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この2冠をきっかけに来季は飛躍したい!福永投手《阪神ファーム》

岡本育子フリーアナウンサー、フリーライター
投手4部門のタイトルを獲得した福永投手(左)、青柳投手(中)、伊藤和投手(右)。

 29日に鳴尾浜で予定されていた社会人・カナフレックスとの交流試合は、雨のため中止となりました。夜中から本降りの状態だったので予測はできたのですが、次の機会はまた来年ということで…カナフレックスの梁川マネージャーはとても残念そうでした。もと阪神の藤井宏政コーチにも会いたかったですね。

 そのカナフレックスは11月、京セラドームで開催される『第44回社会人野球日本選手権大会』への出場が決まっています。創部2年目の2015年以来、3年ぶり2度目。前回は組み合わせ抽選で見事に“開幕試合”を引き当ててしまった梁川マネージャー。今度はどうでしょう?抽選会は5日に行われます。まずそこで頑張ってください。

 甲子園の室内で練習をして鳴尾浜に戻ったあと、矢野燿大監督や高橋建投手コーチの話を聞きました。この日先発予定だった秋山拓巳投手は、2日にあるBCリーグ選抜チームとの交流試合で先発するそうです。そんなに長くは投げないかと尋ねたら「そうですね。ファーム日本選手権の準備もあるし、1軍の準備もあるし、復活の選手もいるから。石崎もね。(2日、3日の練習試合は)各選手1イニングずつ投げさせたいなと思います」と高橋コーチ。

 石崎剛投手は、6月に右ヒジのクリーニング術を行い、27日の交流試合(四国アイランドリーグ・香川戦)で復帰しました。結果は2/3回を投げて3安打3四球で3失点。登板後は問題なかったですか?「はい。張りは出ましたが、痛みとかはまったくなかったです。順調ですね。(試合の)結果はよくなかったですけど」

 このあとは?「あす(30日)、ブルペンに入ります。それで休みを挟んで次へ」。おそらく2日の練習試合で登板するのではないでしょうか。来年へ向けて、という言い方でいいのかな?と尋ねたら「ことしがまだ残っているんで、そのチャンスを、と僕は思っています」と答えた石崎投手でした。

5月19日の淡路(巨人戦)で、サイン会中の石崎投手。
5月19日の淡路(巨人戦)で、サイン会中の石崎投手。

 また2日と3日の練習試合では、10月6日のファーム日本選手権で先発しそうなピッチャーも投げてくるでしょう。矢野監督の話で名前は出ていたものの「まだもう少し待って」とのことです。それより、次の台風25号がまた同じルートを辿り、よりによってファーム日本選手権の頃に雨を降らせるみたいで…。予報はよくありません。それが心配です。

今季のチームと個人成績

 さて、阪神以外の4チームが最後の3連戦を終えた28日で、ウエスタン・リーグは今季の全日程を消化しました。順位と勝敗はこうなっています。

   試合 勝-敗-分 勝率 ゲーム差

 1 神 115 68-40-7 .630

 2 ソ 115 66-43-6 .606  2.5

 3 オ 115 45-57-13 .441  20.0

 4 広 109 43-55-11 .439  20.0

 5 中 117 39-64-14 .379  26.5

 またチーム成績は、以下の通りです。

【打撃】

   打率 HR 打点 盗塁(失敗)

 ソ .267 84 482  133 (55)

 広 .261 78 387  76 (38)

 神 .248 70 456  163 (84)

 中 .235 34 305  62 (59)

 オ .231 45 332  43 (31)

【投手】

  防御率 勝-敗-S 完封勝 三振

 神 3.00 68-40-38  16 823

 中 3.05 39-64-23  9 794

 オ 3.14 45-57-27  12 763

 ソ 3.20 66-43-30  12 753

 広 3.78 43-55-20  6 755

 そして表彰選手はこちら。

【打撃】

 ★首位打者  メヒア(広)  .337

 ★最多本塁打 メヒア(広)  20

 ★最多打点  メヒア(広)  59

 ★最多盗塁  周東佑京(ソ) 27

 ★最高出塁率 メヒア(広)  .397

【投手】

 ★最優秀防御率 福永春吾(神) 3.80

 ★最多勝利   青柳晃洋(神)  8

    〃    大竹耕太郎(ソ) 8

 ★最多セーブ  伊藤和雄(神)  20

 ★勝率第1位  福永春吾(神) .778

メヒア選手と周到選手の追い上げ

 打撃部門の最多盗塁は、周東選手あっぱれ!ですね。阪神が先に日程を終え、ソフトバンクは3試合を残していました。盗塁は阪神の島田海吏選手が26個、江越大賀選手が25個、熊谷敬宥選手が23個、そして周東選手は21個。その時の記事に、残り3試合で5盗塁はあり得る、と書いたんですよね。…ありました。

 26日からの広島3連戦(由宇)で、まず26日に4盗塁で2位タイになり、翌27日にも2つ成功させてトップに。2試合で6盗塁、しかも失敗なしとは見事です。163盗塁というリーグ新記録のうち計74個を稼いだ3人が、最後に抜かれてしまいました。昨年も植田海選手がトップの25個を決めて1軍に昇格し、結果的にはソフトバンク・釜元豪選手が26個で2年連続受賞となっています。ことしは大丈夫かと思ったんですけどねえ。

3人合わせて75盗塁の俊足トリオ!左から島田選手、江越選手、熊谷選手です。
3人合わせて75盗塁の俊足トリオ!左から島田選手、江越選手、熊谷選手です。

 その盗塁以外、すべてを広島のメヒア選手が独占しました阪神の江越選手がトップを走っていた本塁打もジワジワと追い上げられ、最後の対戦となった22日に2打席連発でタイに。翌日も2発で17本の単独トップ。さらに最終カードのソフトバンク戦で26日に18号、27日にまた2打席連発でついに20号です。

 本塁打と最多打点だけでなく、首位打者と最高出塁率も同時に獲得するなんて、もちろんリーグ初の快挙!前にも書いたと思いますが、ウエスタンの打撃3冠は1997年のボニチ選手、2007年の迎祐一郎選手(ともにオリックス)の2人しかいません。2冠は阪神でも、久代義明選手(1967年)、喜田剛選手(2005年、2006年)、森田一成選手(2013年)、陽川尚将選手(2016年、2017年)が獲得しています。

投手は4部門すべてに阪神勢!

 でも投手部門は、阪神の4人が名を連ねました!最多勝利は青柳投手と大竹投手が早くに8勝を挙げ、そのまま逃げ切った感じですね。最多セーブも伊藤和投手が独走状態。福永投手の“紆余曲折”を経た2冠については、これまでも書いてきたのでご存じだと思いますが、また少し。

 今季最終カードの広島戦で規定投球回数に到達し、防御率1位に名前が出た福永投手。勝ち数も7だったので3冠を狙える状況ながら、降板したあと逆転負けしてしまったため2冠になった…と思ったら!防御率2点台のオリックス・K-鈴木投手が24日に完投(8回)して、残り3試合で規定到達する可能性が出てきたのです。

 中3日空けて28日の最終戦、オリックスの先発はK-鈴木投手でなく、それどころかベンチ入りメンバーに名前もありません(その後、K-鈴木投手は29日に昇格。28日は1軍帯同で移動だったのかも)。福永投手に伝えたら、ものすごく驚いていました。オリックスは最終戦までに雨天中止があったため規定投球回数も少し減ったので、絶対に投げてクリアしてくると福永投手も思っていたんでしょうね。

 結局、規定に到達したのは福永投手とオリックス・山崎颯一郎投手の2人だけ。福永投手の2冠が確定しています。阪神の投手では2013年に白仁田寛和投手が、同じく最優秀防御率(2.17)と勝率第1位(.714)のタイトルを獲得して以来、5年ぶりの2冠となりました。

1軍で通用することを証明する数字

7月20日、甲子園でのウエスタン・中日戦で先発した青柳投手。
7月20日、甲子園でのウエスタン・中日戦で先発した青柳投手。

 タイトルを獲得した3投手について、矢野監督に話を聞きました。「青柳は今、上でも頑張っているしね。そこを目指していたわけじゃないし、タイトルも獲ったっていうより勝手に転がってきたものだから、あんまり意識はないだろうけど。でも1軍で勝てるようなピッチングになってきているからね。ファームのタイトルが自信になるかどうか俺にはわからないけど、まあ獲れないよりは獲った方がいい」

 「(伊藤)和雄は、俺はずっと1軍でできると思っているから。チーム状況でなかなかチャンスがなかったけど、任された短いイニングをしっかり抑えることは1軍レベルにあると思っている。だから2軍でああやってタイトルを獲ったのは当たり前やし、防御率などの部分でも、ちゃんと1軍で通用するのを証明した数字になっているので。価値はあるんじゃない?」

 「福永は…オマケみたいなもん?オマケ(笑)。まあでも気分的に悪くはないと思うからね。ただ、じゃあ“獲りました!”と胸を張って言える数字の防御率かっていうと、そうじゃない。1年間投げる難しさが見えた部分もあり、逆にいうと1年間投げて成長できた部分もたくさんあったし。その成長できたところのご褒美として(タイトルが)ついてきたっていうのもある」

9月26日の日本生命戦では2発を浴びて3回4失点…。シーズン後半は苦しみました。
9月26日の日本生命戦では2発を浴びて3回4失点…。シーズン後半は苦しみました。

 続けて「まだ1軍で勝てるピッチングにはなっていないと思う。1軍で勝つには、ファームで3.80の防御率ではダメだよね。せめて2.50を切るっていうか、そういう数字で獲らないと。だからプラスの部分と課題がある程度、自分で見えたシーズンだっただろう。今までは見えるところまでまだ行けていないような、勝負の前で終わっていたかもしれないけど」と矢野監督。満足するなよ、ということでしょうね。

“2冠”から1軍へ、きっかけにしたい

 では福永投手のコメントをご紹介します。2冠が確定した時の心境は「素直に嬉しかったですね!ほぼ諦めていたから」とのこと。やはりK-鈴木投手が「1軍に行くかアクシデントのない限り、間違いなく規定に到達すると思っていた」と言います。確かに、投げなかったと連絡した時の驚きようはすごかったですからね。

 矢野監督が何度も「3点台ではねぇ」と苦い表情でしたが、防御率トップはやっぱり嬉しい?「いやー。まあ3点台なんで…なんとも言えないですね。規定に到達した中で一番よかっただけの話で」。なるほど。2冠という響きは嬉しいけど、数字に満足しているわけではないということでしょう。

8月24日のオリックス戦(舞洲)で先発した福永投手。
8月24日のオリックス戦(舞洲)で先発した福永投手。

 このあと私は間違えて「規定打席到達に意味がある?」と聞いてしまったのですが、それに対して「1打席しか立てていないので規定到達はならずでしたけど、来年は規定打席に到達できるよう頑張ります(笑)」と福永投手。いや~失礼しました。でも、しっかり“乗ってくれる”ところが関西人ですね。ありがとうございます。

 改めて「1年間ケガなく、きちんと投げきれたので規定投球回に到達したことは嬉しいです!」と回答。続けて「ただ、逆に言えばそれだけファームにいたということになるので…」と言います。確かにそうですね。タイトルは自信になる?励みになる?「タイトルは嬉しいというのが大きいですね。この1年をきっかけに飛躍したい!とは強く思います」

 ファーム日本選手権への意気込みと、フェニックス・リーグでのテーマを。「日本選手権はもちろん、優勝しか見えていないです!どんな形であれチームの優勝に貢献したい。フェニックスでは、ランナーを置いてからの投球技術を上げていきたいです。全体的にはストレート、スライダー以外で自信の持てるボールを増やしたい」

 最後に来年の目標を聞かせてください。「来季はもちろん1軍で活躍することです!まだ上のシーズンは終わってないですけど、初勝利をきっかけに勝利を重ねていけるようにしたいです」

1軍の2人のコメントもどうぞ

8月30日のウエスタン・中日戦。この日はセーブのつかない状況での登板でしたが、9回1イニングを三者凡退に抑えて完封リレー!
8月30日のウエスタン・中日戦。この日はセーブのつかない状況での登板でしたが、9回1イニングを三者凡退に抑えて完封リレー!

 9月11日に20セーブ目を挙げて、現在1軍にいる伊藤和投手は「緊迫した場面で抑えをさせてもらって、上でも考えながら投げられるようになりました。なので、抑えをやらせてもらってよかったかなと思います」という感想を述べています。6月13日にから8月25日までの13試合連続セーブ、あの安定感は本当に見事でしたね。これからは鳴尾浜でなく、甲子園の抑えとしての活躍を楽しみにしています。

 前半の熊谷選手に代わって、後半はチームの盗塁数を江越選手とともに引き上げてきた島田選手ですが、残念ながら最後の最後にかわされてタイトル獲得ならず。それには「抜かれましたね(笑)。来年は成功率というのを上げていきたい。そこが課題ですね」とのこと。来年は1軍でかき回してください。

    <掲載写真は筆者撮影>

フリーアナウンサー、フリーライター

兵庫県加古川市出身。MBSラジオのプロ野球ナイター中継や『太田幸司のスポーツナウ』など、スポーツ番組にレギュラー出演したことが縁で阪神タイガースと関わって約40年。GAORAのウエスタンリーグ中継では実況にも挑戦。それからタイガースのファームを取材するようになり、はや30年が経ちました。2005年からスポニチのウェブサイトで連載していた『岡本育子の小虎日記』を新装開店。「ファームの母」と言われて数十年、母ではもう厚かましい年齢になってしまいましたが…1軍で活躍する選手の“小虎時代”や、これから1軍を目指す若虎、さらには退団後の元小虎たちの近況などもお伝えします。まだまだ母のつもりで!

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