日本製鉄鹿島の玉置投手が都市対抗初勝利!3回戦は後輩・阪口コーチのパナソニックと

16日の試合後、日本製鉄鹿島の玉置投手はガッツポーズ!タオルは虎カラーですね。

 プロ野球のオールスターゲームが行われた翌日の13日、東京ドームで『第90回都市対抗野球大会』が開幕しました。昨大会は大阪ガス(大阪市)が初優勝、首位打者賞とMVPにあたる橋戸賞を獲得した近本光司選手が1年後、同じ東京ドームでのオールスターゲームに、しかもファン投票で選ばれて出場したわけです。翌日、甲子園のゲームでは先頭打者ホームランを含むサイクル安打でMVPを獲得。2年続けて最高の7月となったでしょう。もちろん、これからも打って走って新人王をつかんでくれたら言うことなし!ですね。

 さて第90回を迎えた都市対抗野球は、きょう18日で大会6日目を迎えています。私は仙台のフレッシュオールスターゲームの帰りに東京へ寄り、東京ドームでオールスターゲームを観戦。その翌日に開会式と第1試合の練習だけ見て帰阪しました。きらやか銀行(山形市)と、もと阪神の阪口哲也コーチがいるパナソニック(門真市)との対戦は、3回に1点を取ったパナソニックが榎本亮投手と藤井聖太投手の継投で逃げきって完封勝利です!

 1対0で決着した開幕試合を皮切りに、このあとも1点差ゲームが続きました。12日の第2試合も2対1で、翌14日は2対2、4対3、3対2と3試合とも1点差!3日目の15日は少し点差が開いていますが、きょう18日までに行われた17試合のうち、約半分の8試合が1点差です。本当に最後の最後まで目が離せない接戦。それこそ、この舞台に1年間のすべてを賭けてくる社会人野球ならではと言えますね。

パナソニックは8回に逆転!3回戦へ

 きょう18日の第1試合で東邦ガス(名古屋市)との2回戦に臨んだパナソニックは、1回戦と同じ榎本選手の先発。終盤に逆転し、やはり1点差で勝っています。試合経過を簡単に書いておきましょう。

7月18日 第1試合

パナソニック-東邦ガス

 パナ 000 000 020 = 2

 東邦 000 100 000 = 1

◆バッテリー

【パナ】榎本-藤井聖-○小屋-北出 / 三上

【東邦】●辻本-田中-水田 / 永見

◆二塁打 パ:深瀬

     東:上内、若林

<試合経過> ※敬称略

※13日、正午から行われた開会式。チームが順番に整列しています。
※13日、正午から行われた開会式。チームが順番に整列しています。

 榎本は4回に二塁打と犠打などで2死三塁として、東邦ガスの4番・若林にタイムリー二塁打を浴びます。7回2死一、二塁のピンチで榎本をリリーフした藤井聖は四球を与えて満塁。ここで登板した3人目の小屋が後続を断ちました。

 直後の8回表、パナソニックは先頭の7番・藤井健が左前打!犠打と四球などで2死一、二塁となり、代打・深瀬がフルカウントから変化球をとらえて左翼線へタイムリー二塁打!2人を還し、土壇場で逆転です。小屋は8回も2奪三振の三者凡退。そして9回は北出が登板し、連続三振を奪っての三者凡退締めで試合終了。

 8回の攻撃で、阪口コーチは三塁でグルグル手を回していましたね。同い年の藤井健選手のヒットから逆転したとあって、さらに嬉しかったでしょう。また最後を締めた北出浩喜投手は阪神・藤谷洸介選手と仲がよく、鳴尾浜へ遊びに来たり。私も何度か話を聞かせてもらったので、1点差の最終回はちょっとドキドキしましたけど、ナイスピッチングです!

「虎OBの玉置先輩でも、勝ちます」

 阪口コーチに少しだけコメントをいただきました。ご紹介します。

※開会式直後の試合に登場するパナソニック。阪口コーチはノック中です。
※開会式直後の試合に登場するパナソニック。阪口コーチはノック中です。

 今回は1回戦からの登場となったパナソニック。1回戦も2回戦も1点差の勝利だけど、チームの雰囲気はどうでしたか?最後まで諦めていなかった?「諦めるとかはまったくなくて、ピッチャーがいいリズムで投げてくれていたので、いい雰囲気で戦えました!」

 3回戦は、玉置投手がいる日本製鉄鹿島との対戦ですね。「玉置さんと本大会で試合するのは初めてです。何年か前のスポニチ大会ではやりました」。高校(現・市立和歌山)の先輩でもあるけど、遠慮はしない?「先輩ですけど、そこは戦いなので勝ちます!」

 目指すのは、もちろん優勝?「そうなんですけど、監督もまず目の前の相手としっかり戦う、ってみんなに言っていますし。一戦必勝です!」

 なお、このあと行われた第2試合はNTT東日本(東京都)と日本新薬(京都市)の対戦。日本新薬は西武・榎田大樹投手の弟、宏樹投手が先発でした。1回に1点を先取したものの、以降は投手戦の様相。8回にNTT東日本が2点を取り逆転、そのまま逃げ切っています。榎田投手は6回2安打無失点の好投だっただけに残念ですね。

日本製鉄鹿島、昨年に続く初戦突破

 ではお待たせしました。時間をさかのぼって16日に戻りましょう。大会4日目、第2試合の模様をご紹介します。もと阪神の玉置隆投手が兼任コーチを務める日本製鉄鹿島(鹿嶋市)と王子(春日井市)との顔合わせ。2回戦ながら、両チームともこれが最初の試合です。

※4回、5回は連続で三者凡退!ベンチへ戻る玉置投手。
※4回、5回は連続で三者凡退!ベンチへ戻る玉置投手。

 この日は第1試合のトヨタ自動車(豊田市)と三菱日立パワーシステムズ(横浜市)が3時間ゲームだったため、入場したらすぐ第2試合が始まった感じですね。三菱日立パワーシステムズは阪神・江越選手の弟、海地選手も9回に代打で出場しましたが逆転負け。初戦(2回戦)敗退となっています。

 試合結果をご紹介する前に、ことし掲載させていただいた玉置投手と日本製鉄鹿島の記事を貼っておきます。特に、4年連続19回目の都市対抗本戦出場を決めた北関東予選の詳細をご覧になれば、鹿島の“接戦好き”(好きなわけではありませんね)、接戦をものにする勝負強さがわかっていただけるでしょう。今なお現役で投げ続ける玉置投手のことも。

<もと阪神・玉置隆投手 社会人4年目「また本気の夏が始まる!」><4年連続で決めた都市対抗出場!もと阪神・玉置投手と日本製鉄鹿島の男気>

6回に全員安打達成!計13安打

※勝利監督インタビューで、スタンドの応援団に敬礼する中島監督。
※勝利監督インタビューで、スタンドの応援団に敬礼する中島監督。

 北関東第1代表となった日本製鉄鹿島と、第2代表の日立製作所(日立市)には、予選で涙を飲んだSUBARU(太田市)から3人ずつの補強選手が加わっています。初戦となった16日の王子戦では6番・DHで林稔幸選手、9番・サードで日置翔兼選手が先発してフル出場。また角田皆斗投手も最後を締め、試合後に中島彰一監督が「きょうは補強に尽きる!」と感謝を述べるほど、3選手とも素晴らしい仕事ぶりでした。

7月16日 第2試合

日本製鉄鹿島-王子

 鹿島 010 121 000 = 5

 王子 100 002 001 = 4

◆バッテリー

【鹿島】○玉置-能間-角田 / 片葺

【王子】●近藤-若林-中内-中野 / 賀部

◆三塁打 鹿:片葺

◆二塁打 鹿:高畠、日置、堀越 

     王:横川

<試合経過> ※敬称略

※2回に右中間へ二塁打を放った4番・高畠選手。でも写真は3回の二飛です…すみません!
※2回に右中間へ二塁打を放った4番・高畠選手。でも写真は3回の二飛です…すみません!

 まず1回裏に玉置が1死を取ってからヒットと二ゴロ、盗塁で2死二塁とし、4番・神鳥のタイムリーで1点を失います。すると2回、鹿島打線は4番・高畠が初球を打って右中間二塁打、林悠の犠打のあと林稔が左前タイムリー!すぐに追いつきました。3回はヒットと2四死球などで2死満塁と攻めますが、相手の好守にも阻まれて無得点。

※4回に勝ち越し二塁打!SUBARUの日置選手。二塁上でガッツポーズ、そして名前をコールされてお辞儀。
※4回に勝ち越し二塁打!SUBARUの日置選手。二塁上でガッツポーズ、そして名前をコールされてお辞儀。

 しかし4回、1死から8番・片葺が右中間への三塁打(センターが完全に打球を見失ったもの)、続く日置が右翼線へ勝ち越しのタイムリー二塁打!5回にも先頭の堀越が左中間二塁打を放ち、ファーストのエラーを誘った高畠の当たりで生還。さらに林悠の右前打と、林稔の中飛で1死一、三塁として投手交代。王子2人目の若林から7番・佐藤竜が右前タイムリー!この回2点を加え、4得点となります。

※5回、先頭の堀越選手が二塁打!ナイスランでした。
※5回、先頭の堀越選手が二塁打!ナイスランでした。
※1死一、三塁で佐藤竜選手がタイムリーを放ちます!
※1死一、三塁で佐藤竜選手がタイムリーを放ちます!

 一方の玉置は2回、先頭に右前打され、犠打や盗塁などで2死三塁とするも、内野陣のうまい守備に助けられて無失点。3回は1死から連打を許したものの、神鳥を高めの真っすぐで空振り三振させるなど後続をしっかり断ち、4回と5回はビシッと三者凡退!5回を終わって4対1というスコアでした。

 第1試合に負けず劣らずの長い試合は、ようやく後半。ここからまだ動きます。6回表にまず鹿島は1番・藤本が右前打、これでチームは10安打となりました。二盗を決めた藤本を、続く福盛が中前打で還し5点目。この福盛のタイムリーで、鹿島は全員安打達成です!

 その裏の玉置は先頭の3番・伊礼に中前打され、神鳥は一ゴロで併殺…と思いきや、ショートの転送が逸れてベースカバーの玉置は捕れず、1死で神鳥は二塁へ。5番・稲葉の中前打で一、三塁となり、左打者が2人続くところで玉置は降板。代わった能間が6番・横川に右前タイムリー(ファーストの頭上を越えてポトリと落ちる…)。なおも1死一、三塁で吉岡は二ゴロ併殺崩れの間にもう1点。続く中村はドキッとしたけど三直で終了しました。

※能間投手は6回に玉置投手をリリーフ。
※能間投手は6回に玉置投手をリリーフ。

 打線は7回と8回が三者凡退。それでも能間が7回は四球、8回は伊礼の中前打(これで3安打)と、ともに先頭を出しながら併殺など3人ずつで片付け、5対3のまま9回を迎えます。差を広げたい鹿島は2死後に林悠と林稔の連打でチャンスを作り、投手交代。しかし最後は二ゴロで追加点なし。9回も続投の能間でしたが、横川の右中間二塁打などで2死三塁とし、代打・秦に右前タイムリーを浴びます。1点差になり、ここで交代。最後は角田が鴨田を二ゴロに打ち取って試合終了!

4年連続出場、初めて勝ちがつきました

 終わってみれば1点差の逃げ切り勝ちで、試合後のインタビューで中島監督は「いつもながら肝を冷やすゲームで…」と振り返り、外での立ち話でも「相変わらずです」と苦笑い。それで勝つのが鹿島らしくていいですよね。中島監督が「あまり調子はよくなかったけど、よく粘ってくれた」と話す玉置投手の話からご紹介しましょう。

※玉置投手のフィニッシュ、この両手と足がいいですねえ。
※玉置投手のフィニッシュ、この両手と足がいいですねえ。
※おなじみのバッテリー、玉置投手と片葺捕手。「あ、交代?」という2人の表情です。
※おなじみのバッテリー、玉置投手と片葺捕手。「あ、交代?」という2人の表情です。

 まずは初勝利、おめでとうございます!「ありがとうございます」。実は、都市対抗野球と日本選手権の本戦で玉置投手に勝ちがついたのは初めてのこと。予選では完封や完投勝利もたくさんあるけど、2大ドームでは「そう、初めてなんですよね~」と玉置投手。バッテリーを組んだ片葺選手も「え、そうなん?」と驚いていました。

 6回1死一、三塁のところで監督がマウンドへ。ボールを持っていなかったから、間合いを取りに行かれたのかと。玉置投手は「僕もそう思っていましたよ。そしたら『代わろ』って!」と笑う、その『代わろ』の口調が明るく軽やかです。頼りになる投手陣が多いのは周知のこと。「いけそうではありましたけどね」と振り返りつつ、以降はベンチで声をかけ、背中を叩いて励ます“コーチ”だったのは言うまでもありません。

玉置家の女子応援団は最強!左上がお母さん、右上が奥さん、そして2人のお嬢ちゃんです。
玉置家の女子応援団は最強!左上がお母さん、右上が奥さん、そして2人のお嬢ちゃんです。

 それにしても相変わらずヒヤヒヤ、ドキドキさせてくれますね。「でしょう?鹿島の野球はおもしろいでしょう?」とドヤ顔です。次は20日、さすがに先発はないと思われますが「どうですかねえ。中3日かあ」と考えるところが怖い(笑)。なお3回戦の相手がパナソニックに決まって「試合が楽しみです」と玉置投手。小虎ファンの皆さんも私も、これが一番うれしかったりして。ただよく考えたら…どちらかが勝って、どちらかは負けるわけで。むむむ、困りました。両方とも悔いのない戦いを!それしか言えませんね。

※9回2死までいきながら交代。悔しい能間投手です。
※9回2死までいきながら交代。悔しい能間投手です。

 玉置投手をリリーフした能間隆彰投手の話も書いておきます。まず出てきたのは「最後までいけなかったのが悔しいです」という言葉。2点差で9回まで投げながら、途中で代わる状況にしたことを猛省していました。「でも角田が締めてくれてよかったです。次につながる」。北関東予選で完全試合をやってのけた左腕には、このあとフル回転してもらわないと!楽しみにしています。

「玉置さんは欠かせない存在」

 北関東予選でMVPと首位打者賞(打率.615)を獲得した、林悠平選手にトリを飾っていただきましょう。なんせ決勝戦で9回に逆転ホームランを放ち、第1代表を決めた立役者。なのにコメントをまったく聞けず、玉置投手から「本戦でしっかり聞いてください」と言われていたのです。そして16日の試合後、やはり周囲には多くの方々がおられて…でも最後まで待って話をさせていただきました。ありがとうございます!

※林悠選手は5回と9回に右前打を放っています。
※林悠選手は5回と9回に右前打を放っています。

 この日の試合に関しては、能間投手と同じく「タイムリーを打てなかったので」という反省からでした。「打点をあげたいと常に考えているので、2安打しても。(6回2死一、二塁の)チャンスで初球を打って凡退したから、悔いが残ります」。そう言ったあと少し笑顔になって「でも勝てたことが一番うれしい」と。おっしゃる通り!次また戦って、反省を生かせる機会があるのは何よりです。

 それから、玉置投手のことも聞いています。チームにとって、また林選手にとって、どんな人ですか?そう質問したら

 「欠かせない存在、としか言えないですね」

 と、想像していた以上に重みのある答えが返ってきました。

 「玉置さんが投げていて、野手がエラーをしても絶対に責めないんです。それどころか『俺が抑えてやる!』と。内心、思うところはあるだろうに絶対見せない。俺が抑えるから、って」。阪神時代にもよく、自分が打たれている時に守ってもらっているんだから、お互い様だと話していましたよ。「そう思える人は少ないはず。プライベートでも食事に行って、いろいろ話もしてもらっていますけど、人として本当に素晴らしいと思います!」

試合終了後、ドームの外で家族や和歌山からの応援団と記念撮影する玉置投手。
試合終了後、ドームの外で家族や和歌山からの応援団と記念撮影する玉置投手。

 昨年の秋に話を聞いた大貫晋一投手(DeNA)も、北関東大会での能間投手も、今回の林選手も、真剣に語ってくれるんですよ。こちらが照れくさくなってしまうほど真顔で。それはもう玉置投手の人徳でしょうね。そんな玉置投手が「最高のチーム」と繰り返す日本製鉄鹿島の夏は、まだこれからです。皆さんも東京ドームで、テレビで声援をお送りください。

    <※印の写真はチーム提供、それ以外は筆者撮影>