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カナフレックスが鳴尾浜で4年ぶりの練習試合、元阪神・藤井宏政コーチも驚く15安打!

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
※前回、2017年4月18日の練習試合で現役だった藤井選手は背番号10でした。

 新型コロナウイルスの影響により、昨年はほとんどの公式戦が中止になった社会人野球。ことしは無観客開催に変更するなどの対応をしながら、ここまでは中止や延期なく行われてきました。しかし感染再拡大は収まらず、まん延防止等重点措置に加えて、3度目となる緊急事態宣言が発出されたため出場を辞退するチームも増えています。

 5月1日から岐阜で行われる『第73回JABAベーブルース杯大会』は有観客の予定でしたが、きのう27日に無観客開催に変更すると発表。そして岐阜県独自の緊急事態宣言が出たことを受け、航空自衛隊千歳が出場辞退を申し入れて受理されました。

 毎年ゴールデンウィークに岐阜で開催される『JABAベーブルース杯』は、元阪神タイガースの藤井宏政コーチ(31)が所属するカナフレックスが何度も出ている大会で、ことしは初戦の相手が航空自衛隊千歳でした。よってカナフレックスは不戦勝で、まず1勝。といっても同じグループの残りチームも1勝ずつということですけどね。

 その残り2チームというのが東京ガスとトヨタ自動車で…なかなか手強い。でもカナフレックスは例年以上に気合が入っているようですよ。久しぶりに会社の方々や家族らに見てもらえると張り切っていたはずなので無観客は残念ですけど、優勝すれば社会人日本選手権(ほっともっとフィールド神戸、京セラドーム大阪)に出られます。手強い2試合に集中しましょう!

前回は選手として訪れた鳴尾浜

 そんなカナフレックスが25日、鳴尾浜球場で阪神と4年ぶりの練習試合を行いました。150キロを連発する投手陣から計15安打を放って7対4の勝利!カナフレックスは23日にオリックスとも練習試合を行っていて、ともに4安打ずつで0対0の引き分けでした。それが2日後の鳴尾浜では一転したわけで「珍しく打ちました(笑)」と藤井コーチ。そして「ベーブルース杯に向けた最後の実戦だったから、チームに勢いがついてよかった」と話しています。

 阪神ファームとの練習試合は、カナフレックス創部3年目の2016年が最初。この年は2度対戦していて、4月3日は6対0で、9月14日は6対4で阪神が勝っています。次の2017年4月18日は1対0で阪神の勝利。2018年9月29日にも試合は組まれていましたが、台風25号接近前の雨により中止になっています。そして2019年と2020年はなかったので、今回が4年ぶりの対戦。

 4年前、1対0で阪神が勝った試合の決勝点は押し出し四球によるもので阪神打線は2安打のみ、カナフレックスも3安打のみという内容。藤井コーチいわく「自分が引退した年ですね」と。右ひじを痛めて2週間ほど試合に出ていなかった“藤井選手”が、打撃練習を再開した日です。でも結局、この右ひじが治らずシーズン途中で兼任コーチに、翌年からコーチ専任になりました。

 それと、この日は試合前の練習で左耳にボールが当たって病院へ行ったんですよね。その後、戻ってきて途中から出ています。顔ぶれも懐かしいですね。キャンベル選手が先発出場していたり、今や1軍の4番・大山悠輔選手がショートを守っていたり。そうそう、石崎剛投手が藤井選手への初球で150キロを出し、最後は変化球で空振り三振。詳しくは当時の記事をご覧ください。<練習試合で竹安投手が6回無失点 カナフレックス・藤井選手は打撃を再開>

4年ぶりの練習試合

 では2021年に話を戻して、4月25日に行われた阪神ファームとカナフレックスの練習試合の結果です。本来なら阪神を主とした記事にするところですけど、今回はカナフレックス側から書かせていただきます。コロナ禍での人数制限により昨年と同じく鳴尾浜球場へ入れないため、現地での試合観戦と取材はできでいません。

 よって試合は配信されている動画で見て、コメントは電話やメールなどで聞いたものです。ご協力くださったカナフレックスの皆様、ありがとうございました!

<プロアマ交流戦(練習試合) 25日>

阪神-カナフレックス (鳴尾浜)

  カナ 102 101 020 = 7

  阪神 200 001 010 = 4

◆本塁打 カナ:福田ソロ(石井将)

◆二塁打 カナ:山崎、米倉2

◆盗塁 カナ:新宅 阪神:小幡、遠藤

◆打撃

【カナ】    (打-安-点/振-球/盗/失)

  1]右:山崎  (4-2-0 / 1-1 / 0 / 0)

  2]遊:米倉  (4-3-3 / 0-1 / 0 / 0)

  3]中:新宅  (5-2-2 / 0-0 / 1 / 0)

  4]一:澤田  (5-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

  5]指:江頭  (2-0-0 / 1-1 / 0 / 0)

  〃打指:田村 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

  〃打:喜来  (1-1-0 / 0-0 / 0 / 0)

  〃走指:岩崎 (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

  6]左:森田  (5-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

  7]二:武田  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

  8]捕:福田  (5-4-2 / 0-0 / 0 / 0)

  9]三:田中  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 1)

【阪神】

  1]二:小幡  (3-1-0 / 1-1 / 1 / 0)

  2]遊三:遠藤 (3-0-0 / 1-1 / 1 / 0)

  3]三遊:高寺 (2-0-0 / 1-2 / 0 / 0)

  4]右左:井上 (3-0-0 / 2-1 / 0 / 0)

  5]左右:島田 (4-3-2 / 0-0 / 0 / 0)

  6]指捕:片山 (3-2-2 / 0-1 / 0 / 0)

  7]一:藤谷  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0)

  8]捕指:藤田 (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

  9]中:奥山  (4-0-0 / 2-0 / 0 / 0)

◆投手

【カナ】        (安-振-球/失-自)

  黒岩  5回 18人 69球 (3-5-2 / 2-2)

  伊藤  1回 5人 20球 (1-1-2 / 1-1)

  迫   1回 4人 15球 (0-1-1 / 0-0)

  青山  1回 6人 21球 (2-1-1 / 1-1)

  大西  1回 3人 15球 (1-1-0 / 0-0)

【阪神】

  小川  2回 7人 24球 (1-1-0 / 1-0)

  望月  2回 11人 36球 (6-0-0 / 3-3)

  浜地  1回 6人 25球 (1-1-2 / 0-0)

  石井将 2回 9人 32球 (3-0-0 / 1-1)

  佐藤蓮 1回 6人 26球 (2-1-1 / 2-2)

  牧   1回 5人 15球 (2-2-0 / 0-0)

《試合経過》※敬称略

 まず1回、カナフレックスは先頭の山崎が左中間二塁打を放ち、捕逸で三塁へ進むと1死後、新宅の一ゴロで生還。1点を先取しました。しかしその裏、先発の黒岩は1死を取ってから遠藤に四球と盗塁を許し、高寺にも四球。島田の内野安打などで2死満塁として、片山に2点タイムリーを浴び逆転を許します。

 でもカナフレックスは3回、阪神2人目の望月から福田と田中が左前打、山崎は内野安打の3連打で無死満塁と攻め、米倉の中越え二塁打で同点!続く新宅の遊ゴロで勝ち越しに成功。4回は森田の左前打などで2死二塁として福田が中前タイムリー!さらに福田は6回にも石井将から左中間へホームランを放ち、これで5対2とリードを広げました。

 8回も福田が中前打で出て暴投で二塁へ、山崎が四球を選んで2死一、二塁となって、また米倉がタイムリー二塁打!これで2人とも還って計7点です。なお得点のなかった5回も1安打2四球などで満塁と攻め、7回も米倉と新宅の連打で2死二、三塁のチャンスを作り、9回は澤田と代打・喜来の連打など計15安打のカナフレックス打線。三者凡退は2回だけです。

 一方、先発の黒岩は2回、3回、5回と三者凡退。4回も、片山に中前打されますが福田の盗塁阻止により3人で片付けて、追加点を与えることなく5回まで投げ終えました。6回はルーキーの伊藤が登板し、2四球などで2死一、二塁として島田のタイムリー。7回はやはりルーキーの迫が投げ、四球と味方エラーはあったものの無失点。

 7対3とリードをもらった直後の8回は青山が登板し、小幡の右前打と盗塁、井上への四球などで2死一、二塁となって島田の右前タイムリーで1点返されました。9回は大西が先頭の藤谷に中前打を許しながらも藤田を併殺に、最後は奥山を見逃し三振に仕留めて試合終了です。

「みんなこの1試合に賭けていた」

 藤井コーチは現役を退いてから初めての鳴尾浜球場。出場した阪神の選手は若手中心だったので面識もなかったと思いますが、平田勝男監督や宮脇則昭ファームディレクターはもちろん、コーチやマネージャーは顔なじみの人ばかりでしょう。「現役を一緒にやっていた(田中)秀太さんや平野(恵一)さんがいて懐かしかったです」と言っていました。

今の藤井コーチは背番号77。写真は3月のものですが、今回の鳴尾浜でも三塁でかなり腕を回したでしょう。(奥は福田選手)
今の藤井コーチは背番号77。写真は3月のものですが、今回の鳴尾浜でも三塁でかなり腕を回したでしょう。(奥は福田選手)

 プロとの練習試合は今回のオリックス戦と阪神戦が今季初だったとか。去年はまったくなかったので久しぶりですね。どうでしたか?「きょうはベーブルース杯の前ラストの練習試合だったんですよ。みんな、この1試合に賭けていたと思います。最近、打てていなかったんですけど、きょうでいい感じになったかな」。藤井コーチも声が明るかったですね。

 球速が表示されるようになったスコアボードを見るのも初めてでしょう?と尋ねたら藤井コーチは「阪神のピッチャー、球速いですねえ!みんな150キロ出てましたよ」と驚いた様子。まあ確かに石井将希投手と牧丈一郎投手以外の4人は今、150キロの球を投げているし、それ以上の人もいますね。

 「150キロのピッチャーなんて社会人でなかなかいないから、いい経験ができたと思います。また、それを打てたってことがよかった」と藤井コーチ。なんせ15安打ですからね。そのうちキャッチャーの福田優人選手(29)がホームランを含む4安打でした。でも「福田はケガをしていて、きょうやっとスタメンやったんですよ」とのこと。

 約2週間前にピッチャーのショートバウンド投球を捕りにいった際、それが鎖骨に当たってしまったとか。しばらく左腕が動かず、何もできなかったと言います。23日のオリックス戦で復帰したばかり。「もういけると思いますよ」という藤井コーチに、復帰していきなり打っていますねと言ったら「休んでいたから振れているんじゃないですか(笑)」と。なんてことを!

 それと4番の、元楽天・北川倫太郎選手(27)が出場しなかったのは?「ケガです。ベーブルース杯は間に合うと思います」。実は福田選手が復帰したオリックス戦で足を捻挫してしまったそうで、でも「テーピングをして練習をする、間に合う」と本人も気合十分とか。

 代わりに4番を務めた澤田裕基選手(23)はなかなかヒットが出なくて…でも9回に牧投手から左前打しましたね。「ポテンですけど」とまた笑う藤井コーチ。いやいや、どんな当たりでもきっとホッとしたはずですよ。

※4番を務めた澤田選手(左)と、2安打2打点の新宅選手(打点は内野ゴロ2つで挙げました)。昨年9月の都市対抗予選で当時ルーキーだった2人を撮影したもの。
※4番を務めた澤田選手(左)と、2安打2打点の新宅選手(打点は内野ゴロ2つで挙げました)。昨年9月の都市対抗予選で当時ルーキーだった2人を撮影したもの。

 阪神が投打とも若手中心のメンバーだったとはいえ、とにかく15安打して勝ったことで「チーム的にはちょっと勢いがつくかな?プロとやって自信がついたかも」と前向きなコメントでした。相変わらず控えめですけど。

 先発の黒岩龍成投手(25)が阪神投手陣に負けず劣らずの150キロを出していたとか!藤井コーチいわく「オリックス戦で152キロが出ました。きょうは151キロ。最近出ていますよ」。3月に聞いたときは149キロが自己最速だったはず。1か月で3キロアップはすごい。カナフレックスの大塩マネージャーによると「152キロが最速で、常時146キロです。ことしの黒岩さんは違います!」とのこと。楽しみですねえ。

 3月の記事はこちらからご覧いただけます。<昨秋の都市対抗予選で見せた“旋風”を再び!元阪神・藤井宏政コーチとカナフレックス>

故障明けで全開モード!

 続いてホームランを含む4安打の福田優人選手です。福田選手からも藤井コーチと同じく「阪神のピッチャー、みんな150キロ!」という言葉が出てきました。「1打席目(望月投手)が151キロで、バットに当たったのは分かったけど、どこに飛んだか全然…」。8回の佐藤蓮投手からは初球をセンター前へ運んだものの、やはり「バット折れました。速いっすねえ!」という感想。

 なおホームランは石井将投手の真っすぐだったそうです。私は動画で見ていたので、レフトとセンターが追うところまでしか確認できず、審判が腕を回す仕草で入ったとわかりました。ところが福田選手も「絶対にセンターフライやと思って、めっちゃ走りました!ホームまで15秒くらいで帰っていますよ」と大笑い。15秒って、ベースランニング並みのスピードですね。

 4打席連続安打には「自分が一番びっくりしています」という福田選手。9回に回ってこなければ“4の4”だったはず。「そうなんですよ!4打席目でバットが折れて最後は別のバットでいったら…」感覚が全然違って戸惑い、そのまま初球に手を出して遊ゴロ。「バットが折れて、魔法も解けました~(笑)」

 ケガのため2週間、戦列を離れていた福田選手は「休んでいる間もみんないい感じだったので、練習はできないけど気持ちで後れを取らないようにと思っていました。みんなメッチャ練習するんですよ。焦りは半端なかったです」と振り返ります。じゃあフル出場できた上に打てて何よりですね。

 「あーよかった。ホッとしました。試合に出て自分が足を引っ張ったらどうしようと思って、この2週間怖かったので」。ホッとした、というのが本音なのかもしれませんね。と思ったら、以降もずっと「4安打1ホーマー」を自慢し続けているという噂を耳にしました(笑)。誰から聞いたかはナイショです。

鳴尾浜では4安打と大当たりだった福田選手。3月24日、JABA京都府春季大会で2回に左前打した時の写真です。
鳴尾浜では4安打と大当たりだった福田選手。3月24日、JABA京都府春季大会で2回に左前打した時の写真です。

「僕らは常に下剋上の精神です」

 阪神と戦った日は帰ってきてからも、みんな揃ってバットを振っていたそうです。「僕もタイガースの選手の体を見て、やっぱりすごいなあ、大きいなあと思って、帰ってからすぐウエートしましたもん(笑)。それと、なんで打てたかを体に覚え込ませるためティーバッティングも」と福田選手。

 「ベーブルース杯、全部勝つつもりでやります。当たって砕けろですね。去年までより緊張しているかも」。やっぱり、去年の都市対抗近畿2次予選で日本生命を破ったり、延長を制したりして勝ち進んだ経験から?「そうですね。で、もしかしたらいけるんちゃうかな?と思ってしまうことが怖い。僕らは常に下剋上精神で来たので、それを忘れたらダメです」

 なるほど、もしかしたら…は怖いですね。「でも(北川)倫太郎がしっかり言うてくれているので大丈夫!」。さすが北川キャプテン、締めるところは締めて?「人間的にも本当にすごい。お手本みたいな人です。元プロらしくないというか、めっちゃ練習するんですよ。倫太郎が率先して練習するから周りも必死ですよね。みんな、一生バットを振ってるんじゃないかと思うくらい」

 帰ってからも素振りするほどの練習、理由はこれだったんですね。そして福田選手はこんなふうに言いました。「僕らは恵まれています。じいさん(藤井コーチ)にしろ、倫太郎にしろ、めっちゃ真面目で一生懸命で。ありがたいです」と。それをしっかり受け止めてくれるカナフレックスの選手たちに、2人も感謝していると思いますよ。

※昨年9月にわかさスタジアム京都で撮った大西健太投手(左)と福田選手。2人とも4年前の鳴尾浜と今回の両方で試合に出ていました。
※昨年9月にわかさスタジアム京都で撮った大西健太投手(左)と福田選手。2人とも4年前の鳴尾浜と今回の両方で試合に出ていました。

 なお、カナフレックスも4年の間にかなり選手が入れ替わっていて、前回と今回の両方出ていたのは4人だけ。その中に福田選手もいます。当時を思い出して「確か大山選手が出てましたよね?あと植田(海)選手の盗塁を刺した記憶が」と言うのでスコアブックを確認したら、その通り。伊藤隼太選手の盗塁も阻止したけど、江越大賀選手には走られていますね。「いや~あれは速すぎました!投げようと思ったらもう二塁にいた。めっちゃ速い!」。いい誉め言葉です。ね、江越選手。

新人らしい思い切りのよさで!

 続いて4打数3安打3打点の活躍だったルーキー・米倉凌平選手(22)。4年前は大学に入ったばかり、ですかね。東京出身ながら、大学は東京農業大学北海道オホーツク。そこから滋賀へ来て生活はどうですか?何にもないでしょう。関西弁には慣れましたか?とまず聞いてみました。

 すると「大学は北海道の網走でめちゃめちゃ田舎なところだったので、滋賀に来てもそんなに違和感はなく生活できています!むしろ滋賀の方が栄えてるので(笑)。大学時代に寮生活で関西の人とかいろんな地方から選手が集まっていたので方言には慣れっ子です」という返事。順応性もありますね!

 では試合の話を。オリックス、阪神との練習試合がありました。プロ相手で気合が入るとか、逆に緊張するとか、そういうのはなかったですか?「気合はめちゃめちゃ入っていましたね。少しでもプロにアピールしてやるんだって気持ちで臨みました。でもオリックス戦は少し空回りしていた所もあって…。きょうは思い切ってプレーできたので、いい結果につながったと思います!」

 4打数3安打3打点という結果。しかもチャンスの場面で2本のタイムリー二塁打!自身で振り返っていかがですか?「全打席、積極的に初球から振っていった結果がヒットになってくれたのでよかったです。自分の後ろには自分よりもいいバッターがたくさんいるので、後ろにつなぐことしか考えてなかったです!」

 さらに「あと、社会人に来てから得点圏での打率がものすごく低くて…。最近の試合でも自分がチャンスで打てず引き分けになったりという試合が続いていたので、きょうこそは!と打席の中で考えていました。久々のタイムリーだったのでめちゃめちゃ嬉しかったですね(笑)。プロ相手に3安打できたことは、アピールにもなったし自信にもなったので、よかったです!」と付け加えてくれました。

 まもなくベーブルース杯、意気込みを聞かせてください。「1試合1試合、自分の役割を全うして勝ちにつながるようなプレーができればベストです!ルーキーらしくフレッシュにガツガツいきたいと思います!また、同じグループで社会人でもトップレベルの東京ガス、トヨタ自動車と試合できるのですごく楽しみです!」

3月の京都府春季大会準決勝の日本新薬戦、3回に中前打を放った米倉選手。今回の鳴尾浜では二塁打2本を含む3安打で3打点でした。
3月の京都府春季大会準決勝の日本新薬戦、3回に中前打を放った米倉選手。今回の鳴尾浜では二塁打2本を含む3安打で3打点でした。

 最後に、米倉選手にとって藤井コーチはどんな存在ですか?と聞いてみたところ「バッティングでも守備でも、ちょっとしたアドバイスをいつもしてくれたり、自分がアドバイスを求めにいっても親身になって教えてくれるので頼りにさせてもらっています!歳もそこまで離れていないから話しやすくて何でも聞けるので、お兄さんって感じです」と答えた米倉選手。目いっぱい頼りにしてください!

元阪神の福間納コーチ就任

 締めくくりは福間ピッチングコーチ(69)です。今はまだ直接お目にかかれていないので、どういう経緯でコーチになられたのか、ということから伺っています。

 カナフレックスの高橋二三男コーチ(72)と福間コーチは“義理の兄弟”という間柄。高橋コーチの奥さまが福間コーチの奥さまの実姉だそうです。MBSラジオで長らく福間さんとご一緒させていただき、昔は何度かご自宅にもお邪魔して(高い高いお肉をみんなで平らげてしまったことが…)、もちろん奥さまともお会いしていたのに、全然知りませんでした。

 高橋コーチがカナフレックスの金尾茂樹代表取締役社長と昔からのお知り合いで、8年前に野球部を創設する際は福間さんも相談に乗ったりしていて、昨年10月からはアドバイザーのような形で投手陣を見ていたそうです。

 そして、ことし4月をもって正式にピッチングコーチ就任。背番号73のユニホーム姿は5月1日開幕の『JABAベーブルース杯大会』でお披露目です。社会人野球もプロ野球も経験した福間コーチへの期待は大きいでしょう。そういえばカナフレックスの山田勉監督(62)も福間コーチと同じ松下電器の出身。さらには高橋コーチと山田監督が同じ大鉄高校出身と、縁はいくつもつながっていますね。

※昨年9月、滋賀県東近江市の会社にお邪魔した際の写真。右が山田監督、左が藤井コーチです。
※昨年9月、滋賀県東近江市の会社にお邪魔した際の写真。右が山田監督、左が藤井コーチです。

 では福間コーチのお話をご紹介しましょう。黒岩投手は23日のオリックス戦でも中継ぎで登板しました。それは「阪神戦に備えて1イニングだけ投げさせた」と福間コーチ。1回は連続四球からの2失点。緊張もあったのでしょうか?「2アウト満塁でカウント2-2になって、次はボールにしたくなかったんだろうね。気の弱さが出たかな。でもそのあとはしっかり抑えたから」

 確かに2回以降は1安打のみで見事なピッチングでした。黒岩投手は今後も先発で?「そうだね。黒岩は本来、抑えに回したいピッチャーなんだけど。ことし伸びてきた先発2人が故障で、うしろが手薄だから」。伸びてきた2人とは、2年目の秋川優史投手(23)と上村剛輝投手(22)のことで、復帰にはまだ時間がかかるようです。

 『JABAベーブルース杯大会』でも「黒岩には長いイニングを投げてもらわないと」と期待を寄せます。「社会人はリーグ戦でもトーナメントみたいなものだからね。3勝0敗とか、せめて2勝1敗でないと決勝トーナメントには残れない。温存して負けたら意味がない。とにかく1勝、2勝しておかないと」。とにかく試合に投げられる投手陣が6人しかいないうえに、そのうちルーキーが3人だそうで…なかなか大変な台所事情です。

 25日の試合で登板したルーキーの伊藤秀樹投手(22)と迫勇飛投手(21)について福間コーチは「新人の2人が最近ちょっと使えるようになってきたので、きょうは勉強のつもりで出した」と話しています。1イニングずつだったものの、プロを相手に投げた経験をベーブルース杯で生かしてください。

 福間コーチが、電話を切る直前にふと口にされたのは「いい子だよね。みんないい子。素直やし、一生懸命取り組むし」という言葉。それを聞いてなんだか胸がほわ~っと温かくなりました。

3月の京都府春季大会・日本新薬戦にて。1点差で負け投手になったものの完投(8回5安打3失点)した黒岩投手。ベーブルース杯でも、その150キロ右腕に大きな期待がかかります。
3月の京都府春季大会・日本新薬戦にて。1点差で負け投手になったものの完投(8回5安打3失点)した黒岩投手。ベーブルース杯でも、その150キロ右腕に大きな期待がかかります。

 おしまいに、5月1日開幕の『第73回JABAベーブルース杯大会』は航空自衛隊千歳の出場辞退により予選リーグの試合時間や球場が一部変わりました。カナフレックスは5月3日の10時から大垣北公園野球場で東京ガスと、同4日は11時から長良川球場でトヨタ自動車と対戦します。

 <掲載写真の※印は筆者撮影、それ以外はチーム提供>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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