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安芸キャンプ、新人も中堅どころも実戦でアピールの第3クールへ!

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
11日の練習試合に登板予定の投手らが、メイングラウンドで投内連係プレー。

 阪神タイガースの春季キャンプは、きのう2月9日から第3クールです。私も遅ればせながら、ようやくキャンプイン!と安芸にやってきた途端の雨…ことしも雨女ぶりを発揮してしまったのですが、午後は急速に天気が回復。午前の投手メニューの一部が安芸ドームに変更された以外、特打や特守も予定通り行われました。

 ことしは新たなファンサービスとして、試合のない土日の練習後にメイングラウンドで写真撮影会があります。これは午後の練習中に抽選券が配られ、当選した方々が外野部分で選手と写真を撮るもの。きのうは小宮山慎二選手、陽川尚将選手、横田慎太郎選手、そしてラッキーとトラッキーでした。誰が登場するかは当日のお楽しみです。

 ところで、阪神も沖縄・宜野座では第2クールの7日に紅白戦をしましたが、テレビで他チームのキャンプ中継を見ていると、第1クールからもう実戦を行っていてビックリ!昔のキャンプは“合同自主トレ”の延長みたいな感じで、外国人選手も途中からしか合流しなかったけれど、今はまったく違いますもんね。

新人選手は4人の安芸キャンプ

ブルペンにて。「ラストいきま~す」が2球続けて入らず苦笑いの湯浅投手。
ブルペンにて。「ラストいきま~す」が2球続けて入らず苦笑いの湯浅投手。

 さて高知・安芸キャンプは、この第3クールから練習試合が始まります。まず11日の四国銀行戦で、先発は福永春吾投手の予定。平田勝男監督は「3イニングくらいじゃないかな。本人も気合いが入っているし。上(宜野座)の紅白戦を見て期するものはあるんじゃない?そりゃ気になるよ。気にならなかったら嘘だよ」と言い、そして「福永が16日の西武戦も中4日でいけます!って言ってたよ。そういうとこ可愛げがあるね」と笑います。

 またルーキー野手2人、小幡竜平内野手片山雄哉捕手の出場について「小幡はショートで途中からかな。片山はスタメンで出すつもり」とのことでした。

こちらはまだ少し緊張気味?18歳の川原投手。
こちらはまだ少し緊張気味?18歳の川原投手。

 同じくルーキーでは投手も2人、湯浅京己投手川原陸投手が安芸にいます。この日は揃ってブルペンに入り、ピッチングを行いました。視察した平田監督は「湯浅が力のある球を投げるよ。いいスライダーがある。聞いたら『タテスラが武器だ』って言っていた。川原もだいぶ慣れてきたしね。きょうは立ち投げで50球かな」と振り返りました。ただし実戦についてはまだ先のようです。

石川のユニホームの前にタテジマ?

 この日、一番にブルペンへやってきたのは背番号のないキャッチャー(プロテクターには片山大樹さんの122番がついています)。昨年まで四国アイランドリーグにいて、ことしはBCリーグ・石川でプレーする岡本仁捕手でした。この名前、覚えていらっしゃいますか?年明けすぐに公開させていただいた、一二三慎太選手の記事で少しご紹介したんですけど。そうです。もと阪神・西田直斗さんとは同い年で、八尾フレンド時代からの仲良しです。→<もと阪神・一二三慎太選手の再挑戦 「もう一度、全力で投げてみたい」>

BCリーグ・石川に入団した、元アイランドリーガーの岡本仁選手。安芸キャンプの手伝いに参戦しました。
BCリーグ・石川に入団した、元アイランドリーガーの岡本仁選手。安芸キャンプの手伝いに参戦しました。
貴重な時間を無駄にすまいと、目も耳も総動員して球を受けます。
貴重な時間を無駄にすまいと、目も耳も総動員して球を受けます。

 安芸キャンプの手伝いにという話があったものの、様子がわからなくて不安だった岡本選手の背中を、一二三選手も押してあげたようです。「勉強になるから行った方がいい」と。私も同感だと言いました。実際に参加してみて、本当に充実しているみたいですよ。なんせ安芸には小宮山選手と片山選手しかキャッチャーがいないので大忙し。ブルペンが満員になったら、選手2人と岡本選手、ことしからサブマネージャー兼ブルペン捕手になった小豆畑眞也さん、さらには山田勝彦バッテリーコーチと日高剛育成兼分析担当コーチがズラリと並んで球を受けます。

 朝は誰よりも早く来て、キャッチャーの仕事だけでなく様々な補助をする岡本選手ですが、それでも時間を見つけては自身の練習をしているとのこと。きのうも帰りにバットを1本持って引き揚げたので、きっと宿舎で素振りをしているんでしょう。PL学園出身なので、先輩方に会うこともあり、この日は木戸克彦さんに挨拶…するつもりが、ちょっと出遅れたとか。帰る時までずっと反省しまくっていました。

 BCリーグが開幕したら、ぜひ皆さんもご注目ください。

秋山投手も順調な様子

右膝の手術から復帰、順調な仕上がり具合の秋山投手です。
右膝の手術から復帰、順調な仕上がり具合の秋山投手です。

 話を戻します。この日のブルペン一番乗りだった秋山拓巳投手は、40球くらい投げたところで高橋建投手コーチに打者役をお願いしました。まず右打席、次に左打席で約20球。そのあとクイックやカウントを設定してのピッチングで、計96球。この球数は本人いわく「今キャンプ最多」で、状況としては「問題なくやれています」とのコメントです。

 他には11日の練習試合で登板予定の福永投手、石崎剛投手、谷川昌希投手、歳内宏明投手、尾仲祐哉投手、そして前述のルーキー・湯浅投手と川原投手、全部で8人がピッチングをしました。

フリー打撃初登板の2年目左腕

日高コーチのキャッチャー姿。ファンの方は大喜びでした。
日高コーチのキャッチャー姿。ファンの方は大喜びでした。

 最後に、高橋遥人投手呂彦青投手はきょう10日のフリー打撃に初登板するそうです。高橋遥投手は昨年6月、左肩のコンディション不良により1軍登録を抹消。その後はファームでブルペンに入ったりしたものの、再びノースローの状態でシーズンを終えたため、打者に向かって投げるのは久々のことになります。

小豆畑ブルペン捕手は背番号「111」でした。
小豆畑ブルペン捕手は背番号「111」でした。

 平田監督は「まだブルペンと違って力が入ったりするだろうけど、徐々にクリアしてね。トレーナーの計画通り、順調に事は進んでいるよ。焦らせてきたわけじゃない。球数も(今キャンプで)70、80、100といっているから。実戦?まあ投げて状態を見て、やね。実戦がいつかはまだわからない」と話しました。

 戦力として必要な左腕かと聞かれ「あの球を見ていたらね!球の力は群を抜いている」と平田監督。「ただ焦らせてきたわけでも、ゆっくりしているわけでもなく、ちゃんと段階を踏んでいっている。本人は早く投げたいってのはあると思うよ。でもトレーナーがみてくれているからね」

 続いて高橋遥投手本人の話をご紹介しましょう。

「楽しみと不安が半々です」

 「7か月ぶりくらいですかね」と指折り数え「思いきり投げて、そんなにボールはいかないと思うので、とりあえずどのくらいのボールがいくのかなというところです。ストライクを取るより、腕を振って」と言ったのですが、そのあと「あ、BPだからストライクを取らないといけないのか」と自ら突っ込み「まあ、しっかり腕を振って」と結論を出しました。

本文の内容とは違う写真ですが、ルーキー・小幡選手のバント練習。
本文の内容とは違う写真ですが、ルーキー・小幡選手のバント練習。

 第2クールの初日に、今キャンプ3度目のピッチングを行い100球投げたそうですが、その後は問題ないですか?と聞かれて「思うところはたくさんあるんですけど、ボールとか。でも投げられていることが一番なので、いいかなと思います」と答えた高橋遥投手。肩はどうですか?「12月に初めてピッチングして、その時より1月の方がよかったですし、1月の鳴尾浜の自主トレよりも安芸に来てからの方がよくなってきている。まだまだですけど、よくはなってきているんで、明日どれくらい投げられるのかなと、楽しみと不安が半々くらい」

これも本文とは別の写真です。誰よりも気合いを前面に押し出してアピール中の片山選手。はや声が枯れています。
これも本文とは別の写真です。誰よりも気合いを前面に押し出してアピール中の片山選手。はや声が枯れています。

 いつまでに実戦を、と考えたりするか聞いてみたら「早く投げたいとは思いますけど、やっとバッターに投げられるとこまできたので」と言い、少し間を置いて「うれしいです」とニッコリ。そりゃあ半年以上も投げていなかったんですもんね。「まあ自分がケガをしたからで…。早くみんなに追いつけるようにしたいです。みんなは、自分が投げていない時にバッターと対戦して緊張感とか(を味わったり)、ボールの精度も上がってきていると思う。自分が一番遅れているので」

 今の心境は?「去年みたいな感じですね。去年も初めて来て、初めてバッターに投げた。去年と同じように、ちょっと不安もあって、楽しみもあるという感じです」。1軍での白星だけでなく、ケガも経験してしまったルーキーイヤー。その前の気持ちに立ち返って、また始めるというのも貴重な道程かもしれません。次に登る山は、去年よりさらに高いですよ。きっと。

    <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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