オリックス3連戦は無敗で終了。湯浅投手が公式戦初登板で初セーブ《阪神ファーム》
いよいよ、きょう29日に1軍が開幕します。それに先立って、きのう出場登録選手が公示されました。開幕を1軍で迎える阪神タイガースのメンバーは、以下の26人です。
【投手】能見、馬場、藤川、ジョンソン、メッセンジャー、飯田、桑原、島本、ドリス
【捕手】坂本、梅野、岡崎
【内野手】上本、木浪、鳥谷、北條、大山、糸原、植田、ナバーロ
【外野手】近本、糸井、福留、高山、江越、中谷
一足先に開幕したファームは、ここまで各チームが3カードから4カードを消化したところです。阪神は19日からの中日戦(鳴尾浜)が2勝0敗、22日からのソフトバンク戦(タマスタ)は1勝2敗、そして26日からのオリックス戦(オセアン)が1勝0敗2分け。27日の勝ちで首位に戻り、きのう28日の引き分けでキープしている状況です。2位は0.5ゲーム差で中日と広島、4位ソフトバンク、5位オリックスとなりました。
このオリックス3連戦を振り返ると、26日がガルシア投手とアルバース投手の先発で始まり、1対1のまま延長10回を終えて引き分け。3回に犠飛で先制されましたが、5回に陽川尚将選手と山崎憲晴選手の連打(山崎選手のタイムリー二塁打)で追いついたものです。1点差で勝った27日の試合は、のちほど詳細をご紹介しますのでお待ちください。
なお、きのう28日は浜地真澄投手と松葉貴大投手が先発でした。先にオリックスが4回に2点を先取。エラーからの失点で浜地投手の自責は0です。一方、松葉投手に3回までパーフェクトピッチングを許し、6回まで2安打無得点だった打線は7回、山崎選手のタイムリー三塁打と、森越祐人選手の三ゴロ野選で同点に。以降はリリーフ陣が1イニングずつを抑えて延長10回、2対2の引き分けで終了しました。
1点差を守り切った1勝
では26日の試合結果をご紹介します。
《ウエスタン公式戦》3月27日
オリックス-阪神 2回戦 (オセアンBS)
阪神 000 201 000 = 3
オリ 000 000 020 = 2
◆バッテリー
【阪神】○青柳(1勝)‐S湯浅(1S) / 長坂
【オリ】●山本(1敗)(6回)-海田(1回)-青山(1回)-富山(1回) / 飯田-フェリペ(8回~)
◆本塁打 オ:白崎1号2ラン(湯浅)
◆二塁打 神:陽川 オ:宗
◆盗塁 神:荒木 オ:根本
◆打撃 (打-安-点/振-球/盗/失) 打率
1]中:島田 (4-1-0 / 1-0 / 0 / 0) .200
2]二:熊谷 (3-1-0 / 0-0 / 0 / 0) .190
3]一:荒木 (4-1-1 / 0-0 / 1 / 0) .412
4]三:陽川 (4-1-1 / 1-0 / 0 / 1) .231
5]右:伊藤隼 (3-0-1 / 1-0 / 0 / 0) .063
6]左:板山 (2-0-0 / 1-1 / 0 / 0) .100
7]捕:長坂 (3-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .167
8]遊:小幡 (3-0-0 / 1-0 / 0 / 0) .000
9]投:青柳 (2-0-0 / 2-0 / 0 / 0) .000
〃投:湯浅 (1-0-0 / 0-0 / 0 / 0) .000
◆投手 (安-振-球/失-自/防御率) 最速キロ
青柳 6回 95球 (5-3-2 / 0-0 / 0.00) 147
湯浅 3回 51球 (3-0-1 / 2-2 / 6.00) 146
《試合経過》※敬称略
青柳と山本の先発で始まった試合は、打線が3回までノーヒットで、出塁も2回2死から四球を選んだ板山だけ。しかし4回、先頭の熊谷が右前打を放ち、ライトの小島の捕球エラーで三塁へ到達すると、陽川の中前タイムリーで先制しました!荒木は二盗、陽川の右飛で1死三塁となり、伊藤隼が中犠飛。これで2点目です。
5回は三者凡退で終了。6回に先頭の島田が左前打、熊谷の犠打と荒木の投ゴロで2死三塁として、陽川が中越えのタイムリー二塁打!3対0とリードを広げます。7回以降はオリックスのリリーフ3投手に、すべて三者凡退で片づけられました。
先発の青柳は1回から4回まで、毎回1安打ずつ許しながら得点を与えていません。特に4回は四球と内野安打で2死二、三塁、5回は味方エラーと内野安打で2死一、二塁のピンチをしのいで無失点です。6回は四球と暴投で1死二塁とするも、後続を断っています。
ついで湯浅が登板。7回は先頭の代打・宮崎に右前打されましたが、そのあとはしっかり打ち取って無失点。しかし8回、先頭を四球で出し、1死後に5番・白崎の1号2ランを浴びます。強い風に乗ってレフトポール際へ上がった打球がポールを巻いたような…。レフトの板山はファウルというジェスチャーを見せるも、ぐるぐる回る審判の腕は止まらずじまい。
3対2となった9回は、先頭の代打・胸に左翼線二塁打、犠打で1死三塁となったものの、宜保の三ゴロで本塁をアウトに!代打・杉本も三ゴロ、今度は二塁封殺で試合終了。1点差を守り切った湯浅は公式戦初登板で初セーブです。
青柳、湯浅、陽川へ平田監督
試合後の平田勝男監督は、まず青柳晃洋投手に「まあ粘り強く、そんなメチャクチャいいというわけではなかったけど、粘り強く投げていたんじゃない?ゴロアウトも多めだった。打席にも立てたしね。バントができたらよかったけど。まあ左バッターが多くて、いい練習になったやん」と話しました。
湯浅京己投手には「次の社会人との試合で5イニング投げるんで、きょうは3イニング。ウイニングショットをもうちょっと磨けという話はしたけど、こういう緊張感のある中でね。きのう(26日)の福永も、きょうの湯浅も最後は頑張った。自信にしてくれればいい」とのことです。
チーム4安打のうち、唯一の長打であるタイムリー二塁打を放った陽川選手に「ちょっと、打ちそうだなという雰囲気になってきた。キャプテンや4番としては、もうちょっと物足りないけど。ちょっと、やっと兆しがね。でもまだこんなもんじゃないよ、陽川は。ちょっと、やっとや!」と平田監督。こんなものじゃない、というのが前提の激励でしょう。去り際に再度「ちょっと、やっと」を繰り返しています。
陽川選手本人は「チャンスのところで打てたのは収穫です。ファーストストライクを見逃すことがあったので、しっかり振っていこうと思って」と言っていました。1軍については「いつ呼ばれてもいいように、いい状態に持っていって、しっかりやっていきたい」というコメント。まさに虎視眈々という感じですね。
走者を背負いながらのゴロアウト
続いて、登板した2投手のコメントをご紹介しましょう。登板前に「球数やイニングを意識していく」と語っていた青柳投手は、その点を聞かれ「6回95球と、ちょっと球数が多くなっちゃったので…。僕の中ではもうちょい少なくいけたかなという部分もあったし、もったいないボールもすごく多かった。そこが反省です」という言葉でした。
散発5安打で6回無失点だったものの、毎回ランナーを背負うピッチングでしたね。「3人で終われなかったので。でも、いい練習になったと思います。香田さんからも、クイックやランナーが出た時のピッチングについて言われましたし、アドバイスもしてもらった中で、きょうの試合に関しては3人で終われたらベストなんですけど、毎回ランナーが出たのもいい練習になったと」
4回以降はゴロが多くなったイメージですね。「途中からは真っすぐが詰まってのヒットも増えてきたので、ランナーを出したらゲッツーを取りにいこうと思って、ツーシームを長坂が多くしてくれた結果、そうなったかなと思います。ことし1軍で投げさせてもらっている時も、ゴロアウトっていうのは結構こだわってきました。ゴロアウトが増えたのはいいことだと思う」
バロメーターみたいなものは?「もともとゴロ(の多い)ピッチャーですし、間を抜けたヒットはしょうがないという考えでやっているので。去年、矢野監督に言われてファームでやってきたのがそういう野球。狙ってゴロアウトが多くなったかな」。そして最後は、開幕に向けて。「やることはいっぱいあるけど、僕が完成するのを開幕は待ってくれないので。しっかり来週に合わせてやっていくしかないと思っています」。そう締めくくった青柳投手です。
「バットを振ったら当たった」プロ初打席
次に湯浅投手。実は記者陣で青柳投手を囲んでいる時に、もうバスへ向かって引き揚げかけたのです。あわてて声をかけると「バスに荷物を置いて戻ってきます」と状況を察してくれました。それどころか、戻ってきてまだ続いているのを見ても「大丈夫です」と口パクで言ってニッコリ。ありがとうございます。
最初にバッティングのことを聞いてみたら「まずそれですか」と吹き出しながら「何年ぶりかの打席だったので、当たるかわからなかったんですけど…振ったら当たりました」と笑います。何が悔やまれるって、打席の写真を撮り忘れたこと!青柳投手はしっかり撮ったのに。では本職のピッチングを振り返ってください。
「結果的には抑えたんですけど、まだしっかり指に伝わっていないなっていうのが、投げ終わって自分で思ったのもそうですし、(高橋)建コーチからも『しっかり伝わっていないね』と言われたので。あとは変化球とかも、まだ投げ切れていないところがあった。コントロールも、高めに抜けたり低めを引っかけたりというのが結構あったので、そういうところをしっかり修正していきたいと思います」
初登板、初の3回、初セーブ
前回は開幕前最後の交流試合(ジェイプロジェクト戦)だったので、これが初の公式戦登板。「そうですね。公式戦もそうなんですけど、プロ(NPB)のバッターに投げるっていうのも、ことし初めてだったので投げる前は緊張しました」。投げてみてどうですか?「まだわからないことばっかりなので打たれることを前提に、そこで自分がどう考えながら抑えるかというのを思っていました」。ホームランは?「スライダーです。ちょっと甘かったかなって思いますし、やっぱり甘いボールを見逃してくれないのがプロだなと」
1軍経験のある代打が次々に出てきて大変だった?「そうですね。でも3イニングをことし初めて投げさせてもらって、その3イニング全部投げ切れたっていうのも大きかった。それに去年は先発だけでリリーフでというのがなく、初めてこういう僅差でリリーフで投げられたのは自分にとっていい勉強になりました」。その結果、プロ初セーブです。おめでとう!
何もかもが勉強という19歳のルーキー。次は社会人との交流試合で5イニング投げるそうで。頭からですか?「はい。その予定です」。本来のポジションである先発マウンドだし、社会人相手といっても“プロ初先発”での5イニングは、また少し緊張するでしょうね。その中での新たな収穫も楽しみです。
<掲載写真は筆者撮影>