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岩田投手が7回無失点、高山選手の2ランでソフトバンクに連勝!《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
6日のソフトバンク戦で勝利に貢献した2人、岩田投手(左)と高山選手(右)です。

 阪神鳴尾浜球場では5日から、ウエスタン・ソフトバンク3連戦が行われています。気温も日に日に上昇して、いい観戦日和ですね。ただ、きのう6日は球場内が白くかすんで見えるほどで、これは黄砂の影響でしょうか。何度も何度もスコアブックの砂を払わねばなりませんでした。

 さて、このカードは3月22日からの3連戦(タマスタ)が最初で、1勝2敗という結果。阪神としては唯一負けている相手です。

 今回は、まず5日が前回の記事でも少しご紹介したように、秋山投手と“4番キャッチャー”・片山選手とのバッテリーで始まり、その片山選手が1回に早速タイムリー二塁打を放って先制すると、2回は熊谷選手のタイムリー二塁打、さらに満塁の走者を一掃する荒木選手の三塁打もあって4点を追加。秋山投手が5回に3ランを浴びたものの、7回に片山選手の2号ソロ、8回には代打・小宮山選手のタイムリーでダメを押して7対3で勝ちました。これで2勝2敗のタイに。

 そして、きのう6日は岩田投手とスアレス投手という、22日の今季初対戦と同じ先発で始まった試合。その時は0対0のまま迎えた8回に、熊谷選手の犠飛で先制した阪神が1対0で勝っています。きのうも前回同様の投手戦。阪神は高山選手の2ランで先制したものの、6回までは両チームともヒット2本ずつしかなかったんですよね。最終的にソフトバンクが8安打で1点、阪神は散発5安打で3点ながら少ないチャンスを生かして勝っています。

8回、中越えの三塁打を放った片山選手。
8回、中越えの三塁打を放った片山選手。

 コメントを聞いていませんが、きのう4番DHでフル出場した片山選手は8回の最終打席で三塁打を放ちました。前日に5打数3安打でちょうど.500になった打率は少し下がったけれど、それでも.458という数字。規定にはまだ10打席以上足りませんが、先発出場した5試合すべてでヒットが出ています。きのうも3打席凡退して「きょうは無理かなあ…」と思った最後にセンターオーバーの三塁打ですからねえ。

 では試合結果からご覧ください。

岩田vsスアレスの投手戦、再び

《ウエスタン公式戦》4月6日

阪神-ソフトバンク 5回戦 (鳴尾浜)

 ソフ 000 000 010 = 1

 阪神 002 000 10X = 3

◆バッテリー

【阪神】○岩田(1勝)-谷川-飯田-S石崎(1S) / 小宮山

【ソフ】●スアレス(1敗)(6回2/3)-笠原(1/3回)-吉住(1回) / 市川

◆本塁打 神:高山1号2ラン(スアレス)

◆三塁打 ソ:谷川原 神:片山

◆二塁打 神:熊谷 ソ:田城

3回に出た高山選手の先制2ラン!
3回に出た高山選手の先制2ラン!

◆打撃  (打-安-点/振-球/盗/失) 打率

1]左:高山  (2-1-2 / 1-2 / 0 / 0) .400

2]右:島田  (3-1-0 / 0-1 / 0 / 0) .220

3]一:荒木  (2-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .303

4]指:片山  (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .458

5]二:板山  (4-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .147

6]三:陽川  (4-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .195

7]中:俊介  (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .333

8]捕:小宮山 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .100

9]遊:熊谷  (3-1-1 / 0-0 / 0 / 0) .220

2回と7回以外はパーフェクトの岩田投手。
2回と7回以外はパーフェクトの岩田投手。

◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ※

岩田  7回 99球 (4-6-0 / 0-0 / 0.00) 146

谷川 0.1回 6球 (2-0-0 / 1-1 / 2.70) 144

飯田 0.2回 12球 (0-0-1 / 0-0 / 0.00) 143

石崎  1回 17球 (2-1-0 / 0-0 / 0.00) 151

  ※チームのスピードガン計測の数値

《試合経過》※敬称略

打線は5安打。2本目は6回、島田選手の左前打。
打線は5安打。2本目は6回、島田選手の左前打。
7回は陽川選手が中前打を放っています。
7回は陽川選手が中前打を放っています。
2死三塁となって、熊谷選手がタイムリー二塁打!
2死三塁となって、熊谷選手がタイムリー二塁打!

 岩田は1回、2人に対してボールスリーとしながらも、三振2つを奪うなど三者凡退の立ち上がり。2回は2安打されますが、併殺もあって無失点。3回、4回、5回、6回は完璧に抑えました。6回まで72球です。7回は1死から初めて連打を浴びたものの、後続を難なく断って無失点。最速146キロ、見事なピッチングでした。

 打線は1回、1死から連続四球をもらいますが得点なし。2回は三者凡退。しかし3回、先頭の熊谷がショートの送球エラーで出ると、続く高山がカウント2-1からの4球目をセンターバックスクリーンへ放り込みました!今季1号2ランで先制です。

 とはいえ、そのあとは3人で片づけられ、4回が三者凡退。5回も2死から高山が四球を選びますが、ピッチャーの牽制に誘い出されて盗塁死。6回は先頭の島田が左前打、荒木が初球でキッチリ送り、片山の遊ゴロで三塁まで進むも追加点はありません。岩田が7回を投げ切った、その裏。先頭の陽川が中前打を放ち、内野ゴロ2つで2死三塁となって熊谷が三塁線を破るタイムリー二塁打!スアレスを降板させます。

8回の谷川投手は長打2本で失点してしまいました。
8回の谷川投手は長打2本で失点してしまいました。
8回1死二塁で登板した飯田投手(左)。追加点を与えず、小宮山選手(右)とタッチ。
8回1死二塁で登板した飯田投手(左)。追加点を与えず、小宮山選手(右)とタッチ。

 3対0となって8回は谷川が登板。いきなり先頭の代打・谷川原に右中間フェンス直撃の三塁打を浴び、代打・長谷川勇は二直だったものの続く9番・田城に初球を打たれます。ライトへの大きな当たりはタイムリー二塁打。ここで投手交代となり、次の飯田は2死後に四球を与えながらも抑えました。その裏に片山が中越えの三塁打を放ち、板山もセカンドのエラーで出ますが、ここは追加点なし。

 9回は石崎が登板して、先頭の4番・美間を空振り三振に切って取ったあと内野安打など連打で一、二塁。ここで小宮山や内野陣がマウンドに集まって間を取り、続く谷川原を二ゴロ併殺打に切って取って試合終了です。

平田監督も納得の勝利

 試合後、平田監督は「岩田と小宮山のコンビが素晴らしい。小宮山が引っ張っていたね。岩田はきょうもキレキレじゃない?」と笑顔で話しました。1軍にも報告を?「バッテリーで推薦したいよ。結果を残しているやつはチャンスも回ってくるだろう。キャンプから地道にやっている岩田の気持ちが伝わるよ。スピードも、きょうが一番出ていたんじゃないか?一年一年にかける意気込みを、練習の姿勢やブルペンでも感じる」

 また、ファームに来て2試合の高山選手に「上からも、練習は悪くないけどピンチヒッターで結果が出なかっただけと聞いている。(2四球を選び)ボールの見極めもしっかりできているし、いい方向に向かっている。きのうの2本、きょうのホームラン、素晴らしい」と平田監督は言っています。

 そして片山選手にもひとこと。「最後に1本打ったのが大きい。いい打席だった」

「いい状態をいかに続けられるか」と岩田

 では選手のコメントをご紹介しましょう。まず岩田投手です。7回を投げ4安打無失点、しかも無四球という素晴らしい内容!2回と7回に2安打ずつされた以外、すべて三者凡退でした。「よかったですね。最初はボールが多くて、ちょっとしんどかったけど、途中から自分のリズムで投げられました。コミ(小宮山)がしっかりリードしてくれたので」

毎回を0点に抑えて戻ってくる、頼もしい岩田投手。
毎回を0点に抑えて戻ってくる、頼もしい岩田投手。

 これで規定投球回数をクリアした岩田投手は、投手成績のトップに登場しました。防御率は唯一、0.00です。もちろんファームで規定投球回に到達することは、決して望ましいことではありませんが、これを続けていくしかないと岩田投手は言います。

 「開幕に合わせてというのではなく、状態がいいのをいかにキープするか、という非常に難しい作業をやっているところですね」。確かに、キープし続けるのは難しいこと。「こういうのが3年目になるのでね。しっかり準備しておくだけです」。自身の調子以外の部分もありますもんね。「自分のするべきことをしっかりやっておこうかなと思います」。今のいい状態をキープしながら?「これからも続けていけるように頑張ります」

先頭を変化球で空振り三振、最後は併殺で無失点の石崎投手。
先頭を変化球で空振り三振、最後は併殺で無失点の石崎投手。

 次に石崎投手。3日の大阪ガス戦で四球を連発してしまい「バランスがよくない」と話していましたが、きのうは2安打されながらも無失点。本人も「先頭も三振を取れたし、バランスよく投げられたので、よかったと思います。前回みたいにフォアボール、フォアボールじゃなかったし」と振り返ります。1死一、二塁になって小宮山選手と内野陣がマウンドへ集まったのは?「ゲッツー取ろうぜ!と言っていたんです」。それで二ゴロ併殺締め、さすがですね。

1打席目を悔やむ高山、上昇気配の熊谷

 高山選手は5日と同じ1番レフトでフル出場。5日は1打席目に右中間二塁打、5打席目で右前打を放ちました。きのう6日は1回、スアレスの変化球に見逃し三振。3回はバックスクリーンへ先制の2ラン。風はほとんどなかったですね。残りの2打席は四球を選んで、2打数1安打2打点です。

先制2ランを放って迎えられる高山選手。
先制2ランを放って迎えられる高山選手。
ヒーロースピーチ中、板山選手(右)がニコニコしながら、ずっと顔を見ていました。
ヒーロースピーチ中、板山選手(右)がニコニコしながら、ずっと顔を見ていました。

 完璧な当たりのホームラン!「完ぺきでしたけど…。2打席目だったので。1軍にいたら、2打席目は僕にはない。1打席目に三振をしたところで終わってしまっている。だから、あまり価値がないという感じですかね。矢野監督に、ファームの打席を全部、1軍の1打席だと思ってやれと言われたので、毎打席集中してやっています。結果的にきょうは三振で…」

 『1軍にいたら自分にはない2打席目』という言葉にハッとしました。同じファームの試合でも、たとえホームランが出ても、選手それぞれに与えられた課題をクリアしなければ、その先はないわけで。そこをわかったうえで話を聞かないといけませんね。高山選手は最後に「(最短の10日間で1軍に)戻りたいですけど。結果はもちろん、いろいろ試したいこともあるので」と言いました。もう鳴尾浜に来ないという、自信と手応えを携えて戻れますように。

ショートへの打球が多く、熊谷選手(右)の戻りを待って岩田投手(左)が感謝のタッチ。
ショートへの打球が多く、熊谷選手(右)の戻りを待って岩田投手(左)が感謝のタッチ。

 最後は短めですけど、7回にタイムリー二塁打で貴重な3点目を入れた熊谷選手の話。前日にも2回にタイムリー二塁打がありました。いい状態になってきたみたいですね?「今ちょっと打ち方を変えたりしていて、うまくフィットしているかなと思います」。この日はショートで好守も。打って走って守って、すべてでアピールを続けたい2年目です。

    <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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