教育リーグ中日3連戦 根尾選手だけじゃないぞ!のアピール《阪神ファーム》

昨夏、野手に転向した藤谷選手。飛ばせる力を生かすため、きょうもバットを振ります。

 阪神のファームは今週末、鳴尾浜に中日を迎えて春季教育リーグを行いました。3連戦の結果は1勝1敗1分け。8日が7対7の引き分け、9日は6対3で阪神、10日は9対4で中日の勝ちです。このあと12日から由宇での広島2連戦で教育リーグは終了し、15日にウエスタン・リーグ開幕を迎えます。といっても阪神の開幕は19日で、これまた鳴尾浜での中日戦なんですよね。

 今回の教育リーグ・中日戦は根尾昂選手がやってくる!ということで、始まる前から話題になっていました。8日はまだ来ていなかったのですが、出場すると決まった9日は開門前から約150人ものお客様が並び、10時18分にもう入場制限が行われるという事態。入場を制限するようになった2004年以降の鳴尾浜で、一番早かったのがいつか正式な記録はわからないのですが、私のスコアブックの2012年9月29日にこう書かれています。

 『朝6時の段階で既に並んでいた人があり、7時50分に開門。10時前に入場制限、10時40分に外野開放』

 この日はシーズン最後の公式戦で、城島健司選手の引退試合でもありました。前日までに報道されていたため、早朝からお客様が詰めかけたわけです。また掛布雅之監督の退任が発表された2017年9月10日は、入場制限に踏み切ったのが10時過ぎだったとか。とはいえ、これらの試合と今回を比較するのは難しいでしょう。なんたって春季教育リーグで、しかも対戦相手のルーキーがお目当てとなると、やはり異例と言えます。

 きのう10日のスポーツ紙で「史上最速レベル」と書かれていたように、各チームとも1軍の主戦投手陣が登板する時期ですけど、それでもなかなか珍しい状況。“根尾フィーバー”って表現は昭和の匂いがするものの他に言いようがないですね。そんな中で行われた教育リーグ・中日3連戦。取材に行けたのは9日だけなので、他は結果のみご紹介します。また、このフィーバーの影響で規制もあり普段のように写真が撮れていません。ご了承ください。

 ちなみに根尾選手、9日は6番DHで出場してメッセンジャー投手から空振り三振と四球、10日は6番ショートで出て左飛2つ(ガルシア投手、ドリス投手)の各2打席限定出場。初打席前にネクストでバットを振っている時、おもりが外せなくて何度もトライしている姿は可愛かったけど、とても雰囲気を持った選手でした。中日のスタッフの方に伺うと「礼儀正しく、私たちにも挨拶がきちんとできる子」だそうですよ。とにかく大物感を漂わせてくれた2日間。いつか甲子園で見るのが楽しみです。

【8日】両チーム合わせて14四死球

《ファーム教育リーグ》

 8日 阪神- 中日 (鳴尾浜) 

 中日 005 000 020 = 7

 阪神 000 130 120 = 7

    

◆バッテリー

【阪神】岩田(4回)-高橋聡(1回)-青柳(2回)-才木(2回) / 片山-長坂(6回~)

【中日】石川翔(5回)-小熊(3回)-谷元(1回) / 石橋-松井雅(6回~)-武山(9回裏)

◆三塁打 神:小幡

◆盗塁 神:島田、熊谷2

<試合経過>※敬称略

 先発の岩田は3回、味方のエラーが重なって打者一巡の5安打を浴び5失点。しかし打線が中日・石川翔から4回に1点、5回に5四死球を選んで高山の2点タイムリーなどで3点を返し、7回に1点取って追いつきます。8回に才木が3安打で2点を勝ち越されるも、その裏に熊谷の左前打と盗塁から小幡の右中間タイムリー三塁打、島田の犠飛でまた同点!そのまま引き分けました。

【9日】鳴尾浜は根尾くん一色!

《ファーム教育リーグ》

 9日 阪神- 中日 (鳴尾浜) 

 中日 000 011 001 = 3

 阪神 004 001 10X = 6

  

◆バッテリー

【阪神】メッセンジャー-能見-桑原-福永 / 坂本-長坂(8回~)

【中日】勝野(4回)-浜田(2回)-三ツ間(1回)-マルティネス(1回) / 松井雅-杉山(7回~)

◆本塁打 神:植田ソロ(浜田) 中:杉山ソロ(福永)

◆二塁打 神:高山、片山 中:三ツ俣2、滝野

◆盗塁 神:坂本、島田、高山、板山、植田

◆打撃 (打-安-点/振-球/盗塁/失策)

1]右中:島田  (4-0-0 / 2-1 / 1 / 0)

2]左:俊介   (2-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃打二一:荒木 (2-2-0 / 0-0 / 0 / 0)

〃捕:長坂   (1-0-0 / 1-0 / 0 / 0)

3]中左:高山  (4-2-1 / 0-0 / 1 / 0)

4]一三右:板山 (4-0-0 / 0-0 / 1 / 0)

5]指:片山   (3-2-2 / 0-0 / 0 / 0)

〃打一:藤谷  (0-0-1 / 0-0 / 0 / 0)

6]捕:坂本   (4-2-1 / 2-0 / 1 / 0)

〃投:福永   (0-0-0 / 0-0 / 0 / 0)

7]三二:熊谷  (4-0-0 / 3-0 / 0 / 0)

8]二中三:植田 (3-2-1 / 0-1 / 1 / 0)

9]遊:小幡   (3-0-0 / 1-1 / 0 / 0)

◆投手(打-振-球/失点-自責) 最速キロ

メッセ 5回 66球 (4-3-1 / 1-1) 144

能見  1回 15球 (2-1-0 / 1-1) 141

桑原  1回 22球 (2-2-0 / 0-0) 142

福永  2回 22球 (1-1-0 / 1-1) 140

中日の根尾選手。打席でボールを見送る姿にも落ち着きがありました。でも横顔のラインがまだ少年っぽい。
中日の根尾選手。打席でボールを見送る姿にも落ち着きがありました。でも横顔のラインがまだ少年っぽい。

<試合経過>※敬称略

 メッセンジャーは1回、先頭の高松に内野安打を許しますが、坂本が盗塁を刺して3人で終了。2回、3回は三者凡退で4回は2死から藤井に右前打されただけで無失点でした。しかし5回、先頭の三ツ俣に左中間への二塁打、根尾には四球、溝脇の中前打で無死満塁として松井雅の左犠飛を浴びます。

 打線は3回、島田が四球を選んで二盗、俊介の投ゴロで1死三塁となり高山が中前タイムリー!高山が盗塁、板山はセカンドの送球エラーで一、三塁。板山も盗塁を決めて二、三塁として片山が左越えに2点タイムリー二塁打!続く坂本の左前タイムリーも出て、この回4点を先取しました。

 一方、6回に登板した能見は1死から藤井に右前打され、2死後に三ツ俣の左中間二塁打で1点を失いますが、その裏に植田が初球を打ってレフトへのホームラン!7回は桑原で1死から連打を浴び二、三塁のピンチを迎えるも、後続を難なく断っています。その裏にヒットとエラーなどで1死一、三塁として藤谷が左犠飛。

 8回は福永と長坂のバッテリーがビシッと三者凡退に抑え、打線はマルティネスから2四球を選ぶも追加点なし。9回の福永は簡単に2死を取ってから、途中出場の杉山に1ボールからの2球目をレフトへ…。試合後に監督やコーチからは「その他がよかったからいい」と言われたものの、打たれた本人は「納得いかないです」という一発で1点を失い、6対3で試合終了です。

根尾はすごいと牽制しつつ「負けないぞ!」

 小幡竜平選手は試合後、記者陣に囲まれるやいなや「根尾くんですね」と言ってニヤリ。いえいえ、小幡選手の守備が素晴らしかったという話ですよ。「いや~まだまだ、そんな」。1回はライナーをキャッチ。「手を伸ばしたら入ったので、ほんとたまたま。メチャクチャよかったです」。4回はモヤ選手の打球を逆シングルで捕ってナイススロー!「打球は速かったけど、しっかり見ることができたのでうまくいった。逃げなくてよかったです」

走攻守すべてでアピールする小幡選手。同学年ルーキーの根尾選手には負けない!
走攻守すべてでアピールする小幡選手。同学年ルーキーの根尾選手には負けない!

 実は8日の試合でエラーがあり、そこから打者一巡攻撃を招いてしまった小幡選手。「監督や高代コーチからスローイングの大切さを言われていて、そこでミスをしてしまったことを悔やんでいた」直後だっただけに、ホッとしたかもしれませんね。キャンプ中は「まだまだです」を繰り返し、納得していなかった守備。だいぶよくなってきた?「そうですね。キャンプが終わって、こっちの試合の流れもつかめてきて、少しずつ余裕が持てるようにはなったと思います」

 で、根尾選手はどうでしたか?「去年の壮行試合(8月)で会っているので、あんまり変わっていないなと」。試合前に接触している様子はなかったみたいですが、5回の2打席目で四球を選んだ根尾選手が溝脇選手の中前打で二塁へ行った時に、少し言葉を交わしたと話していました。

 「でも、すごいですね~!お客さんがすごい!朝からもう並んでいましたよ。スターですね」と目を丸くしていますが、記者に問われると「やっぱり同世代なので、そこは負けたくないです」という言葉が出てくる18歳。じゃあ守っていて、僕のとこへ打ってこい!と思った?「それは思わなかった(笑)」。これからも楽しみにしています。

植田選手のホームランは3本目です。

 続いて、6回にホームランを放った植田海選手です。初球の真っすぐを打って、その瞬間にスタンドが沸くというよりも、打球がネットに届くまで見守った…という感じでした。失礼ですけど、それだけ珍しいことだったんですよね。

 植田選手のプロ1号はルーキーイヤーの2015年5月2日、由宇の広島戦で1回に戸田投手から放った先頭打者ホームランです。その次は2017年7月18日の鳴尾浜、四国アイランドリーグ選抜戦での“ランニング3ラン”。これを覚えていらっしゃる方は多いでしょう。それ以来の、自身第3号ということになりました。

 そんな一発に「たまたまですね。(それよりも)最後の打席が粘れてよかったです」と植田選手。ファウル6球を挟みながら粘り、11球目で四球となった9回の打席を「よかったです。2ストライクからファウルにできた」と振り返ります。なおホームランについては「風ですよね。でも、しっかり振れたのでよかった」とのこと。

2年ぶりのホームランですが、ボール?要らないです(笑)と手を振る植田選手。
2年ぶりのホームランですが、ボール?要らないです(笑)と手を振る植田選手。

 この日はセカンド→センター→サードという守備をこなした植田選手ですが、サードは「この前(7日の近畿大学戦)が初めてでした。距離が近い感じで」と言っています。ただし「まだ打球が飛んできていないので、わからないですけど」と。これでまたチャンスが広がります。「そうですね。1つでも多く守れたら」。その中で苦手なポジションは?「特にはないですね」

 ちなみに、ホームランのあとベンチでハイタッチをしていた時に、振り向いて笑っていたのは何だったのか尋ねてみました。「ああ(笑)。ボールが要るかと聞かれたので要りませんって」。なるほど。それで手を振っていたんですね。もしかして初ホームランかと思われた?みんな同じ気持ちだったようです、失礼ながら。

【10日】終盤に9安打されて5失点

《ファーム教育リーグ》

 10日 阪神- 中日 (鳴尾浜) 

 中日 202 000 203 = 9

 阪神 100 003 000 = 4

  

◆バッテリー

【阪神】ガルシア(3回)-ドリス(1回)-岩崎(2回)-歳内(2回)-谷川(1回) / 梅野-小宮山(5回~)-長坂(9回表)

【中日】山本(5回)-清水(1回)-石田(1回)-谷元(1回)-マルティネス(1回) / 石橋-武山(6回~)-杉山(8回~)

◆本塁打 神:藤谷3ラン(清水) 中:モヤ2ラン(ガルシア)、溝脇ソロ(歳内)

◆二塁打 神:梅野、片山 中:藤井、伊藤康、近藤、友永

◆盗塁 中:高松

<試合経過>※敬称略

 先発のガルシアは1回、2死から藤井の三塁打に続いてモヤの2ランを浴びます。その裏に打線が荒木の内野安打と2四球などで1死満塁として梅野が犠飛。しかしガルシアは3回にも4安打で2点を失いました。5回に登板した3人目の岩崎は2イニングを完璧に抑え、特に6回は4番から3者連続三振!その裏に2死一、三塁で藤谷がセンターへ3ランを放ち、追いつきます。

 しかし7回、歳内が溝脇のソロなど伊藤康のタイムリー二塁打で2点を勝ち越され、9回には谷川が4連打で3失点(近藤のタイムリー二塁打と代打・友永の2点タイムリー二塁打)。岩崎以外の4投手で計16安打を浴び、9点を奪われました。こちらは10安打と6四球をもらいながら4得点。7回と8回にいずれも満塁の好機を逸したのが残念です。

「1打席どころか1球も無駄にできない」

 最後に藤谷洸介選手のコメントを。この3連戦、ファーストの守備において痛いエラーもありましたが、8日は無安打ながら遊ゴロでの打点、9日は代打で左犠飛、そして10日は一時は同点となる3ランを放っています。3試合で計5打点ですね。9日の犠飛は、ものすごくバットの先に当たったそうで「メッチャ先やった!やばかった」と苦笑いしていました。

 そして7日の近畿大学戦で今季1号2ラン、3日後に今度はNPBの投手から3ランと、目指す長打が出ています。10日の3ランについては「1球で仕留めろと平田監督からも言われていますし、自分の立場だともらったチャンスで仕留めないといけない。きょうは真っすぐをホームランにできてよかったです」とのこと。短い間隔でホームランが出て自信になる?「キャンプの終わりぐらいから練習で形を意識していますけど、遠くに飛ばすことが自分の魅力だと思っています。それがいい結果につながっているなら、今後も継続したい」

このフルスイングから何かが生まれる― 藤谷選手の挑戦は続きます。
このフルスイングから何かが生まれる― 藤谷選手の挑戦は続きます。

 平田監督が、1球への集中力を評価していたと聞き「チャンスをもらう中で、1打席ではなく1球も無駄にできない」と言い切る藤谷選手。しかも最近、ボール球をしっかり見送れているんですよね。「メッチャ振ることを意識したら、逆に低めの球を見られるようになったかも。今までより見えていると思う」と話していました。

 自分らしく、フルスイングを意識するようになったきっかけは、こちらでご覧ください。→阪神・藤谷選手が野手として迎えた安芸キャンプ「休んでいる暇はない」

    <掲載写真は筆者撮影>