50冊以上。現在は、Webや雑誌、Mookなどで活動中。近著に『みんなが知りたかった最新eスポーツの教科書』(秀和システム刊)、『INGRESSを一生遊ぶ!』(宝島社刊)。

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